朝日が昇るようなインスト曲から、大陸感のあるドラムとコーラスが聴き手を奮い立たせる「From the Ground」で幕を開ける、Ryu MatsuyamaのニューEP。前作以上に多彩なアーティストとタッグを組んだ1枚で、またレンジを広げている。ドラマ"大豆田とわ子と三人の元夫"ED主題歌でも話題のMC、Daichi Yamamotoとの共作曲は、ジャマイカとのハーフであるYamamotoとイタリアで育ったRyu(Pf/Vo)のバックグラウンドをテーマにしたナンバーで聴き応え充分。YouTube 2.5億再生を誇るタイのポップ・アーティスト、Max Jenmana参加の「Under the Sea」ではファンキーで今風なネオ・ソウルに挑戦しており、両者の新たな扉を開いている。
オルタナ好きなイタリア育ちのヴォーカル&ピアニストと、広くJ-POPアーティストのサポートを行うベーシスト、そしてバークリー音楽大学卒のドラマー。とくれば、スキルフルなジャム・バンドあたりを想像してしまうが、このトリオの奏でる音楽は自然、街などの情景と、上昇していくエモーションをアンサンブルで表現した"人間活動のBGM"とも言えそうな普遍性の高いもの。3作目となる今回は、初のストリングスを導入したTrack.2「To a Sunny Place」など、爽快なカタルシスを生むナンバー、RyuのフェイバリットであるBON IVER的な繊細なヴォーカリゼーションのTrack.3「Do it Again」、ギターも入った、ディープで静謐な世界観のTrack.5「In this Woods」なども。歌を軸に自由自在に展開する演奏の醍醐味を堪能したい。