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LIVE REPORT

Japanese

Any

Skream! マガジン 2011年04月号掲載

2011.02.25 @渋谷O-nest

Writer 花塚 寿美礼

成長著しいスリーピース・バンドAnyの意外にも初となるワンマン・ライヴが行われた。

開演時間を15分ほど過ぎたころふらりとステージに現れたAnyの3人。 「クローゼット」のワンフレーズを歌ったところで、工藤成永(Vo&Gt)が「さぁ始めよう」とポツリつぶやく。

高橋武(Dr)は歌いながらアグレッシヴに、そしてとにかく良い笑顔でプレイしている。大森慎也(B)は美しい高音のコーラスと共に安定感のあるベースラインを紡ぎ、工藤は冷静な表情を見せてるが、ひしひしとこの宿り木tour 2011・初ワンマンにかける気持ちが遠くまで届く伸びやかな歌声に乗っかっていた。 疾走チューン「Waffle」が発車すると工藤はぴょんぴょんと跳ねる。「ファイナルです! ありがとうございます!」と工藤が挨拶すると、高橋は「そりゃテンションもあが□▲※☆◎…」と気持ちが高ぶりすぎてろれつが回らなくなっている様子(笑)。
そんなMCの後には「夢虫」「ハリネズミ」など繊細な音世界が広がる。
「やっぱ優しさだけじゃダメだよね」と工藤がつぶやき、「雨のパレード」へ。ゆったりとしたナンバーに観客も揺れる。続いて「マーチ」ではフロア中がハンドクラップ! 「JAM」「落雷」、この日より着うた(R)の配信がスタートした未発表曲「エヴリィ」などが披露され「早いもんで次は最後の曲です」とアナウンスされ鳴らされたのは「カナリア」。最後の曲を終え、深々と礼をしてステージを後にした姿に彼らの人柄の良さを感じた。

会場中からアンコールを求める拍手が止まらない中、ステージに姿を現したのは工藤ひとり。しかもアコギを持っている。 「今、大学4年で周りはスーツを着て就職活動していて、きっとこれから友達と違う道を歩んでいくんだなと。俺は音楽で食っていくと決めたけど、もっと根本的にどう生きていっていったらいいんだろう、ということを考えてた去年の年末頃に作った曲です」と弾き語りで演奏された新曲。タイトルはまだ未定のようだが、考えさせられるフレーズがたくさんある曲だった。その後「3人でもやらせて下さい!」と大森、高橋もステージに姿を見せ「13月の雨時計」が披露された。アコースティックのAnyもまた工藤の歌声がサウンドに溶け込んでより優しく響く。

セカンド・アンコールはアルバム『宿り木』でも最後に収録されている「優しい人」。最後の方にはすっかり緊張も解けたのか、工藤が大森に「何か言えよ」と強引なフリをしたりと楽屋トークのようなゆるゆる感もあり、3人の普段のキャラクターが垣間見れたような気がした。

「初ワンマンですげーウキウキしてた。こんなにたくさん来てもらえると思わなかった。最後まで楽しめばいいんですよ! ……気持ちの高揚を歌に乗せることは出来るんだけど、言葉だと伝えられないね」と言っていた工藤。ワンマン・ライヴが初、ということでAnyだけを見に来た人がフロアを埋め、ステージから届けられる音に身を委ねているという状況が何よりもAnyというバンドが大きな存在になっていることを証明しているようだった。平均年齢21歳ならではのフレッシュ感。でもただそれだけじゃない視線を引きつけるライヴを展開していた彼ら。今後、ますます人間的成長をしている中でアウトプットされていく音楽に期待せずにはいられない。

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