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Overseas
設立40周年を迎えた英国のインディー・レーベル、4ADを代表するDEERHUNTERが提示するバンドの新たな可能性。タイトル"Why Hasn't Everything Already Disappeared?(なぜすべてが消えていないのか?)"とアートワークを目にしたあと、本作を聴いて、まずその一文が頭に浮かんだ。カオティックな歌詞とテーマでありながら、華麗で儚いサウンドを調和させ、独自の世界観を形成してきた彼ら。今作の軸に据えるのはクラウト・ロックだが、ハープシコードやストリングス、ピアノが加わり、その音の鳴りはナチュラル且つクラシカルだ。このポスト・モダン的な手法により洗練された世界観はさらに深度を増し、美しさで空間を支配する。創意に満ちた1枚。
ダークで不穏なガレージ・サウンドの中に甘美な側面を窺わせた前作『Monomania』とは一転、"いよいよBradford Coxは現世にいながらにして彼岸を見たのか?"と言いたくなるような、ドリーム・サイケなんて言葉では言い尽くせない世界観を提示してきた。すでにMVが公開されている、ミニマル・ファンクなビート感とサウンドが新鮮な――でもやっぱりどこか歪んでいるし揺らいでいる「Snakeskin」みたいな曲はこの曲だけ。彼らの名前を世界的に押し上げた『Halcyon Digest』を手掛けたBen Allenが今作もプロデューサーを務めているせいか、テクノ的なアンビエンスと生音のバランスは近いが、よりビートは後退。ぞっとするほど美しいメロが満載だ。
新しいアーティスト写真を見て驚いた人は、それ以上の衝撃をこの作品から受け取るだろう。フロントマン、BradfordがATLAS SOUNDの3rdアルバム制作後に陥ったパラノイアックでパーソナルな状況は混沌としたボーカリゼイションに、相反してバンド・サウンドは開放的で、思いつきをそのまま反映したようなノイジーかつノクターナル(夜の)ガレージで、むしろ無邪気なまでに開放的。これまでが半覚醒の睡眠導入音楽だったとしたら、今回は鬱屈し傷ついた魂を吐き出した生きるための音楽。ちなみにBradfordはLou Reedの『Metal Machine Music』が精神病を患う少年たちになぜか人気が高いことにインスピレーションを受けたのだとか。破綻寸前のアンサンブルも愉快で気高く聴こえるのもそのせいだろう。傑作。
08年リリースの前作『Microcastle』は各メディアで高い評価を集め、一躍USインディ・シーンの中心バンドの一つに上り詰めたDEERHUNTER。今思うと昨今のインディ・サイケポップ・ムーブメントの流れを作ったのはNO AGEとこのバンドである事は間違いないだろう。共同プロデューサーにANIMAL COLLECTIVEを手掛けたBen Allenを迎えた4作目は、水の中に吸い込まれるようなサイケデリアとATLAS SOUNDの流れを汲んだシンプルでポップなメロディ溢れる素晴らしい作品だ。緻密なサウンド・プロダクションはもちろん、圧倒的な美しさを放つ本作はサイケ・ポップというカテゴリーに収めるにはとても無理がある決定的な一枚。
2008年、世界各地で大絶賛を浴び、ニューゲイザー・シーンの決定打となった『Microcastle』の日本盤がいよいよ発売される。ここまで日本盤が遅れたのは、本作が発売直前に急遽2枚組みに変更となり、日本のレーベルが対応できなかった為らしい。媚薬のように脳内に浸透してくる多彩で重層的な音と声を、一本の命綱のようなタイトなドラムが支える。DEERHUNTERにとって、ドラムがタイトでなければならない理由は、Bradford CoxのソロユニットATLAS SOUNDと比較するとよく分かる。Vo/GのBradford Coxが持つ表現衝動の危なっかしいまでの切実さが、フィードバックノイズの向こうから滲み出てくるが、その危うさをギリギリのところでポップに昇華しているところにDEERHUNTERの魔法がある。
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2009.06.08 @渋谷O-WEST
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