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INTERVIEW

Japanese

Aqilla

2024年04月号掲載

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2019年にソロ・シンガーとして活動を始めたAqillaが、2023年に配信にてリリースした2ndフル・アルバム『Varckii』を2月14日CDでリリース、その自信に満ち溢れたアルバムを引っ提げ、自身にとって初となるツアー[Aqilla "Varckii" Tour 2024]の開催が決定した。独特の世界をストイックに表現したこのアルバム、初のツアー、そして自身について――飾ることのない素直な言葉で、たっぷり話してもらった。

-2ndフル・アルバム『Varckii』、かなりの手応えを感じられてるんじゃないかと思いますが、いかがですか。

レコーディングのときは常に新しいものを作っていこうという意識が強いので、1st EP(2020年リリースの『Vinegar』)と比べたら別格という感じで、今まで出してきたものとはまったく違うものになりました。このアルバムの曲をライヴでやると、観ている人たちの目が変わるんですよ。そういうことも含めてかなり満足してるし、手応えもかなり感じてます。

-アルバムのコンセプトやテーマはあったんですか?

いつもはっきりとしたヴィジョンが見えてるわけではないんですよ。ただ、いろんな音楽を聴いたり、いろんな映像を観たり、そういうところからインスピレーションを得て、ただ好きなことを好きなようにやってるだけで、これになったという感じです。

-今やりたいこと、好きなことを詰め込んだらこうなったと。

これまでにはない音楽をやりたいというのが自分の中では一番大きくて、聴いたことのない音楽をジャンルレスでやりたいとずっと考えていたんです。"ロックでかっこいいんだけど、今まで聴いたことないな"みたいな、そういうことがやりたくて。特に大きな意味を持ってるわけでもなく、自分で自分を大海原に放り投げてる感じ。そういう気持ちを全員が持って音楽を作ってるんです。だからその次に作る曲、次にレコーディングする曲はそのときそのときでテーマが全然違って、全然違うものができてるんだと思います。あと、ライヴで得てきたものも大きいですね。

-というのは?

いろんなバンドさんと出会って、いろんなバンドさんを観てきて、自分自身のロックの世界をより掘り下げるきっかけになった気がしているんです。でも、結局自分がやってて一番楽しいから、音楽とどうやって遊ぼうかってそればかりを考えていて。特に最近は自分の曲に対して自由になってきたというか、昔はうまくこの曲を伝えたい、うまく歌いたいっていう気持ちが強かったんですけど、最近は自分中心で自分が楽しくて、自分が音楽に真面目に接していれば、それだけで面白いと思ってもらえるんじゃないかって。だからパフォーマンスも自由になってきたんじゃないかと思います。

-3月9日の(下北沢)SHELTERのライヴ("LUPINUS ROCK FESTIVAL 2024")を観て、それはすごく感じました。

自分をさらけ出したほうが、感情移入してくれる人も出てくるんですよね。そもそも全員にウケなくていいと思ってやってるので、観てる人全員がノッてくれなくてもいいし、でも終わったあとに何かを感じ取ってくれて、それを伝えに来てくれたりする人がひとり、ふたりいるだけで、そのライヴをやった意味があると思うし。不特定多数の人に対してやってるわけではないなっていう気持ちはすごくあります。

-自由になったぶん、余計なものがなくなって、研ぎ澄まされた印象を受けました。

1stフル・アルバムの『shave off』(2022年リリース)のタイトルはそういう意味で付けてるんですけど、ここに来るまで無駄なものを積み重ねすぎてたんですよね。でも今回の『Varckii』で"あれ? ちょっと身軽になったんじゃないかな"って気はしていて。それがなぜなのかはわかってなかったんですけど、今思えばライヴだったのかなって、ライヴをやることで素直になれたんだと思います。結構怒濤の10代だったのですが(笑)、10代って人間性をある程度作り上げるじゃないですか。10代で社会に出たことによって自分の好きなものすらわからなくなり、ロックも好きだったけど、その気持ちすら忘れてしまってたんです。だから今全部削ぎ落として、やっと素でライヴができてるし、解放された感じがある。私、リスクを取るのが好きで、だからライヴもリスクを取ってやったほうが面白いんじゃないかって、危険なほうを選びたくなってるのかもしれないけど(笑)、昔は安全な場所にいる方法を知ってたんですよ。でもそういうのにもう嫌気が差しちゃって、そんなの全部嘘なんじゃないか、そりゃそんな姿、魅力的になんて思ってもらえないよって。だからなんとか抜け出したくて、やっとここにきて抜け出せたような気はしてます。やっぱり音楽が自分に自信を持たせてくれたと思うし、ロックが自分を救ってくれました。

-音楽だけはずっと信じて好きでいられましたか?

昔は裏切られてばっかりだったんですよ、だからそれで嫌いになってました。でも今回の『Varckii』は大好きで、どれひとつとして省けないんです。別にそれは全員にわかってもらわなくてもいいっていう気持ちで。好きなものって人それぞれだし、言い方悪いかもしれないけど、変なものを作ってるっていう自覚はあるんですよ。

-変なものって(笑)。

ちゃんと自覚があるんです(笑)。自分で言うのもなんだけど、変わってるんです、間違いなく。レコーディングをして、じゃあライヴに向けてリハーサルをしようってときにめちゃくちゃ苦戦するし、そのうえいざライヴでやったら"え? どういう曲?"って、はっきりとそういう顔をされてるのもわかってるんです。でもそれが最近気持ち良くなってきちゃって。

-ふふふ、なるほど。

ライヴに行って、気持ち良くノれるのも気持ちいいと思うんですよ。それもひとつの楽しみ方だし、それはそれで全然いいと思ってるんだけど、私はその真逆に行きたい。だって、そのほうが面白いじゃないですか。