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FEATURE

Japanese

"RUSH BALL 2024"

2024年07月号掲載

"RUSH BALL 2024"

Writer : 服田 昌子

百戦錬磨の猛者からZ世代のカリスマまで全42組を制覇し、晩夏の大阪で熱いストーリーが生まれる瞬間を目撃せよ


関西に夏の終わりを告げる野外音楽イベント"RUSH BALL"が、今年も8月31日、9月1日の2日間にわたり開催。大阪府泉大津市にある泉大津フェニックスに全42組のアーティストが登場する。

今では"ラシュボ"の愛称で広く親しまれる"RUSH BALL"が、"ライヴハウスの延長線"をテーマに歴史を刻み始めたのは、まだ日本にフェスが定着していなかった1999年。初回はDragon Ash、THE MAD CAPSULE MARKETS、PENPALSといった古参のロック・ファンなら痺れる面子でスタートを切ると、途切れることなく今年まで続く。当然、その道のりには困難もあり、特にコロナ禍でライヴやフェスが次々と中止、延期になった2020年、そして緊急事態宣言下となった2021年には厳しい状況となるが、その火を絶やさず日本のフェス・シーンをリードして運営の指針を示した。スタンディング・エリアを柵やネットで仕切ったり、観客の移動動線をコントロールしたり、アイディアを出して全力で実行。前例がないなか開催を可能にしたのは主催者の熱意、さらに同業他社や開催地との連携、出演者や来場者の協力などで、それらは多くの人が"RUSH BALL"に向けた愛の表れだったに違いない。歩みを止めない"RUSH BALL"の存在は暗い時代に差す光となったはずだ。

そんな愛を感じる物語は2011年にも。同年の東日本大震災の影響を受け、4月に予定されていた宮城県の"ARABAKI ROCK FEST.11"が延期になる。そこで、通常であれば"RUSH BALL 2011"がある夏休み最後の休日の日程を"ARABAKI ROCK FEST.11"に譲り、"RUSH BALL 2011"は1週間後の9月4日に。しかしこの年は前々日頃から近畿地方に台風が近づき、あわや中止の危機にさらされるが、夜通しの会場整備や出演時間の調整など手を尽くし、天候が回復した当日、"RUSH BALL 2011"は実施に辿り着く。それは東北の人たちが祈りを届けてくれたに違いない。

このようにドラマが生まれる"RUSH BALL"だが、それはアーティスト・サイドも同様で、例えば"RUSH BALL"の常連である[Alexandros]は、彼らが2012年に出演した際(※当時は[Champagne]名義)にトリを務めたサカナクションのステージを観たのをきっかけに、のちにライヴ・アンセムとなる「Starrrrrrr」(2013年リリースのアルバム『Me No Do Karate.』収録曲)を作ったというのはファンの間では有名な話。また、SHISHAMOの松岡 彩(Ba)は専門学校の研修で"RUSH BALL 2014"の手伝いをしていたときに宮崎朝子(Gt/Vo)に声を掛けられてバンド加入に至る。新たな泉大津のストーリーの誕生に、今年も期待せずにはいられない。

もちろん、他にも"RUSH BALL"には訪れる人の心をとらえる魅力がたくさん。まず会場は海に面した広い芝生スペースもある広大な埋め立て地で、頭上には関西国際空港を離着陸する飛行機が飛び交う。潮風に吹かれて青空に伸びる飛行機雲を目の端にとらえ楽しむライヴは、過ぎ行く夏を惜しむのにぴったりなうえ、夕方になれば、強い海風と西日を浴びるアーティストの姿は映画のワンシーンのよう。さらに涼しい夜風に秋の訪れを感じて観る最終の打ち上げ花火は、誰にとってもエモーショナルな思い出の1ページになること間違いなし。だが、この絶好のロケーションにもかかわらずアクセスも良好。最寄りの泉大津駅までは大阪市内から約30分、関西国際空港から約20分で、泉大津駅付近からは随時シャトルバスが運行している。

