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FEATURE

Overseas

WEEZER

2009年11月号掲載

WEEZER

Writer 佐々木 健治

「Pork & Beans」というヒット・シングルも出た前作『WEEZER』(通称『RED ALUBUM』)から1年、WEEZERのニュー・アルバムが到着した。
まずは、ニュー・シングル「(If You’re Wondering If I Want You To)I Want You To」を聴いて、その変化に驚いた人も多いはず。軽快なビートとギター・カッティング、そしてハンドクラップがリズミカルに楽曲を引っ張る、ポップ・パンクのようなアッパー・ソングだ。

驚くほどカラッとしたこのシングル、そしてRadとAttitudeを組み合わせた造語だという『Raditude』というアルバム・タイトル。Rivers Cuomo、どうした?と聞きたくなる。いや、(インタビューで)聞きたかった。
そして、到着した『Raditude』を一言で言えば、WEEZERらしい泣きのメロディはしっかりと保ちつつ、WEEZERらしさに様々な変化球を加えてきたアルバムだと言える。
冒頭を飾る「(If You’re Wondering If I Want You To)I Want You To」に続く「I’m Your Daddy」は、WEEZER節が炸裂するパワー・ポップにシンセが絡み、「The Girl Got Hot」も、ヘヴィなギター・リフが印象的なパワー・ポップ。
かと思えば、「Can’t Stop Partying」は、最近の流行に沿うようにエレクトロとHIP HOPを取り入れる。
「Put Me Back Together」では、ヘロヘロしたリズムから、WEEZERらしいサビに突入していく。
「Trippin’ Down The Freeway」は、「(If You’re Wondering If I Want You To)I Want You To」をテンポ・ダウンしたようなポップなビート感のナンバー。
そして、突然インド・ミュージックを取り入れた「Love Is The Answer」。シタールやら何やらが鳴り響き、インド人の女性ヴォーカルが絡むこのナンバー。インド・ミュージックを独自の解釈で鳴らしているというものではなく、そのまんまインド・ミュージックとWEEZERのメロディをマッシュ・アップさせた感じ。しかも、「Love Is The Answer」だなんて、本当に、そのまんまじゃん!
その上、続く「Let It All Hang Out」は、アンセミックなメロディと力強いギターが前面に出た直球のパワー・ポップなのだから、「Love Is The Answer」がさらに分からなくなる。 そして、ヘヴィな「In The Mall」に続き、バラード「I Don’t Want To Let You Go」がラストを飾る。

今作の特徴はファースト・アルバム『Weezer』からセカンド・アルバム『Pinkerton』のような飛躍の仕方ではなく、しっかりとWEEZERらしさをキープしながら、そこに変化を加えていることだろう。
名盤でありながら、全くセールス的に振るわなかった『Pinkerton』と同じことは繰り返さないということか。
ただ、「(If You’re Wondering If I Want You To)I Want You To」のような方向性にシフトしたのかと思わせておいて、そこはほとんどないし、様々なスタイルとWEEZER節のパワー・ポップをかけ合わせている為、アルバムとしての統一感に欠けるところはある。
『Raditude』というタイトルも含めて、ちょっと戸惑ってしまう部分もあるのだが、Rivers Cuomoは意外とそういう反応もニヤリとしながら楽しんでいるのかも。
アルバムの流れを楽しむというよりも、今の彼等のアイデアを詰め込んだ楽曲を楽しむアルバムだと言えるのかもしれない。前作に引き続き、WEEZERらしい力強い楽曲が多く収められている単純に楽しいアルバムだし、いい曲をたくさん揃えたから、好きな曲をピック・アップして楽しんでくれということか。

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