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WEYES BLOOD、COLDPLAYといったアーティストたちと仕事をし、今年2月にはプロダクション/エンジニアリングで携わったBOYGENIUSのデビュー・アルバムがグラミー賞で最優秀オルタナティヴ・ミュージック・アルバム部門受賞を果たす等、着実に成功を収めつつあるSarah Tudzin率いるILLUMINATI HOTTIESの最新作。フレッシュなパワー・ポップ「Falling In Love With Somebody Better」をはじめ、オーガニック且つ繊細な手触りの「Rot」、ベッドルーム・ポップの質感を持ったタイトル・トラック、UKのシンガー・ソングライター CAVETOWNを迎えた「Didn't」を含む全13曲が揃った。全体的にトーンは暗めだが、甘酸っぱさやリアルな体温を感じる側面もあり、聴くたびに奥深さが増す1枚。
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5年間の活動休止期間を経て、"CITY POP×NEW WAVE"というコンセプトを掲げてカム・バックしたプラグラムハッチによる再始動後初のアルバム『CITY WAVE』。洒脱でロマンチックな「青山Dancing物語」や、美麗なコーラスが感傷を高める「Goodbye Rainy Bay」、虚無感に包まれた「ジオラマ都市」をはじめ、コンセプトから連想される洗練されたポップスという印象はありつつも、その奥底では、人間が音を鳴らすというエモーショナルな部分が強く渦巻いている。また様々なオマージュを入れながらも、"令和の80s"、"2080年のサウンド"と謳っている通り、決して懐古趣味的なものではない、今のバンドのモードを感じ取れる1枚。
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"文化祭"というテーマや"SODA POPS"というタイトル、さらにヴィジュアルも含めて、コンセプチュアルに統一された3rdミニ・アルバム。とはいえ曲調はバラエティに富んでいる。はじける片思い(もしくは推し活)ソング「ドキドキサレンダー」、実力派シャッフル・チューン「イデア」、わちゃわちゃ感が眩しい「無礼講サマー」、ヘヴィなラップ・ソング「シニシズム」、一緒に口ずさみたい「思い込みの魔法」。文化祭のいろんな部屋を覗けるような、楽しい一枚だ。5曲全てのインストゥルメンタルや、2ndミニ・アルバム『ロングラン』に収録されていた4曲の、一人一人のソロ・バージョンも聴くことができる。(高橋 美穂)
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高校生でデビューを果たしたシンガー・ソングライター 琴音が活動5周年を機に、これまでの代表曲と新曲で構成したアルバムを完成させた。前半の新曲群にはダーク・ポップな新機軸「Heaven」やR&B調で多声感がモダンなアレンジの「多面体」、彼女自身の音楽への向き合い方が投影された、作品の軸になりそうな「image」等が並ぶ。既発曲では映画"金の国 水の国"劇中歌として広く知られるようになった「Brand New World」やデビューEP収録の「ここにいること」、ライヴでは稀に歌っていたものの長らく音源化されていなかった「成長記」の新録バージョン等全16曲を収録。まっすぐな歌声を軸に持ちつつ、多彩なジャンルや声の表現に挑む"Now&Best"。
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キャリア初の全国流通盤には、シングル曲が多く収められていることもあり、パピムズらしくキャッチーでバラエティ豊かな楽曲が並んだ。新曲「キミトボクメモリー」からラストの「ワンダフル・パレード」まで多彩なジャンルとエンタメ性で耳を楽しませてくれて、1枚を通して聴くことで"パピムズランド"とでも呼ぶべきテーマパークで丸一日遊び倒したような感覚を味わうことができる。代表曲「ラブげっちゅ! -お誕生日のお歌-」が初フィジカル化したこともポイントだ。メンバー兼社長のカワシマユカが"名盤と呼ばれるものを作りたかった"と語っていたが、その言葉とタイトル通りにずっと"そばに置いといて"長く聴き続けたい名盤が完成した。
