メンバーの脱退を経て完成した前作の『ULTRA』以来2年3ヶ月ぶり6枚目のアルバム。自主レーベル"ORANGE LINE TRAXXX"を立ち上げる等、独自の活動をおこなう彼らの音楽はエレクトロ、レゲエ、スカと多彩で、一種の音楽研究所的な印象も受ける。タイトルに『HYPER FOLK』とあるように、楽曲の原型はフォーク・ギター1本でどこへでも出かけて演奏できるようなものなのだろうが、それをこうした色彩豊かな作品群にまとめ上げるメンバーの才能は特筆もの。カントリー・タッチの「春のもえがら」からインスト曲「virgo steps」への流れなどは映画音楽のようだ。器用すぎるきらいも感じるのだが、何度でも楽しめそうな作品。
9枚目のシングルはDE DE MOUSEが手掛けたリミックス、震災後に無料配信されていた「PRAY for」の新録など全5曲がパッケージされた豪華盤。表題曲は自然も人間も世界もすべてを包み込む壮大な賛歌。ヴァイオリン、トロンボーン、フルート、子供の声......たくさんの音が集合して作り上げる圧倒的な世界は、まさ幻想的なシンフォニー!刻まれるビートが命の鼓動のように包み込み、ミュージック・ビデオではメンバーが不思議なダンスを披露。 bonobosは今年、結成10周年を迎える。今までメンバーの脱退などもあったが、アニバーサリー・イヤーにこんな新作を届けてくれたことを祝福したい。内から湧き出る歓びがあふれ出たような今作、ライヴだと感動倍増は確実。