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INTERVIEW

Japanese

ぶっ恋呂百花

2024年02月号掲載

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2023年から新プロジェクト"ぶっ恋呂百花"をスタートさせた木下百花。DTMでの本格的な作曲は未経験だったという彼女は、ストックなしの状態から12ヶ月連続でデジタル・シングルをリリースするという苦行とも言える経験を経て、トラックメーカーとして大きな成長を遂げた。音楽を通して生身の人間の持つ美しさ、醜さを、個性際立つワード・センスとサウンドで表現する、彼女と楽曲に迫る。

-ぶっ恋呂百花名義としてはSkream!で初インタビューです。木下百花名義のバンド・サウンドとは異なる、打ち込みサウンドでやってみようと思った理由はなぜですか?

音楽的なことというよりは諸事情があって。事務所をやめて独り立ちして、しばらくはサポート・メンバーの方を迎えてやっていたんですけど、ひとりでやっているのでいかんせんお金がかかるんです。それと自分のコンプレックスとしてなんでも中途半端になっちゃう、手をつけて満足しちゃうみたいなところがあって。それはkinoshita名義の「わたしのはなし」(2019年リリースの先行配信曲)でも歌詞として入っていることなんですけど、そういう自分を打開したいみたいな気持ちがあって、わからないなりに手を出してみようかなと。最初は未知だし全然自信がなかったんですけど、周りにトラックメーカーの友達がいたのと、自分がその時期に聴いていたものも打ち込み、DTMのサウンドが多くて、バンドをメインでやっていたころより身近に感じられるようになってきたというのも経緯ですね。

-もともとひとりで作りたいのもあったし、且つやらざるを得ない状況だったと。

そうですね。それでようやく。

-ということは、本格的にDTMを始めたばかりのタイミングで今回の12ヶ月連続リリースを始めたことになりますね。

そうですね。12ヶ月連続リリースとかって事前に準備しておくものなんですけど、私は本当にゼロから始めちゃったので後悔もしています(笑)。でも、そこまで追い込まないとやらない人なので、とりあえず公言して無理やり追い込んで良かった気はしていますね。

-まさかストックゼロから始めたとは(笑)。

間違えましたね(笑)。後半に入るにつれて12ヶ月連続でやっていることが浸透してきて、こっちも引くに引けなくなっていて。

-そもそもなぜ12ヶ月連続という形でリリースすることにしたのでしょうか?

こういうことを言うと過激というか、変なふうに過激だと思われたくないんですけど、私って嫌いな人がいっぱいいて(笑)。私が女性だからなのかわからないけど、そいつらから"自分で作ってんの?"ってことをずっと言われていたんですよ。作詞作曲はずっと自分でやっていたけど、今思えばアレンジとかサポートの方に頼る部分が大きかったので、音もリッチだしプロ感もあるから、"それはそう思われるよな"みたいなのはあったけど、それが具合悪すぎて。もうこいつら殺してやろうって気持ちで始めたのが12ヶ月連続リリースで。

-なるほど。

アピールも含めているんですけど、これだけヒィヒィ言って、月末にやっと出せましたみたいなことを毎月毎月やっていたら、嫌でも自分で作っている人に見えるだろうなって。"自分を追い込まないと上達しないな"というのもあったけど、とにかくそういう言葉がムカつきすぎて、"舐めんなよ"みたいな気持ちで始めたのがきっかけですね。

-だからこそ、"ぶっ恋呂百花"という名義だし、最初のころの曲は特に攻撃的だった。

あぁ、そうですね。そこはやっぱり他人に向けている感じはします。外に対してすごく攻撃しているみたいな。めちゃくちゃ怒っていた、ブチ切れていたんですよ(笑)。夏までブチ切れていて、秋ごろからやっと落ち着いて(笑)。ようやく自分の技術とか、"こういう表現を挑戦してみよう"みたいなふうになってきたのは秋ぐらいからで、夏まではその勢いがすごくありましたね。最近は12ヶ月連続リリースの甲斐があって作っているのが浸透している感じはしていて、それで落ち着いてきた(笑)。

-12ヶ月連続リリースを始めたときは、音楽的にも表現する内容的にも手探りでした?

打ち込みの世界を何も知らなくて。自分はバンド・サウンドでやっていたし、参考にしていたアーティストも全然違ったので、自分がやるとしたらどういうものになるのか全然わからなかったです。だから、友達とかに質問しながらなんとか形にしていた感じですね。

-やっていくなかで見えてきた、ぶっ恋呂百花の音楽を言葉で表現するとしたらどうなりますか?

う~ん、自分が好き勝手にひとりで完結できる場所になっているので、音楽的に挑戦していける場所ですね。みんなに向けている気持ちもあるんだけど、一番は自分が挑戦できる場所かな。最初は攻撃的だったんですけど、ちょっとずつ抽象的な、木下百花名義のときみたいな淡い感じだったり、裏の意味を込めたりしていて。でも攻撃的な部分は最初から変わっていない気がします。そういう想いは込めているというか、嫌なことに負けない気持ちはずっとありますね。

-ぶっ恋呂百花名義の楽曲を制作する際に、ルールとして定めているものはありますか?

音楽を始めたときから気をつけていること、と言うと大げさかもだけど、キャッチーにしようというのは思っています。タイトルなりサビの感じなり、わかりやすい要素をどこかに入れておくというのはずっと気をつけているかな。中学生のときにJ-POPをよく聴いていたのでそれがかなり影響しているというか、自分もそういうキャッチーなわかりやすいものも入れていきたい気持ちはずっとあります。

-歌詞でいうとキラーワードを入れる、みたいな。

そうですね。西野カナとかめっちゃ聴いていたので、そういう同じ言葉を繰り返すとか、誰が聴いてもわかる言葉とか、そういうのをどこかにいれるようにはしていますね。