インストやジャズという形容詞をいったん無視して聴いてみると、演奏のダイナミズムやシャレの効いたタイトル、そこから連鎖的に広がるイメージに思わず楽しくなってしまうのが本作の強みだろう。ラウド/ヘヴィ・ロック・バンド顔負けの重く速いタイトル曲「サイコブレイク」、ベース・ラインとギター・カッティングにウルフルズの名曲を思い出してしまった「Hang New's High」、ブラジリアン・ミュージックの中でもポピュラーな楽曲に近いイメージの「Rodrigo de Izu」、the band apartのアコースティックが好きな人にも訴求しそうな「エウロパ」、PHONO TONESとのスプリット所収の「シエノとレイン20形」、ぐっとチルアウトなボサノヴァ調の「Port Ellen」まで、迫力と洒脱を行き来する全10曲が楽しめる。
人生なんてそれぞれ違うし、同じ道なんてひとつもない。だけど"生きる"という目的は誰しも同じ。そんな人生を歩み続けている女の視点をリアルに綴るNakamuraEmiのメジャー・デビュー・アルバム。今作では、インディーズ時代にリリースした3枚の作品に新曲をプラスして収録。自分の道を突き進めと歌う「YAMABIKO」を始めとした全10曲はどれもこれも強力なリリックでインパクトがものすごい。恋をすると何も見えなくなる自分をたしなめる「All My Time」、仕事で失敗しても舐めときゃ治ると一蹴する「I」、お風呂で泣いて何かを決意する「女子達」、カッコいい大人でいることを望む「プレゼント~繋ぐ~」。流されるのではなく"自我"をしっかり持たせてくれる1枚。どの道を歩もうが、自分次第。もっと今を大事にしようと思った。