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Japanese
大ヒット曲「廻廻奇譚」も収録した前作『廻人』から約2年8ヶ月ぶりとなるアルバムは、その勢い衰えることなく、豪華タイアップ曲が目白押しの全19曲。「ティーンエイジブルー」や「スイートメモリー」では澄んだ空やきらめく水面を染める青春の青、「lazy cat」や「逃避行」では夜明けを待つ空を染める深い憂鬱のブルーと、爽やかなポップ・ロックもクールなダンス・ナンバーも色彩豊かに様々な"Blue"を描く。「さよならエンドロール」が象徴するように、ダークな感情を吐き出しながらも希望を見いだしていく姿は、地の底から青空を覗かせるジャケットにも通ずる。神秘的な「Under Blue」から、青の持つ冷たさを包み込むような「夢に逢えたら」が締めくくるラストも美しい。
リリースごとに名を広めてきたアーティストではあるが、本作はTVアニメ"呪術廻戦"のOP主題歌に、アニメ映画"ジョゼと虎と魚たち"の主題歌&挿入歌を収録......と、さらに遠くまで届きそうな予感。それでいて、「廻廻奇譚」から感じる筆の乗りの良さにも、「蒼のワルツ」の3拍子が生む大きなスケールにも、「心海」の開放感にも、タイアップもとに負けない熱量が詰まっている。他4曲は、エレクトロ・ポップからピアノやストリングスの鳴るバラードに移行するまでの流れが美しく、中には、曲の運び方に新鮮味を感じさせる曲や、コロナ以降だからこそ出てきたのであろう言葉が歌われた曲も。7曲入りEPという形式を採った点も含め、全体的にクリエイティヴの充実が読み取れる。
荘厳なストリングスと軽いビートが不思議と溶け合う「LEO」、心躍るイントロから息急き切るように歌い出す「レーゾンデートル」(直訳すれば"存在意義")、爽やかさに胸を撫で下ろしながら曲名を見てみるとハッとする「虚の記憶」、めくるめく音色とメッセージが押し寄せてくる「いのちの食べ方」......Eveという人は言葉を紡がずには、音を鳴らさずには、生きていけない人なのではないか。そんなことを思うほど、ズシリと響くフル・アルバム。ライヴでハンド・クラップが巻き起こる光景が見える「心予報」、澄んだファルセット・ヴォイスが聴ける「白銀」など、開放的な一面も見られるが、アーティスティックに捻じれたような「胡乱な食卓」がラスト・ナンバーというところに、なぜかホッとする。
『文化』に続く2枚目の全自作曲アルバム。トータル・デザイン力に秀でたアーティストらしく、アルバム1枚を通して物語を描く姿勢は健在で、その物語は前作よりも鮮やか且つ精巧なものになった印象だ。ここ最近ネット発アーティストの台頭が目立つが、やはり先陣を切っていくのはこの人だと改めて思った。ただ、個人的に最も気になったのはそこではない。本作では、MVやライヴなどですでに披露されている新曲と、完全未発表曲が共存していて、真ん中に通る軸こそは同じだが、両者の間にわずかな変化を読み取ることができるのだ。この1年での大きな出来事と言えば初のワンマン・ツアーの開催。生身のコミュニケーションが彼の創作に何か影響を与えたのだとすれば、それは非常に興味深いことだ。
『エルマ』以降、日記帳や小説付きの大作が続いたヨルシカだが、2021年第1弾リリースとなる『創作』は初となる5曲入りEP。全体を通してアコースティックな手触りを大切にした温かなアプローチが印象的だ。季節の移ろいを風流に描いた「春泥棒」、鳥がさえずるインスト曲「創作」からつなぎ、打ち込みと牧歌的なサウンドが溶け合うミディアム・テンポ「風を食む」、カントリー調のアプローチも取り入れ、幻想的な夜を描いた「嘘月」など、新境地と言える楽曲が並ぶ。ヨルシカと言えば、夏の曲が多いイメージも強いが、今作は春の曲ばかり。それも春の終わり際の儚さに主眼を置いた。これはいいことも悪いことにも、必ず終わりが訪れるという、ひとつの暗喩だろうか。彼らの音楽はいつも深読みをしてしまう。
