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あくまで直感なのだが、9.11以降の世界のパワー・バランスの崩壊を予見したような不気味な『Kid A』以降、RADIOHEADの不穏な通奏低音は変わらない。だが、この新作はそれでも人が人としてよりよくお互いを思いやり生きるための、何か心のチューニングを整える一歩前に出た印象がある。具体的には近年、フル・オーケストラやイスラエルのミュージシャンとの仕事も行うJonny Greenwoodと、ソロでDJ的な表現も行ったThom Yorke双方のアプローチが並列する「Burn The Witch」、久々にギターらしいギターが聴ける「The Numbers」、抑制されているものの、リズムがサンバであることに驚く「Present Tense」など、音楽があらゆる境界を溶かす静かで微かな希望が聴こえてくるというか、身を浸していると感じられる。
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2000年創立以来、旬なアーティストや海外でも評価の高いバンドを次々とリリースして来たホステス・エンターテインメントのレーベル・コンピ第2弾が登場。前作も充実の内容だったが今作はそれを上回る豪華さ。RADIOHEADやARCTIC MONKEYSの新作からはもちろん、2011年の年間ベストに軒並みランク・インしているBON IVERなどが収録されたDISC1は今年の洋楽シーンを手っ取り早く知る意味では最適の1枚。続くDISC2は話題沸騰のHOWLERを始めICEAGEなどこれからが期待される新人が並ぶ。ジャンルを横断しながら今の空気をしっかりと伝えるセレクト。個人的にはDISC2をしっかり聴き込んでほしい。とにかくお得なアルバムだ。
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現ロック・シーンの重要アイコンはどこへ向かうのか?RADIOHEADがスタジオ・ライヴ映像作品『Live From The Basement』をリリースする。本作のポイントは、最新作『The King Of Limbs』の8曲に加え「The Daily Mail」と「Staircase」の未発表音源&RECORD STORE DAYにて限定リリースされた12インチ・シングル「Supercollider」のライヴを収録。さらにサポート・ドラマーを含む新体制の6人編成でパフォーマンスを行なっている。また、最近のRADIOHEADはメディア露出が少なく、スタジオ舞台裏風景を収めた映像も貴重なものだろう。昨年リリースされたリミックス集から本作と多角的な考察を強いる『The King Of Limbs』だが、ブラッシュ・アップされたアンサンブル、細分化されたリズムにフィジカルなロックンロール回帰を促がしているように思えるが......その答えはあなたの眼で確かめてほしい。
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今年2月に発表されたRADIOHEADの8thアルバム『The King Of Limbs』。そのリミックス・シリーズが完全生産限定12インチ・アナログ・シングルでリリースされ、即完売していた。だが今回そんなリミックス・シリーズが、2枚組アルバムとしてリリースされることに急遽決定。Four Tet、CARIBOUなどクラブ・シーンで活躍する人物や、NATHAN FAKEやSBTRKTなど今日のミュージック・シーンを盛り上げるアーティストまで幅広いリミキサーが揃っている。「Bloom」は5種類のリミックスが収録されているが、原曲を生かしたアレンジ、原曲を一切無視し楽曲のとある箇所だけをフィーチャーしたアレンジなどなど、手掛ける人物によってまったく違う側面を切り出してくる。これぞリミックスの醍醐味だ。
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Veni Vidi Viciousが息を吹き返した。そして覚静した。思えば、活動休止発表時、入江良介自身は解散の気持ちでいた。つまり、本当なら、VVVは1年半前に死んだも同然だった。そんな、事実上の死、そこを抜け出た先にあったものこそが、本作のタイトル・トラック「Good Days」。自分が死んだと仮定して妻と子供に書いたという、“僕が守る”ではなく愛する者の幸福をひたすらに願うこの曲は、彼が自らを殺すことで、初めて外界と繋がることが出来た曲でもある。そして、入江良介自身がTwitterでもって“届け!”と言い、拡散希望を、“繋がり”を求めたこの曲には、これまでのVVVでは持ち得なかったものがいくつも詰まっている。人生への、愛、希望。音楽への、愛、希望。ここには、命と希望、そしてバンドにとっての変化と発展がある。
