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INTERVIEW

Japanese

BREIMEN

2024年04月号掲載

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Member:高木 祥太(Vo/Ba) サトウ カツシロ(Gt) いけだ ゆうた(Key) ジョージ 林(Sax) So Kanno(Dr)

Interviewer:石角 友香

今回はすべての制約をなしにしました。逆にこれまで制約を設けていたから手札が明確になった


-周りのミュージシャンや友達が病んでたというのは?

高木:いや、不況なのかなって思って。不況の煽りがめっちゃあるのと、コロナが明けて絶妙に通常みたいに戻って1年ちょっと経ったぐらいのとき、俺が曲作ってる時期に、なんかみんなガッシャンガッシャンになっちゃったというか。コロナが明けて通常っぽいものに戻ってエンジンをかけ直したはいいけど、コロナのときはある種のユートピア感みたいなのもあったと思うんですよ。人間は走ってると考えないで済むことが多いなかで、コロナのときに強制的に走ることをやめさせられて、みんな結構いろいろ考えたと思うんですね。そこからまた走り出さなくちゃいけなくなったときに、考える時間があった時期を経たからこそ病んだのかなと。ずっと走り続けてたらたぶん感じなかったことなのかな? っていう考察ですね。

-みなさんは高木さんが「ブレイクスルー」を持ってきたとき、どう感じました?

サトウ:"大丈夫かな?"と思いました。

高木:え? 本当に(笑)?

サトウ:ちょっと心配になりました。

高木:俺のことが? あぁ、病んでんじゃないかみたいな?

サトウ:相当考えちゃってるんかなって(笑)。

-みなさんいかがでしたか?

Kanno:"このビートを使ったか"と。音楽的な話で言うと"なるほどね"と思いました。今まではちょっと避けてきたようなスタイルのビートだし。

高木:テンポ感とかね。

-それは逆にやりがいがあるなと?

Kanno:すごい好きなタイプの感じだったんで、すでにその後一緒に作るのが楽しみだなと思いました。

いけだ:もともとテンポが速い曲は「Play time isn't over」(2021年リリースのアルバム表題曲)とかあったんですけど、たしかにこの拍子感は。やっぱり、リードを意識されて作ったというふうにその人(高木)がね、おっしゃられてたんで。

高木:(笑)

いけだ:"あ、これリードだわ"って、他のシングルとして出してるものとかを考えても、この疾走感はやったことなかったんで、どういうふうになるのか面白そうだなと思いましたね。

林:BREIMENの曲作りって、全部祥太がやってるわけじゃないけど、ゼロイチを作ってるのは祥太が多くて、全部が全部、自分に当てはまることだけじゃないときがあるんですよ。そうなった場合は、じゃあ自分はこの曲で何を表現するのかを擦り寄せるというか、自分には自分の考えがあって、祥太の考える世界があって、そこに自分がどう混ざっていくかみたいな考え方をすることもあるんだけど、「ブレイクスルー」に関しては最初聴いたときにスッと自分の世界とこの曲の世界がマッチしてたので、そういう意味ではめちゃくちゃいいなと思って。ただ、サックスで何しようかなと(笑)、いわゆる音楽的な部分でちょっと考えたんですけど、でも意外とスッと行きました。

高木:この曲は俺がデモを作ったんで、デモのときはイントロがリード・シンセだったんですけど、それを結局サックスでやるってことになったり。

林:最初に曲と自分との親和性みたいなのがあると、意外と音楽制作をするなかでもスッと行けたりするものなのかな、みたいな印象でした。

-ちなみに、前作は全部実機でメンバー5人の音だけで、しかもクリックなしだったんですよね。今回は?

高木:今回はすべての制約をなしにしました。逆に今まで制約を入れてたからこそ、それがなくなったことで何が使えるかを明確化してたんで、例えば「yonaki」って曲でチェロを入れるのも、前はサポート入れないって言ったけどアリだし。クリックを基本使ってるんですけど、場所によってクリックのテンポを変えたりみたいな発想も、クリックなしっていうのを通ってきてなかったら案外パッとは辿り着かないのかなとか。それもこういう音楽性、こういうグルーヴ・ミュージックで。制約をなくした結果、手札が明確になった感じですかね。みんな本当は手札をいっぱい持ってるけど、それがなんなのかっていうのが漠然としてると思うんですが、俺らは制約をいろいろ設けてたから手札が見える。だから"これできるよね。むしろこれやりたいよね"みたいなのが出やすかったですね。

-これはクリックなしかもしれませんが、「乱痴気」はいわゆるファンクらしいイメージの曲なんですけど、ボカロ曲が好きな人も好きそうな縦のグリッドがある曲だなと思ったんですよ。

高木:まさに。

-今までのBREIMENから想像するファンクともまた違って、すごい面白くて。

高木:ボカロは本当に通ってなくて。でもどっか自分の中でベース弾きながら歌うっていうのを想定して、ある種そこで制約みたいなのを設けてたんですけど、これはたぶん無意識に全部一回外してみましたね。あんだけベースで細かいことをやりながら細かいことを歌うっていうのをやったことがないし、まだライヴでやったこともなければリハで実演したこともなくて、ちょっとできるのかわかんないぐらいなんですが、ここからできるようになるか自分に期待してます。

Kanno:それで思ったのは、クリックを使わないでレコーディングをめっちゃ頑張った期間があって、今作から――使ってないのもあるけど基本的にまたクリックを復活させて、使わなかった時期を経てクリックに対しての意識が変わったというか、音楽的な考え方とかタイム感が全然変わって。クリックがあるうえで合わせなかったり、めっちゃシビアにマシンのように合わせていったり、その能力みたいなところが上がったなと。だから「乱痴気」で言えばクリックにバシバシ合わせて生楽器でレコーディングしたから、そういう感じに聴こえるものができたのかなと思いますね。

-なるほど。みなさん各々で手応えがあった曲でも好きな曲でもいいんですけど、理由とともにお聞きしたいです。

Kanno:「乱痴気」繋がりなんですけど......。

高木:"「乱痴気」繋がり"ってあんまり聞かない(笑)。

Kanno:(笑)気に入ってる場所があって、他のところであえて言ってなかったんですけど、Bセクションの......。

高木:2Bのあとね。

Kanno:間奏みたいな部分でビートが変わるところがあるんですね。そこのビートはPRINCEの曲から引用してて。一部の人しか知らないかもしれないですけど、もともとそのPRINCEの原曲はドラム・マシンで打ち込まれた複雑なビートで、それを生ドラムでやるっていうドラマーの中でのチャレンジみたいなのがあるんです。めっちゃ難しくて、できるとカッコいいだろうみたいな(笑)。そのドラムをあえてそのまま持ってきてて。実際このビートを1年半以上ずっと練習してて、ずっとできてなくて、できてない状態で"これやりたい"と思ってレコーディング期間中にめっちゃ練習したんです。で、なんとかギリギリ聴かせられるレベルのものが収録されてる(笑)。

高木:言い方(笑)。