そして何より貪欲な音楽ファンを満足させるのはタイムテーブル。会場には徒歩5分ほどで行き来できる2つのステージがあり、タイムテーブルは1組も被らず組まれるので、全アーティストを網羅可能。ゆえにリハーサルをしながら直前のステージが鳴り止むのを待つ出演者が、ライヴ中のアーティストについて話すのを聞けることも。また、もう一方のステージ ATMCのラインナップも早耳の人には楽しみの1つで、ブレイク前夜の注目株たちをライヴハウスに近い距離感で堪能できる。現在はヘッドライナーを任されるようなSUPER BEAVER、WANIMA、Mrs. GREEN APPLE、Creepy Nutsらも、かつてはATMCのステージに立っていた。こうしてアーティストとともに支持を拡大してきた"RUSH BALL"の勢いは海外にまで達し、2018年と2023年には台湾公演を成功に収める。

絶え間ない進化を続け、押しも押されもせぬ人気イベントとなった"RUSH BALL"。気になる"RUSH BALL 2024"のラインナップも6月28日、ついに出揃った。1日目は前出の[Alexandros]の他、地元愛強めの関西勢、KANA-BOON、キュウソネコカミ、梅田サイファーが何かを起こしてくれそうな予感。さらに初の日本武道館公演が決定している神はサイコロを振らない、今最も勢いのある若手バンドの1つ ヤングスキニーの出演も決定している。また2日目は最多出演のDragon Ashを筆頭に、Ken Yokoyamaや初参戦となるSCAFULL KINGなど、90年代から活躍する猛者が圧倒することだろう。一方ATMCには、にしなをはじめとする個性豊かなZ世代とともに、大舞台を踏んできた面々も降臨する。1日目は光村龍哉(ex-NICO Touches the Walls/Vo/Gt)率いるZION、2日目は元BiSHのセントチヒロ・チッチによるソロ・プロジェクト CENT、あのがヴォーカルをとるI's、Dragon AshのKj(Vo/Gt)が同じくDragon Ashの櫻井 誠(Dr)や山嵐の武史(Ba)らと立ち上げたThe Ravensという顔ぶれ。彼らのアクトを間近で体感できるのはまさに貴重。"RUSH BALL"パワーのなせる技と言えよう。

今年も楽しみどころ満載確定の2日間は、全組制覇を目指してライヴ三昧するも良し、芝生で休みつつ遠くで響く音楽を味わうも良し。感動や興奮が連続するであろう"RUSH BALL 2024"は、行って損はなし!?

EVENT INFORMATION
"RUSH BALL 2024"


8月31日(土)、9月1日(日)大阪 泉大津フェニックス
OPEN 9:30 / START 11:00

■8月31日(土)出演:[Alexandros] / cinema staff / KANA-BOON / THE BAWDIES /
04 Limited Sazabys / 神はサイコロを振らない / キュウソネコカミ /
クリープハイプ / マカロニえんぴつ / ヤングスキニー / 梅田サイファー(O.A.)
・ATMC:Haze / Laura day romance / Q.I.S. / ZION / えんぷてい / ちゃくら /
超☆社会的サンダル / チョーキューメイ / にしな / (夜と)SAMPO

■9月1日(日)出演:Crossfaith / Dragon Ash / go!go!vanillas / Ken Yokoyama /
PEOPLE 1 / Saucy Dog / SCAFULL KING / SiM / The BONEZ / w.o.d. / KUZIRA(O.A.)
・ATMC:CENT / I's / Ivy to Fraudulent Game / Rhythmic Toy World /
THE FOREVER YOUNG / The Ravens / カメレオン・ライム・ウーピーパイ /
シンガーズハイ / 神聖かまってちゃん / トップシークレットマン

[チケット]
各日 一般(中学生以上) ¥8,000 / キッズチケット(小学生) ¥3,000(税込)
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