Japanese
バンドじゃないもん!MAXX NAKAYOSHI
Skream! マガジン 2022年12月号掲載
2022.10.29 @東京国際フォーラム ホールC
Writer 藤坂 綾 Photo by 真島洸
今年10周年を迎え、"MEDETA YEAR♡(メデタイヤー)"と題し様々な企画を行ってきたバンドじゃないもん!MAXX NAKAYOSHI。9月には主催のサーキット・イベント"NAKAYOSHI FES.2022"を開催した彼女たちが、7月から始まった"バンもん!全国ツアー2022「らぶらぶ♡マウンティングツアー」"のファイナル公演を、10月29日、国際フォーラム ホールCにて開催した。
会場での注意事項などを自らの声と映像でお知らせし、期待値の上がる会場に飛び出してきた6人。カラフルな色に染まったフロアは、声は出せずとも熱気は十分で、「ツナガル!カナデル!MUSIC」でライヴはスタートを切る。ショルダー・キーボードを抱えた甘夏ゆずとベースの望月みゆがグイグイ煽り恋汐りんご、ななせぐみ、大桃子サンライズとともに鈴姫みさこのドラムの周りを取り囲む、これぞバンもん!(バンドじゃないもん!MAXX NAKAYOSHI)ならではのライヴ・スタイル。どこまでも目が離せない。そのままライヴの勢いは止むことなく、メンバー紹介へ。
この日ステージに設置された大画面や宇宙ステーションのような壮大なステージ・セット、そのすべてがこの会場にいたみんなのおかげだと感謝を伝える望月。そこから一転、父親が江戸っ子だという大桃子サンライズの話から、メンバー全員でマウント話が繰り広げられる。「強気、Magic Moon Night~少女は大人の夢を見る~」では、ミラーボールと飛び交うレーザーでド派手なステージングを見せ、続く「マウンティングガール」では、後輩グループがステージ上に登場し、キュートで艶やかなパフォーマンスを披露する。
盛り上がる一方の身体と想いを落ち着かせるため、ファンをいったん席に座らせしばしのブレイク・タイムを挟み、恋汐りんごが"この場所でこの時間を一緒に過ごしていることがもう奇跡だし、ここにいるみんなが最前線"と歌った「こちら、最前線...♡?」からは、また止まることなく、「しゅっとこどっこい」、「キメマスター!」と勢い良く飛ばしていく。1秒たりとも気を抜かず、全力で届けようとするその姿がもう感動的で、そこに10年の歴史が見えたかのようで、ただただかっこいい。
バンもん!にしか歌えない闘いの歌「SUMOU」では、バンもん!にしかできないぶっちぎりのバンド・サウンドで会場をさらに熱くし、「DAN PATSU SHIKI」では激しいシャウトを聴かせ、たくさんの拳が上がった「Q.人生それでいいのかい?」で会場の熱量はマックス。メンバーのパワーも凄まじいものがあったが、もちろんファンも捨てたもんじゃない。歌い終わったあと大桃子サンライズが"魂、削った気がする"と言っていたが、それは受け取る側も同じで、本気の想いのぶつけ合いがしばらく続いた。
それぞれがそれぞれの10年を噛みしめるかのように、いろんな思い出を振り返ったり、いろんな気持ちを確かめ合ったり、いろんな想いを伝え合ったり。これまで歩んできたその10年が手に取るかのように伝わってきた「O」、「White Youth」はとてもドラマチックで、それに続く「君の笑顔で世界がやばい」とラスト「UP↑ぷらいむ」はバンもん!らしい全力の笑顔と全力の想いで届けてくれた。アンコールは「ショコラ・ラブ」、「ハッピーバースデーソング」を披露する。鳴り止まない拍手に応え、ダブル・アンコール「NaMiDa」で終了した10周年のツアー・ファイナル。
バンもん!のメンバー間の愛、ファンへの愛、音楽への愛、人への愛、地球への愛、宇宙への愛、そしてバンドじゃないもん!MAXX NAKAYOSHIへの愛がダダ漏れだったこの日、彼女たちの未来をとにかく待ち遠しく感じてしまった。この限りのない愛がいったいどこへ到達するのだろうか、できることならこの目で確かめたい。そう感じたのは、この日この場所でこの10年をしっかり見せてくれたからだ。これからのバンもん!へと繋がるこれまでの10年が、ひとつ残らず表れた夜だった。
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