これまで緻密に作り込んだ2枚のミニ・アルバムで、リスナーを"ここではないどこかの物語"へと誘ってきたヨルシカが、"音楽を辞めた青年"を主人公にした初のフル・アルバム『だから僕は音楽を辞めた』を完成させた。できれば、今作は初回生産限定盤を手に取ってほしい。音楽を辞めることを決意した青年が"エルマ"に宛てた全14曲の楽曲に加えて、オスカー・ワイルド、ヘンリー・ダーガー、松尾芭蕉ら、偉大な芸術家たちの言葉を引き合いに出して綴られる"手紙"が今作への理解を深めてくれる。"音楽を辞めた"というセンセーショナルなモチーフをテーマにすることで、コンポーザー n-bunaが抱く思想や哲学を徹底的に炙り出し、ひいては"音楽をやる理由"が浮き彫りになる構造が秀逸。
ヨルシカの新しいミニ・アルバムのタイトルが"負け犬にアンコールはいらない"だと知って驚いた。めちゃくちゃエモいじゃないか。前作ミニ・アルバム『夏草が邪魔をする』では、ソングライティングを手掛けるn-buna(ナブナ)が自身の死生観を色濃く反映させた切ない夏物語を描いたが、あれから約1年を経てリリースされる今作は、同じ夏の匂いを継承しながらも、"どこかの誰かの物語"とは一蹴できないリアルが滲む。"もう一生、後悔したくない僕らは吠えたい"と歌う表題曲「負け犬にアンコールはいらない」を始め、荒々しい曲調も多い。輪廻転生をテーマに、ピアノによる美しいインスト曲を挟みながら現実と非現実の間を彷徨うようなアルバムは、最後に不思議な余韻を残してくれた。
ニコニコ動画で200万回再生を記録する人気曲を生み出してきたボカロPのn-buna(ナブナ)が女性ヴォーカル suis(スイ)を迎えて結成したバンド"ヨルシカ"の1stミニ・アルバム。ピアノの繊細なフレーズが紡ぐインスト曲「夏陰、ピアノを弾く」から幕を開けると、ギターを中心にした表情豊かなバンド・サウンドのなかで描かれるのは、夏の気配を漂わせた切ない恋の物語だった。それはハッピーなラヴ・ソングではなく、すべてが死別を思わせる悲恋の楽曲。カトレアの花、青い空、夕立ち、花火、入道雲という夏を連想させるワードが散りばめられた曲たちは全7曲がそれぞれに独立しながらも一篇の小説としてリンクしているようにも聴こえた。テーマは悲しいが、作品をカラリと爽やかに仕上げたのはsuisの透明感のある歌声の存在が大きい。
自分自身が生み出す作品に二面性があるなと感じていて
このアルバムで一度夢から覚めたいなって気持ちになったんです
それは果たして呪いか、祈りか――? ヨルシカが描く"音楽を辞めた青年"が遺したひとつの物語
"もっと人間的な部分を出した活動をしてみたい" 気鋭のボカロP×透明感溢れる女性ヴォーカルが描く"死の救済"
ヨルシカ、音楽画集『幻燈』で描く"生"とその先
受け手に解釈を委ねつつ、死生観を具現化したコンセプチュアルな、ライヴ"月光"をブラッシュアップした再演を映像作品化
ヨルシカ、初のライヴ映像作品『前世』で描く"生まれ変わる"という死生観
ヨルシカ、"春"をテーマにした新作EP『創作』で表現する、『盗作』の主人公"音楽の盗作をする男"との繋がり
ヨルシカ、約1年ぶりのニュー・フル・アルバム『盗作』完成――音楽を盗んだ男の破壊衝動をテーマにした物語が伝えるもの
『だから僕は音楽を辞めた』の続編となる2ndフル・アルバム完成! 大いなる喪失感が導いた結末とは......?
2019.10.30 @渋谷WWW X
2018.11.04 @新木場STUDIO COAST
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