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brainchild'sのフロントマンとしての活躍でもお馴染みの渡會将士のソロ4thアルバム。FoZZtoneでのキャリアのスタートから数えて20周年にあたる2024年にリリースする本作では、ロックやファンク、カントリー等幅広い音楽的レンジを背景に持つシンガー・ソングライターとして、ある種原点に立ち返った表現を聴かせる。アコースティック・ギターで作るグルーヴ、DTMメインでありながら有機的で隙間の多い音像で、ルッキズムにも通じる現代の問題意識を盛り込んだ「写真はイメージです」、夏の爽快さと陰鬱さが共存する「Daybreaker」、少年性が際立つ「Wake me up(Re-Mix)」や「タイガーリリー」等、様々な主題をばらけることなく束ねた1つの到達点だ。
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約2年半ぶりとなるアルバム。新章のきっかけとなった、「すべてがそこにありますように。」や「LOTUS」で予感されたサウンドスケープを大きく上回る多彩さに、瑞々しい楽曲、現代のロック・バンドの存在意義を表明する楽曲等、グッとレンジを広げた14曲。"夢ノ結唱"とのコラボ曲やBiSへの提供曲の原曲(セルフカバー)の収録は、THE SPELLBOUNDが見据えるポップ性のエッジが際立っているし、JESSE(RIZE/The BONEZ/Vo/Gt)をラップ・パートに迎えた「2Colors」のコラボも新鮮。未だ聴いたことのない音楽をAIが精度高く作る時代にあって、人間が作り出す音楽の必然はなんなのか? そのことを体感できる作品でもある。
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夏にフォーカスしたコンセプトEPを幕開けるのはタイトル曲「Blue Jeans」。萩原健太のスラップ・ベースで始まるファンキーなサウンドに乗るのは、齋藤知輝による、スーツ姿の人波に抗いジーンズ姿で自由に、前のめりに突き進む自身を投影したラップ。新しいことにしたいというハングリーさが程良く泥臭い要素となったこの曲から、情緒的で、印象的な夏のワンシーンが浮かぶ曲が並ぶ。爽快な風を感じるギター・ロックや、ピアノを基調とした線香花火のような儚い美しさを持つバラードもあり、前作で林 直次郎(平川地一丁目)が参加した「Summer Tuner」のアカバナVer.も収録した今作には、どこか感傷的な晩夏の香りや、色気があるのが彼ららしい。
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東映アニメーション×agehasprings×ユニバーサルミュージック、3社合同の大型プロジェクトとして発足したTVアニメ"ガールズバンドクライ"。本プロジェクト発のガールズ・バンド、トゲナシトゲアリの2ndアルバムがすごい。ボカロ楽曲を思わせる膨大な言葉数とメロディの乱高下に、楽器隊のテクニカルなフレーズと、シーン屈指の難度を誇りつつ聴き手の胸に刺す楽曲の数々は、極上のエモーショナル・ロック・ナンバーばかりなのだ。アニメの挿入歌を中心に構成された本作は、アニメを視聴してから聴くことで様々なシーンが思い起こされ、より没入感を増して堪能できるはずだ。今年のシーンを代表する1枚として太鼓判を押したい。
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それぞれ自身のYouTubeチャンネルやSNSを中心に音楽を発信してきた4人が今年2月に結成したガールズ・バンド NEK!。結成前からTikTokのフォロワーが6万人超だったHika(Vo)をはじめ、演奏陣もネット界隈で一目置かれるメンバーが揃っており、早くも注目を集めている。そんな彼女たちが初の全国流通盤となる1st EPを発表。イントロからKanade(Ba)のスラップが炸裂する「MAZE」、ストリングスが彩る「ENDLESSGAME」、切なさ漂うロック・バラード「Blink」等全5曲が収録され、今のバンドの勢いが音像からも伝わる強力な1枚だ。11月24日にはShibuya eggmanにて2ndワンマン・ライヴの開催も控えているとのことで、どの楽曲もライヴ映え間違いなし。
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男女ツイン・ヴォーカル・メロディック・ポップ・バンド COPESが、サポート・ドラマーだったちょたを正式メンバーとして迎え初の全国流通盤をリリース。はつらつとしたカメイナナコ(Gt/Vo)の歌声が突き抜け、しいなゆうき(Ba/Vo)が力強く支える抜群のハーモニーに、童謡を取り入れるなど遊び心もあるキャッチーなメロディ、駆け抜けるツービートと、持ち味の痛快なハッピー・チューンを中心に全11曲(※配信は10曲)が収録された。フロアを躍らせる代表曲「winner」などのライヴ定番曲から、夢に向かって走るエネルギーに満ちた表題曲「forth」といった新曲まで、新生COPESのいわゆる名刺代わりの1枚。沈む心も晴らすポジティヴなパワーでライヴハウスを沸かすニュー・カマーに注目だ。
