Japanese
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“完全”という言葉は、そう容易く使えるものではない。それをバンド名に持ってくるのは並ならぬ覚悟なのではなかろうか。とはいえ、この策謀の中心人物である別所英和は格段に特別なことを歌っているわけではない。だが、彼が本来持っているセンスはいい意味で少々(否、大分?)鬱屈している。騒がしくも清涼感に溢れたギターと変拍子、あどけない声が時折紡ぐ関西訛りが、シニカルな視点と合致して小気味良い。そのフラットでありながらも独特な情景が聴き手の中に入り込み、若かりし頃の記憶をエグいところまで引きずり出すのだ。彼の心のシャッターが切り抜くノンフィクションと、自分の記憶の奥に潜むノンフィクションが重なったら、最後……。彼らが描く現実から自らの現実に帰るのは、なかなか至難の業である。(沖 さやこ)
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Skream! 2024年09月号