Japanese
CODE OF ZERO
Skream! マガジン 2022年02月号掲載
2021.12.26 @代官山UNIT
Writer 山口 智男 Photo by 小林弘輔
0Cの涙腺がぶっ壊れるんじゃないか!? 自分たちを迎える観客の盛り上がりが想像を超えていたということらしい。横ノリのラウドロック・ナンバーというCODE OF ZERO(以下:COZ)の新機軸を打ち出した1曲目の「WHAT IS THE BRAVE?」から、「1337」、「QAdream」と畳み掛けるように演奏したタイミングで、0Cが"もう泣きそうだ"なんて言うもんだからちょっとハラハラしたものの、すぐに気を取り直した0Cは、"2021年のCOZのテーマだった勇敢さがなんなのか伝えたい"と宣言。そして、"勇敢さを持って、来てくれたんだから思う存分に楽しんでほしいです!"とフロアを埋めた観客に語り掛け、序盤の3曲以上に熱度の高いパフォーマンスを、バンドとともに披露する。すると、観客もまた、それまで以上に激しいアクションで、0Cの想いをしっかりと受け止めていることをアピールしていった。
5ヶ月連続配信リリース企画と題して、2021年8月から毎月新曲をリリースしながら、全国各地を回ってきた"CODE OF ZERO Pre.「Road to our BRAVE Tour」"がこの日、ファイナルを迎える。5ヶ月連続配信リリース企画の第1弾で、「WHAT IS THE BRAVE?」と問い掛けた0Cが、"This is our BRAVE"と題したツアー・ファイナルのステージに、どんな想いで立っているかは、前掲の彼女の言葉通りなのだと思うが、それがただ悲壮なだけで終わらず、例えば、慈愛なんて言葉も使ってみたいポジティヴな温もりで観客を包み込むような瞬間もあるものになったのは、やはり"愛を知れば/世界は変わる"と歌うダンサブルなポップ・ナンバー「tell everything only you」があったからこそなんじゃないか。5ヶ月連続配信リリース企画の第3弾となったこの曲を作ったことで、観客を踊らせるだけではなく、自分自身もとびきりの笑顔で歌えるような曲がライヴのレパートリーに加わったことは、これまでともすればネガティヴな感情と刺し違えるように歌ってきた0Cにとって、ひょっとしたら大きなターニング・ポイントになるかもしれない。
「Human-Emo」、「Over The Limit」、「out of control」とCOZのライヴには欠かせないアッパーなロック・ナンバーを畳み掛け、観客とともにコロナ禍以前のライヴが戻ってきたんじゃないか!? と思えるくらい大きな盛り上がりを作ったラスト・スパートも大きな見どころだったが、その直後に"人生に無駄なことなんてひとつもないよね"と前置きしてから歌った、ダンス・ポップ・ナンバー「L.I.F.E.」ではミラーボールが眩い光を放つなか、観客全員がワイプで応えるという壮観な景色を作り出した。曲調、メッセージともに「tell everything only you」の前章とも言えるこの曲が再び輝き出したのは、「tell everything only you」があるからこそだ。
そして、この日の真のクライマックスは、5ヶ月連続配信リリース企画の最後を飾った爽快なロック・ナンバー「KEEP GOING」とともにやってきた。"ライヴハウスを離れる人もいるなか、進み続けることが私の勇敢さでした。これからも一歩一歩進んでいこうと思います"という想いを込めながら、「KEEP GOING」を歌う0Cの前に観客全員が手にしたサイリュームの光が広がったのだ。予想もしていなかったサプライズに思わず感極まった0Cの姿に、見ているこちらもちょっとびっくりしたが、ライヴハウスには音源を聴いているだけでは体験できない驚き、楽しさ、そしてそれを分かち合う一体感がある。そんなライヴの醍醐味を、この日、誰もが今一度感じたに違いない。
"みなさんからの愛、確かに受け取りました!"
アンコールの「MAKE ME REAL」でも0Cは手拍子で応える観客に破顔一笑した。その笑顔を見ながら"これからCOZのライヴは、いや、0Cが作る曲も、包容力という意味でちょっと変わっていくんじゃないか"。そんな予感がしたのだった。
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