Japanese
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“際(きわ)”はいい。“際”にはセンシティヴでナイーヴな“ぎりぎり”という美しさがある。ある物が、別のものへと生まれ変わる、まさにその一瞬。the cabsには“生まれる”と“消える”が結合する一瞬を鳴らしたような美しさがある。スピード感のある圧倒的なバンド・アンサンブル故に、脆さとスリルが共存するサウンドは “今にも崩れそうなバランス感”を漂わせ。流麗で美しい画を描きながらも悲しく退廃的な意味を孕んだ歌詞と、強く儚い首藤のヴォーカルは、僅かに痛々しい。情緒を乱さない俯瞰的な世界観も、均整の取れたものが壊れる瞬間や、無垢なものが傷を負う瞬間の刹那が生み出す、破壊的な美しさへと繋がっているのだろう。これは退廃の美学ではない。消失と再生の美学である。(島根 希実)
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Skream! 2024年09月号