元JOE LEAN & THE JING JANG JONGのメンバーを中心に構成されたUKの5人組TOYのデビュー・アルバム。今年のSUMMER SONICに出演していたので一足早く彼らのパフォーマンスを生で観られた方も多いのではないだろうか。ダークでサイケデリックだが柔らかさや温かみのある音なのでとても聴きやすく、心地が良い。アルバム全編を通してまとまりがあり、中盤に置かれたインスト曲もずっと聴いていたいほどクセになる仕上がり。ヘヴィーなギターに珠玉のメロディが乗り、壮大なドリーム・ポップから疾走感のあるヘヴィ・ロックまで見事に独自の世界観を作り上げている。よく引き合いに出されるTHE HORRORS、S.C.U.M等のメロディックなサイケデリック・ロック好きなリスナーには自信を持ってオススメできる一枚。
THE NOVEMBERS、1年5ヶ月ぶりとなる新作はシングルとアルバムの2枚同時発売。こちらはアルバム盤。前作『Misstopia』で見せた、光とメロディを一斉放射する煌々とした希望の世界から一変、“より良く生きるために”という、より身近なことを歌った作品。だが、まったくもって身近な世界観にはならないのは、小林祐介(Vo&Gt)という人の眼は、私たちとは比べ物にならないほど薄いフィルターを通して世の中を見ているからだろう。当たり前に接しているこの世界にさえも一切従順にならず、疑い、牙を剥く。愛や希望を持って日々を生きることはこんなにもシリアスでなければならないのか、痛々しいほど率直な切り口に心が震えた。私たちの分厚いフィルターで守られた眼にはあまりに痛く、そして厳しい。