今作は、再結成時に参加できなかったオリジナル・メンバー Jay Darlington(Org/Key)の、実に25年ぶりの復帰作ということで話題となっているが、注目したいのはなんと言ってもそのエネルギッシュなサウンドだ。ライヴ・パフォーマンスを意識したキャッチーな踊れるサウンド、ボリウッドのノリとサイケ・ロックのグルーヴ感、アーティスティックでユーモアのあるスパイス的要素、シンプルにやりたいことが凝縮されたコンパクトな仕上がり、そのすべてが絶妙に調和している。青春時代を一緒に過ごして、人生と音楽経験を共に積み上げてきたメンバーたちが、その再会を喜び合うように共鳴し作り上げられたサウンド。感動すら覚える、この祝福されたサウンドはぜひライヴでも体感すべきだろう。
デビューから20年、そして再結成から10年という記念すべき年にリリースする5作目のアルバム。前作から実に6年ぶりではあるけれど、ブレみたいなものはこれっぽっちも感じられない。すなわちインド音楽からの影響を始めとする東洋の神秘と60~70年代のブリティッシュ・ロックへの憧れを、そのまま反映させたサイケデリック且つグルーヴィなロック・サウンドはここでも健在。円熟味で勝負するこのアルバムを、"衝撃"と語られることが多い最初の2枚と比べるのは野暮ってものだろう。トラッド・フォークやウェスタンの影響を、エキゾチシズムのひとつとして取り入れているあたりはまさにKULA SHAKER。ファンキーなTrack.10「Get Right Get Ready」からロック・バンドとしての芯の太さが感じられる。