Overseas
TEENAGE FANCLUB
Writer 佐々木 健治
正直なところ、これだけアクの強いメンツが集結したこの日のSONIC STAGEで、TEENAGE FAN CLUBはちょっと負けてしまうんじゃないかなと思っていた。素晴らしいメロディを紡ぎだす彼らだが、その音楽の純粋さだけではインパクトが薄くなってしまうのではないか、と。
だが、それは数曲たった時点で間違いだったと分かる。彼らの生み出した素晴らしいメロディは、他の何にも負けないほどの強烈なインパクトを持っているのだ。素晴らしいメロディほど、人の心に訴えかけるものはないとでも言わんばかりに「いい歌」を連発するTEENAGE FAN CLUB。その素晴らしいパフォーマンスに、改めて「このバンドは、何でこんなにいい曲ばかり生み出せるんだろう」とアホみたいな感激の仕方をしてしまった。
「It's All In My Mind」のイントロから大歓声があがり始まったライヴ。素朴で柔らかいアンサンブルとメロディの「The Fall」、爽やかなギターとキーボードが印象的な「Sometimes」、力強いメロディが胸に響く「Baby Lee」という3曲の新曲を織り交ぜつつのセットは、本当に呆れてしまうほどにいい曲ばかり。
しっかりとした演奏で、名曲ばかりを演奏する。単純すぎるけれど、一番難しいことでしょう。TEENAGE FAN CLUBは、それが出来てしまうのだ。「About You」「I Need Direction」「Everything Flows」での歓声からは、ファンのバンドへの深すぎるほどの愛情が溢れていた。
そして、ラストは、「Sparky's Dream」「The Concept」という磐石の流れで、会場中が大合唱。まさに大団円と言えるライヴが終っても、しばらくの間は鳴り止まない拍手と歓声が会場のあちこちから沸きあがっていた。
最高のメロディが持つ、人々の心を捉えて離さないパワーを改めて感じることができた、温もりと優しさに満ちたライヴだった。
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Skream! 2024年09月号