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メジャー進出作から約半年というスパンでリリースとなったメジャー2nd EP。夢か現か、おぼろな記憶と空想が交錯する「天使になるかもしれない」、瞬く命の儚さをポエティックに映した「夏に思い出すことのすべて」、ノイジーさは残しながらも生まれ変わった初期楽曲「翼もください」の再録、衝動的に書き殴られた日記のごとく感情剥き出しの「ひとつの曲ができるまで」と、ヤマトパンクス(Vo/Gt)の命を削り紡ぐような歌がライヴ・バンド然とした熱量とともに収めれた。無骨で破天荒な現実の描写と、星や空、宇宙といった幻想的なワードたち。この歪さが生むロック・バンドの恍惚とした危うさは、メジャー・シーンに身を置く今も変わらず、彼らのまばゆい魅力として光っている。
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"怖いか また目をひらくことが"という印象的なフレーズから始まる新曲「Fire and Fear」。一歩踏み出すことには恐れが付きもので、勇気を出さないと現状を変えられない場面を、恐らくあえてストレートな疾走感のあるロック・チューンに乗せて描き、終盤にかけ熱を帯び、まさに力を振り絞るように歌う歌う生田鷹司の声と鍵盤の音色がドラマチックに彩る。カップリングには、堀江晶太(Ba)がヴォーカルをとり、曲のテイストや演奏も含めタイトル・トラックとのギャップがすごい、怪しくダークに振り切った新境地「蝉人間」、"太鼓の達人"に書き下ろしたナンバーのバンド版という、笑っちゃうくらい荒々しい「who are you? who are you?」も収録した。
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2.5次元俳優としても知られる須賀京介(Vo/Gt/Key)を中心に俳優、ヴィジュアル系バンド、サポート・ミュージシャンと異なる分野で活躍してきた4人が集ったジャンルレス・バンド。打ち込みを多用したボカロ・テイストのリード曲「チャイラッテ」ではイラストMV、ファンへの想いを歌うメロウなセミリード曲「夏的小故事」では実写MVと、2次元と3次元を往来し、音楽面でもヴィジュアル面でも枠にはまらない独自のスタイルを提示。そしてエモーショナルな歌唱とギターが冴え渡るバラード「Ao」、四つ打ちロックを軸に目まぐるしく展開するキラーチューン「HEAT」、3拍子が艶やかな世界観を演出するオルタナ・ロック「慕情」と多彩な全5曲を収めた、バンドの新たな可能性を切り拓く1枚だ。
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"君がシャイだって関係ない"の歌通り、灼熱の夏を問答無用で腰から踊らせるパワー・チューン「Dancers Friendly」で幕を開ける本作。ファンを公言するやす子出演MVも微笑ましい「かけおち」は、フルートとダンス・ビートの新鮮な掛け合わせに身体のみならず心も躍る。かと思えば感傷的な「Find you in the dark」で暗中模索のリスナーに寄り添う姿勢も明示。ラッキリの"何も考えずに踊ろう"というのは、纏わり付く思いが本当は0ではないのを知っているからこそのメッセージ。だから心を掴んで離さないのだ。フレーズのループや熊木幸丸(Vo)以外のメンバーの声も効果的に取り入れる等、持ち味も遺憾なく発揮し、幕張メッセへ向けギアを上げていく。
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全33曲の歴代シングルが紡がれ、ASIAN KUNG-FU GENERATIONが日本のロック史に残してきた功績を改めて体感することができる、メジャー・デビュー20周年記念盤。再録された「遥か彼方」で幕を開け、地を這うようなイントロのベース・ラインがノスタルジアと高揚感を運んでくる。20年経っても歌い続けるバンドの熱量が確かな軌跡として反映されている一方で、リスナーは各楽曲の歌詞に登場する"君"に当時の自分や大切な人を投影させ、懐かしさに浸るだろう。暗いムードが漂う情勢や、やるせない日常からも目を逸らさず、今を生きて、愛を鳴らし続けてきたアジカン。これからも変わらない4人だけの音を世界中に響かせてほしい。