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昨年1月の突然の活動休止から389日、静かに復活を遂げたVENI VIDI VICIOUS。復活後1作目となる本作は、過去2作と比べると、そのジャケットのごとく全体的に暗く煙ったい。だがこの煙は、ただただぼんやりと漂っているようでありながら、気付けばこの身にまとわりついて離れない。暴力や酒が飛び交う喧騒の真ん中で、それを斜に構えて見ているような、野暮ったい悲恋を描いたジム・ジャームッシュのような、ひどく寂しい映画の如く、どこか虚しくも愛おしさが募ってしまう世界のより深くまで誘われ、気付けばその深みにはまっている。“いつだって世界は嘘にまみれる”“願わない 信じない そうやって生きてきた”…言葉を拾おうとしたらきりがないほどに、切れ味鋭くも脆く不安定な刹那がいくつも詰まっている。
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来年3月に来日公演が決定しているアメリカン・ロックを代表するバンド、WILCOから通算13作目となるスタジオ・アルバム『Cousin』が届いた。本アルバムは英ウェールズのミュージシャン Cate Le Bonをプロデューサーに迎えて制作。彼らが外部プロデューサーと組むのは6thアルバム『Sky Blue Sky』(2007年)以来とのこと。キャリアを通じて一貫された実験的な姿勢は今作でも健在で、オルタナ・カントリー・テイストのリード曲「Evicted」で見せるシンプルな音像ながらも繊細で奥深い表現力には舌を巻くばかり。Le Bonが"WILCOのすごいところは、彼らが何にでもなれること"と語っているように、WILCOというバンドの柔軟性と懐の深さを再認識させられてしまう1枚。
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"俺が作る最高の曲を、お前ら、どれだけぶっ壊せるんだ!?"というフロントマン、Jeff Tweedyの挑戦に経験豊富な名うてのミュージシャンたちが応え、バチバチと火花を散らしていたWILCOも今は昔。Tweedyのソロ活動を挟んで、3年ぶりにリリースするこの11作目のアルバムは、作品を重ねるたびごとに強まっていった歌志向がついに頂点に達したことを思わせる。まるでTweedyのソロを、WILCOのメンバーと作ったみたいだ。最初に聴いたときは、ボソボソと歌うTweedyのヴォーカルの印象のせいか、あんまり地味でびっくりしたが、聴いているうちに味がしみるいわゆるスルメ盤。Tweedyが屈指のメロディメーカーであることを改めて実感。バンドの演奏はちょっとTELEVISIONを思わせるところも。
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ベスト盤、レア・トラック集を挟んで、現代のUSロックを代表するバンド、WILCOが4年ぶりにリリースした9作目のオリジナル・アルバム。その印象を端的に言うなら、THE BEATLES(の影響)とアヴァンギャルドなサウンド。前2作の流れからさらにルーツ・ロック色濃い作品になるかと思いきや、こういう作品を作ってしまうところが現代屈指のソングライターが率いる最強のポスト・ロック~ジャム・バンドであるWILCOの面白さ。変拍子やノイズも交え、00年代前半に追求していたプログレッシヴなバンド・アンサンブルにアプローチしながら、それをポップ・ソングとしても楽しませることができるのが今の彼らだ。全11曲30分強という長さも心地いい。つまりここにはムダなものは一切ないということだ。
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オルタナ・カントリーという音楽基盤を持ちながらも実験的な試みを繰り返し、知性溢れる良質な楽曲を生み続けるアメリカ、ポスト・ロック界の至宝WILCO。ベスト・アクトとの呼び声高いFUJI ROCKでのライヴが記憶に新しい彼らだが、その時、披露された「I Might」や「Dawned On Me」といった歌心溢れるライヴ・ナンバーも収録された今作は、新たに設立された彼らのレーベルdBpm Recordsからの初作品。メンバー個々の確かな技能によるバンド・アンサンブルが美しい構成を成し、随所に配された音楽IQの高さが伺えるアイデアに二ヤリとさせられる。豊潤な音の実りを感じさせる今作は、全音楽ファン必聴の内容だ。国内盤には、秋よりツアーを共にするあのNick Loweのカヴァーが収録(涙)!
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WILCOの最高傑作と言われる4枚目『Yankee Hotel Foxtrot』から7年。当時夢中になって『Yankee Hotel Foxtrot』を聴いた憶えがある。その後主要メンバーの脱退を経ながらも2 枚のアルバムをリリース。音楽的冒険心はあるものの、やはり『Yankee Hotel Foxtrot』を越える作品にはなっていなかった。そして今回の通算7枚目のオリジナル・アルバム。タイトルは初のセルフ・タイトル。60年代のサウンドを意識したと語る様に、とても耳障りのいい作品。「Wilco(This Song)」を筆頭にシンプルで前2作には無かったとても明るく風通しいい楽曲が並ぶ。Feistとのデュエット・ナンバーも収録。こんなWILCOを待ってました。充実の力作。