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INTERVIEW

Japanese

琴音

2024年10月号掲載

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当時考えてたことを振り返るきっかけにもなりますし、そのときの自分を今肯定していただけるのは誇らしい


-それにしても新曲のジャンルや表現の幅広さが魅力的で。

リリースの仕方が変わる前から、とりあえず曲をたくさん集めておきたいよねっていうことで作っていたものが、たまたまバランスが良かったんだと思います。

-これまでもいろんなヴォーカル表現に臨んできていると思うんですけど、特に「多面体」や「Wrong」はエレクトロニックなR&Bで新鮮です。

コライトで参加してくださってる丸谷(マナブ)さんという方がすごく優しいというか、ほんわかしている方なんですけど、曲になるとエッジが効いていたり、いろんな人たちが聴きたいと思うような曲を作っていただいてて。で、今までの自分の曲を並べるとゆったりした曲が多いというか、ビートがあまりないような、どバラードみたいな曲とかも多いなかでこういう曲がレパートリーとして増えていくっていうのは、それこそライヴもやりやすくなりますし、こういう曲がもっと増えたらいいのかなって思いました。

-丸谷さんと作詞で共作していますが、例えば「多面体」はどんなプロセスで?

「多面体」は作り方が珍しくて(笑)。曲をいただいたときに、難しすぎてどうしたらいいんだろう? ってなっちゃって、一旦丸谷さんに全部書いていただいたんですよ。で、丸谷さんに書いていただいた歌詞を受けてまた一から私が書き直して、その書き直したやつを送って丸谷さんが手直しして、みたいなキャッチボールがめちゃくちゃ多くて。でも私自身が書いたときの心境としては多面体というか、人格が変わったりするわけではなくても、人っていろんな顔を持ってるじゃないですか。いろんな場所でいろんな顔を使い分けてる、っていうのを1つのテーマとして書いていったところはありますね。逆に「Wrong」はザーッと書けたんですけど。

-「多面体」は多声の感じも含め、メロディに対する言葉の乗せ方が難しそうですもんね。そして既発曲の選曲にはどういう基準がありましたか?

いや、特にないですね。こういうことやってきたよねっていう、一緒に振り返られるようなものになればいいのかなと思いましたし、打ち合わせの段階でもそれは感じていましたね。"私、この5年間で意外といろいろやってきたじゃん"っていう(笑)。

-既発曲の中で、琴音さんにとって特に転機になった曲ってありますか?

正直、一個一個何かしらの転機にはなっているので難しいですけど、さっきも(別の取材で)同じような質問をいただいて、逆にどれだと思いますかって聞いたら「Brand New World」はやっぱり大きいかもって言われましたね。映画("金の国 水の国"の劇中歌)だし、本当にいろんな人に届いたんじゃないですかねって言われて、私もそれで思い出したんですけど、"「金の国 水の国」やるんだね、観るよ"って言ってくれた子はすごい多かったですね。何年も連絡を取ってなかった子とかからも来たりして、ちゃんと届いてるのがすごい認識できたなと思いますし。あと、転機とかではないかもしれないですけど、ご縁として嬉しかったのは「ライト」ですかね。やっぱり東北電力(TVCM曲)っていう地元との縁も入ってるんで、地元貢献みたいな気持ちもありますし。この曲を作ってたときに、基本はその楽曲の世界観というか、"温かい曲にしたいな"という気持ちが頭の中のほとんどを占めてて、"ライト"っていうテーマで作ってるから、それこそ電力会社さんとかのタイアップが取れないかなっていう気持ちが頭の片隅にあったんですけど(笑)、まさか実現するとは思ってなくて。望みだけだったものがちゃんと現実になっててびっくりしましたし、今年も引き続き起用していただけたので地元の人にちゃんと届いてるといいなと思いますし、いろんな方に大切にしていただけたら嬉しいです。

-インフラは生活に密着してるし、商品じゃないからイメージを広げられるのもいいですね。個人的には「ライト」の歌詞の中の"癒える寂しさが悔しいから"というフレーズが琴音さんっぽいなって。

あぁ、素晴らしい目の付けどころで。

-こう思ってるから進むんだろうな思ったんですけど。

(笑)実はそこ、結構ポイントなんです。

-そして最後に「成長記」があるのもまさにタイトル通りで。この曲はずっと歌っていらっしゃったんですか?

15歳ぐらいのときに作ったので、この曲自体が生まれたのはだいぶ前なんですけど、でもなんだかんだ長いこと歌ってなかったですね。やっぱりメジャー・デビューしてからは発売した曲のほうがメインで歌いますし、長い間歌ってなかったんです。現段階ではYouTube にライヴ音源しか上がってなくて、ワンマン・ライヴでたまに歌ったりするくらいだったんですけど、前々から音源に入れてほしいっていう声は聞こえてきていて。それで今回、5周年っていう機会なので入れてみようかっていうことになりました。8月にいくつかイベントに出演してライヴで歌ったりしたときは、やっぱり喜んでいただけたので、改めて自分が当時考えてたことを振り返るきっかけにもなりました。そのときの自分を今肯定していただけるっていうのは誇らしいことですし、かねてから入れてほしいって言っていただいていたことが実現したのも嬉しいですし、思い入れはすごく大きくなったかなと思いますね。

-シンプルなアレンジも相まってダイレクトに響きますね。

ありがとうございます。今歌詞を振り返ると、その歳なりの荒さみたいなものが際立ってる曲なのかなと思うんですよ。石みたいなゴツゴツしたところがあるので、それも含めて思い出なのかなと。

-琴音さんを初めて知るリスナーにも最適な作品になったんじゃないでしょうか。

そうですね。自己紹介的な、名刺代わりになるものになったらいいっていうのは、最初にこの企画が決まったときに言われたことなので、すごく嬉しいです。

-そして、アルバムがリリースされてからのワンマン・ライヴ"琴音 Live 2025 -成長記-"も川崎と地元 新潟の2ヶ所で開催されます。意気込みのほどは?

このワンマンをやるときには23歳になってるんですけど、年々ワンマン・ライヴの趣向ややり方を変えたりしていているし、まだどういう企画にしていこうかっていうのはぼんやりしてるんですけど、今回もさらに挑戦していこうっていう燃えた気持ちが私にもスタッフさんたちにもあるので、ぜひ楽しみにしていただきたいです。ワンマン・ライヴの前にイベントにもたくさん出て、広めていけたらいいなと思いますね。