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LIVE REPORT

Japanese

FLiP

Skream! マガジン 2013年08月号掲載

2013.07.19 @LIQUIDROOM ebisu

Writer 沖 さやこ

バスドラの効いたヘヴィな「Tarantula」で幕を開けた、『LOVE TOXiCiTY』リリース・ツアー2日目、LIQUIDROOM ebisu公演。FLiPが自らの“本質”と向き合い制作されたアルバムを全身で体感しようと集まったオーディエンスは、2曲目「ニル・アドミラリ」からハイ・テンションなモッシュを繰り広げる。華奢な体から歌を振り絞るSachiko(Vo/Gt)、清涼感のあるギターが印象的なYuko(Gt/Cho)、引き締まった低音をはじき出すSayaka(Ba/Cho)、男子も驚くほどのパワフルなリズムを作るYuumi(Dr/Cho)、4人のアンサンブルも好調だ。“リキッドー! Everybody Dance!”とSachikoが高らかに叫ぶとキラー・チューン「カザーナ」。4人は妖艶にヘヴィなビートを軽やかに繰り出す。続いて“各々思いっきり自分自身を出して楽しんでいきましょう”と「Dear Miss Mirror」「Shut Up, Men!」。コール&レスポンスやクラップで、場内のムードも更に高まる。胸をざわつかせるマイナー・コードを基調としたメロディと、Sachikoの迫る歌声。至近距離でじっと目を見つめられているような気分に陥り胸の高鳴りが止まらない。

Sachikoが笑みと鋭い眼差しを浮かべ、静かに“もっと上がっていきましょう”と言うと「二十億光年の漂流」。今にも泣き出しそうな表情で歌うSachiko。感情があふれ出す姿に思わず釘付けになる。エモーショナルな音像は更に強固に。「かごめかごめ」はその名の通り、鳥が空を舞うように美しいメロディがフロアを飛び回る。「ライラ」ではイントロから大きな歓声が。シンガロングが起こり、4人のアンサンブルの結びつきもより威力を増してゆく。横揺れが気持ちいい「Raspberry Rhapsody」ではキュートな表情を見せるSachiko。今までのFLiPが見せたことのない表情の楽曲だが、なんだか自然体の彼女たちを感じさせる。こういう力の抜き方が出来るようになったのも、自らの本質と向き合ったからなのかもしれない。

“ライヴが大好きだー”と笑うSachikoは、アルバムに対する思いを語り始めた。“現実と胸の中にある理想とのギャップが……8年もバンドをやっていると、多少の違和感を感じることもちょこちょこある”“その違和感をスルーすることは出来ない”“これから先、わたしたちはもっともっと大きくなっていきたいんですよ。だから向き合うことはこのタイミングで必要だと思ったんです”――だがそれは容易いことではなく、壁にぶつかることもあり“音楽をやめてしまおうか”と思ったこともあったそうだ。“だけどFLiPの音を聴くために足を運んでくれる人がいるという現実があることが凄く嬉しいです”と声を震わせながら感謝を口にし頭を下げると、大きな拍手が起こった。氷の結晶の中に4人が佇むようなライティングが印象的な「a will」、音の中に身を投じるように音を奏でる「永遠夜~エンヤ~」、ひとつひとつの言葉と音を大切に、逞しく、しなやかに紡ぐ。終盤は「Log In "Rabbit Hole″」「CHERRY BOMB」「カミングアウト」などアッパーなナンバーを畳み掛け、アルバムのラストを飾る「Bat Boy! Bat Girl!」で本編を走りきった。

アンコールではYuumiが初めて東京でライヴを行ったときのことを話した。“渋谷のLa.mamaで、多分あの時、わたしたちを見に来たお客さんは1人もいなかった”沖縄出身の彼女たちにとって、東京のワンマンでこれだけのファンが集まること、LIQUIDROOMのライヴを成功させたことはとても感慨深いだろう。“100%超えの体力をどうぞわたしたちに下さい”とフロアに告げるSachiko。“全力で受け止めるから全力で歌ってちょうだい、いいですか?”と「平成ジュラシック」「ナガイキス」を披露。女性としての美しく可憐なタフネスに魅了されっぱなしの100分間だった。彼女たちは今後も魅力を高め続けるだろう。

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