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LIVE REPORT

Japanese

MOSHIMO

Skream! マガジン 2021年07月号掲載

2021.06.13 @新宿LOFT

Writer 三木 あゆみ Photo by かわどう

MOSHIMOというバンドが愛される理由がぎゅっと詰まったようなライヴだった。2021年6月13日、新4人体制となって初、そして約2年ぶりとなる全国ツアー"BARI BARI ROCK TOUR -初夏 眠れる獅子を呼び覚ませ-"の東京公演を開催したMOSHIMO。コロナ禍でツアーやイベントの延期/中止が続いていたなかで、ようやく叶った有観客ツアーであり、"ライヴが生きがい"と常々口にしているMOSHIMOにとっても、ファンにとっても待ちに待った公演だっただろう。なお、この日は重大発表あり、サプライズあり、さらに衝撃の告白あり(!?)と、記憶に残る一夜にもなった。

岩淵紗貴(Vo/Gt)が"みんな元気にしてましたかー!? 久しぶり! 久しぶり!! 全力で楽しんでいきましょう!"と、開口一番テンションMAXで観客を煽ると、一気にフロアのボルテージが上昇。そのまま、"盛り上がっていこうぜー!"という岩淵の叫び声を皮切りにライヴが幕を開けた。MOSHIMOのライヴで感じるのは、バンドと観客の心の距離が近いこと。この日の公演では、歓声の制限がある状況でも、誰ひとり置いていかず、自分たちも含めて会場の全員を巻き込んで楽しもうというバンドの覇気が感じられた。

ダメ男へのかわいいヘイトをぶちまける「釣った魚にエサやれ」では、アッパーなサウンドでフロアを沸かす。......のだが、曲中の岩淵と一瀬貴之(Gt)との掛け合いの中で、なんと岩淵が"昨日振られたばっかりなんですよ"と暴露。これにはメンバーや観客もびっくりであったが、岩淵のすべてをぶちまけるような歌唱を受けて、パワーを送るように観客の手拍子もどんどん大きくなっていく。プライベートなことまで赤裸々に話し、いつだって正直な想いを曝け出してしまうところも、MOSHIMOの魅力のひとつだと思うし、そんな全力でまっすぐなバンドだからこそ、ファンたちも正面からぶつかっていけるのだろう。岩淵は、自身の気持ちに決着をつけてスッキリしたことを話し、"この夏は、みんなと突き進むための夏にしたいから、こんなの全然平気って思って今日やってきたんで、どうぞよろしくお願いします!"と強く宣言していた。

アグレッシヴ且つ爽快さもある一瀬のギター、グルーヴを引っ張る骨太な汐碇真也のベース、キレキレでありながらタフなビートを響かせる高島一航のドラム、そこに乗る岩淵のパワフルで様々な感情を爆発させるヴォーカル。「浮気をするならバレずにやれよ」や「バンドマン」などライヴで盛り上がり必至のナンバーを含め、時に激しく、時にポップに、時にしっとりと熱いロック・サウンドを鳴らし、観客を魅了していく。

待ってましたとばかりにクラップが巻き起こった「電光石火ジェラシー」では、フロアの熱量も最高潮に。岩淵は、フロアのひとりひとりと1対1で向き合うように、マイクを持ってステージ前方に乗り出す。お決まりの"アウト セーフ よよいのよいよい"コールでは、観客は声が出せない代わりに振付で、全力でステージにその熱を返していた。「命短し恋せよ乙女」では、悩みを抱えるファンたちにエールを送るなかで岩淵が"みんな、つらいことがあっても私がいるから、安心しろな! 天国も地獄も一緒にいてやるから"と心強い言葉で人々の背中を押す。そして曲中で、事前に予告されていた"重大発表"の内容が明らかに。"MOSHIMO、この夏メジャー・デビューします!"(岩淵)と、8月4日にフル・アルバム『化かし愛』でメジャー・デビューすることを発表! フロアは歓喜の大拍手で包まれた。

アンコールでは、6月10日に誕生日を迎えた岩淵を祝うため、サプライズでケーキも登場。メジャー・デビュー決定とダブルでお祝いをするかたちとなった。音楽でリスナーへ元気を届けることに全力なMOSHIMOだが、ファンたちもまた全力でその愛を返しているように見える。ファンたちとの腹を割って話し合えるような信頼関係が窺えたライヴでもあった。アンコールまでフルスイングで演奏し駆け抜けた4人は、この夏さらにスピードを上げて突き進んでいくことだろう。まずは8月にリリースされるフル・アルバムの到着を楽しみにしたい。

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