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INTERVIEW

Japanese

町田ちま(Nornis)

 

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Member:町田ちま

Interviewer:高橋 美穂

-次は「苛性瑠璃色真夜中」。これは作詞が児玉雨子さん、作曲は未知瑠さんという、錚々たるふたりがタッグを組んだ楽曲ですけど、受け取ったとき、どのように思いましたか?

これは本当に壮大なサウンドで、まずびっくりして。歌詞も説明していただいたんですけど、"大切な人との別れ"という重ためのテーマで。"わ、これは歌もかなり気合を入れないと、楽曲に負けるぞ"と思って。この楽曲が(今作の中で)一番コーラスやハモリが多くて、トラック数がいくつだったかな......莫大な数で。町田はそういう楽曲が大好きなので、かなりテンションが上がりました。

-児玉さんは(第169回)芥川賞候補にも選ばれた方だけあって、この楽曲の歌詞も深いのですが、特にお気に入りのフレーズはありますか?

サビの"もしも私も結晶だったら きっと/傷つかなかった?"という歌詞は、かなり心に刺さりました。生きているなかで"今、心とかなかったらこんなに苦しくならなくて済むのにな"って思うことが多々あるので。この歌詞に共感しました。

-切ないですよね。

そうですね。難しいテーマだったので、歌う前はすごくすごく考えました。

-先ほど、この楽曲は歌詞に関する説明があったとおっしゃっていましたが、ほかの楽曲はどうだったんでしょうか?

たぶん、(説明があったのは)この楽曲だけですね。

-説明がなかったら、それはそれで考えなきゃいけないですよね。自分で歌詞を書いていないシンガーさんならではの、越えなければならない壁というか。

そうですね。難しくはあったんですけど、頑張って表現しました。

-そして、次の「つぎはぎどうし」でガラッと雰囲気が変わります。これは受け取ったとき、どんな印象でしたか?

この楽曲は、(デモで)作詞作曲のひろき(リリィ、さよなら。)さん自身が仮歌で歌唱されていたんですけど、それが良すぎて"え? これ完成されているじゃん。町田が歌うの?"っていうプレッシャーがありました(笑)。スタッフさんを通してやりとりしているので、ご本人に伝わっているかはわからないんですけど、(デモを)聴いたときに"めっっっちゃいいですね!"って(感想を)送りました。

-そうだったんですね。どんな楽曲と解釈して、どんな感情で歌いましたか?

この楽曲は、ただただ優しくみんなに伝えるのではなく、特に伝えたい歌詞をより力強く、気持ちを込めて歌うようにしました。特に気をつけたのは、"話して話して話して"だったり、サビで同じ音程且つ同じリズムの単語が3つ続くんですけど、そういうところは強く、弱く、より強くっていう、想いをボリュームの強弱で表現するように意識しました。あと、サビ後ろの"ありがとう"は物理的な強さ、声量で押すとかではなく、歌っている中でふと"ありがとう"と出てきたように、ほぼ台詞みたいな感じで録りました。

-いろんな歌い方を駆使されたんですね。

そうですね。普段あんまり意識しないんですけど、めちゃくちゃ構成を考えました。

-でもこの楽曲って、今作の中で一番シンプルといえばシンプルですよね。

そう、シンプルだからこそ難しくって。本当に悩みました。でも、すごくいい曲。

-町田さんがこういうシンプルな楽曲を歌うのって、もしかしたら新鮮に感じる人も多いのかなって思いながら聴かせていただいたんですが。

あぁ、最初のオリジナル曲(2021年リリースの「6月のプレリュード」)がバラードだったんですけど、それ以外は暗めだったり、激しめの楽曲が多くて。だから、町田の思いっきりバラード聴きたいなっていう声がちょこちょこ上がっていたんですけど、これで満足していただけるんじゃないかなと思っています。

-今作は曲順も絶妙です。最後は、草野華余子さん作詞作曲の「ひとひらの未来」で、ハイライトらしい突き抜けた楽曲っていう。

本当に。すごくいい。

-いただいたとき、どう思いましたか?

率直に言うと、"サイコー!"って思いました。もちろん全曲最高なんですけど、おっしゃっていただいたように、構成が面白くって。3曲、暗めの楽曲が続いたあとに、いったん「つぎはぎどうし」で落ち着かせてからの、「ひとひらの未来」でぶち上げていくっていう。それに、こういうめちゃくちゃ明るいオリジナル楽曲も今までなかったので、嬉しいなと思っています。

-明るいし、大きな楽曲ですよね。

そうですね。サビ前とサビ終わりにチャイムのような音が入っているんですけど、ここで心の中の青春が沸き上がる感じがして、とても好きです。

-チャイムの音が、最後の楽曲なのに始まりのようにも聴こえて。最初におっしゃっていたように、これからもいろいろやっていきたいっていう町田さんの意思も伝わってくる気がしました。

嬉しい(笑)。

-この楽曲は、どんなことを考えながら歌いましたか?

この楽曲だけなんですけど、作詞作曲の草野さんが直接レコーディングに来てくださって、ディレクションしていただいたんですよ。町田の歌いたい雰囲気をベースにしつつ、いろいろアドバイスしていただいて。そのときに一番心に残ったというか、今後も生かせそうだなって思ったのは"文章を読む感じで歌ってほしい"って言われたことで。最初は"ん? どういうことだ?"って思ったんですけど、歌っていくうちに、たしかにこっちのほうが聴いててスッと入ってくるなって。特にAメロで意識して歌ったので、このインタビューを読んだら、そこを意識して聴いてほしいです。

-"文章を読む感じ"って、ただ滑舌良く歌うのとは違うんでしょうね。

そうですね。ただリズムに乗せて歌うんじゃなくって、文章の繋がりを見て歌うみたいな、そういう意識でいました。

-今まで、そういう意識で歌ったことはありましたか?

もちろん、歌詞は自分なりに解釈して歌っていたんですけど、やっぱりリズムが良いところだったら、ブチブチって文節も切って歌っちゃっていたなと思って。でも、ちゃんと文章で歌ったら、さらに良くなるなって気づいたので、今後も生かしたいです。

-そして、この楽曲は弦も素晴らしいですね。

めちゃくちゃいい! 本当に壮大で。一時期、インストだけをずっと聴いていました。

-ご自分の歌が入ったものも聴きましょうよ(笑)。

そっちも聴くんですけど(笑)。

-あのオケに見合うスケール感の歌を、町田さんも歌えている証明でもあるというか。

でっかいな(笑)!