DISC REVIEW
Japanese
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大森靖子
洗脳
大森靖子の表現にはライヴと音源で乖離がある。"人間の業と性を炙り出す叫び"という根本は同じだが、それを全身全霊で体現するライヴと違い、音源の場合、世界を変革せんとする扇動者としての側面から、彼女はその叫びをかなり戦略的にまとめ上げている。メジャー進出以降、この乖離はより大きくなった。メジャー1stフルとなる本作において、彼女の本領が最も発揮される弾き語りの楽曲がほぼ封印されている点から見ても、それは明らかだ。彼女の才能があれば、その"役割"から降りることで、本作より数倍すさまじい音楽作品を作ることは可能だろう。いち音楽好きとして、そこに歯がゆさを感じていないと言えば嘘になる。しかし、僕は賭けたい。この時代に"本質"を背負おうとする、彼女の孤独な優しさに、賭けてみたい。
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