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COLUMN

THE BEACHES ヒサシ the KID の「世界は常夏。」 【第3回】

2009年11月号掲載

THE BEACHES ヒサシ the KID の「世界は常夏。」 【第3回】

【第三回】 「ポップス」

2009年、世界は常夏。

みなさん、肌寒くなってきましたけど風邪など引いていませんか?
ここ最近は上で連載している石毛君のテレフォンズのツアーに参加させて頂いたり、ビーチズのサードアルバム引っさげてのツアーがあったりと全国駆け巡ってました。

今回のツアーでサードアルバム『Hi Heel』の曲達のライヴでのクオリティーも俄然上がった。
東京でのファイナルは今この原稿を書いている時点では終わっていないのでどうなったのかわからない。たぶん良かったんじゃないかな。ツアーはずっと良かったし。
東京公演以外の場所では本編19曲。サードアルバムの流れを軸にファースト、セカンド、カヴァー曲と、アンコールも含めると毎回90分弱。ビーチズを結成してからの4年間の成果をおおいに満喫してもらえるいいセットが組めたし、良くもまあこんなにいろいろな曲書いたなって感じで自分自身も楽しめた。世界中のいろいろな音楽から影響を受けたいろいろな曲を強引に「ビーチズ」っていうキーワードだけでまとめてるっていう。もしこのバンドが「ビーチズ」っていうバンド名じゃなかったら何をやりたいバンドなのかさっぱり伝わらなかったかもしれない。我ながら俺のなんでも聴きたいしやりたい性格をカヴァーしてくれる抜群のバンド名をつけたなと。

この4年間で形にした3枚のアルバムと1枚のシングル。
常にその時その時のモードでいろいろな音楽の影響を受けながら自分達の出来る最大限ポップな形を盤に落とし込もうとしてきた。どれもお気に入りだし、傑作なんじゃないかと思っている。ただ万人受けする声じゃないしメロディーじゃないし歌詞じゃないし楽曲じゃないしルックスじゃない事も百も承知。
じゃダメじゃん(笑)でも俺の思うポップスってどこかに極端に振り切れたオリジナリティーがあるもの。そういう意味でビーチズにはまだ可能性を感じてるし、こんなバンドの曲がスタンダードになってもおかしくない・・・と信じたい。いつの時代も最初はなんだこれ?って思ったものに自分自身惹かれてきたし、そんな楽曲がスタンダードになっていった(全部じゃないけど)。まあ、ルックスはいいに超した事はないんだけどね・・・。

ただこんな考えは凄く凄く少数派の考えなんだろう・・・。
誰が誰だかわからないくらいのアクのなさが好まれるし、ありきりたりのなぐさめの言葉をみんな待ってる(みんなじゃないけどね)。
わかりやすくジャンルわけ出来る音楽が安心だし、そんなファッションがみんな大好き(いや、みんなじゃないのはわかってますけどね)。でも、本当にそうなのかな?本当はみんなそうじゃない自分を知らないだけなんじゃないかっていつも思ってしまう。自分のキャパシティーを知らない間に決めてしまっているだけなんじゃないかって。あれ、俺って私って僕ってアタイってこんなのも、もしかしたら好きなのかも・・・って自分のキャパシティーが広がるような瞬間をみんな本当は待ってるんじゃないかって。
そんな余計なおせっかいをやいちゃうような曲がポップスなんじゃないかって。だからそれって万人受けする声じゃないしメロディーじゃないし歌詞じゃないし楽曲じゃないしルックスじゃないかもしれない・・・ってただビーチズを全肯定したいだけかこれ(笑)

まあ、誰を例にあげるよりも自分のバンドで言うのがわかりやすかったので。2000年代も10年が過ぎようとしている今年もあともう少しで終わり。
これからいろいろな媒体や個人のブログや何かでもこの10年のベストアルバム的な記事を目にする機会も多いはず。そんな時「そういえばなんとかKID が自画自賛しながらなんかおかしな事言ってたぞ・・・」と思い出してもらえたなら、聴かず嫌いで来てしまった曲達を改めてそんな記事を参考にしながら聴いてみるのもいいんじゃないでしょうか。思いもしなかったポップソングとの出会いが君に余計なおせっかいをやいてくれる・・・はず。
それでは、どこかでお会いした時には一緒に音楽を楽しみましょう!

THE BEACHES  ヒサシ the KID