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INTERVIEW

Japanese

5kai

2023年06月号掲載

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Member:松村 了一(Gt) 太田(Ba) 若松(Dr)

Interviewer:山口 哲生

-あと、「four flowers」に関しては、DTM的な部分がかなり強い曲ですけども。

松村:あれはドラムの3点──ドラマーはふたりいるので、6つを全部別々の環境で、バラで録って。ギターも全部バラバラで3、4本録ったんですけど、ベースだけはずっと同じ音で鳴っているんですよ。でも、もう本当に聴こえないぐらい下のところにいて。それは現実的にはできない感じになっているので、まさにそういう感じですね。

太田:ベースはハーモニクスを弾いて、ロー以外をばっさりカットして、レベルを上げていて。それをコピーしたものをずらして重ねてるんですよ。最初に録ったのがあんまり良くなかったんで、松村と話しながら"ここ変えちゃおうよ"って。結果そうなったフレーズなので、自分から一発で出てこないものだったし、聴いてもすごく良かったですね。

松村:この曲、もともとライヴでやっていたんですけど、バラバラに録ったら面白いんじゃない? って、なんとなく思って。バラバラのほうがよりグリッチっぽくていいんじゃないかっていう。ただ、それをしすぎると質感が鋭利すぎるというか。なので、歌はキャッチーにしてみるとか。あとは、エンジニアさんがアンビエントのアーティストで、そんなアプローチを面白がってやってくれるので、協力もいただきながらっていう感じでした。

-ライヴでやっていたものとは違う形に構築することで、音源はまた別のものになったわけですが、それをまたライヴでやるとなると、またそれとは違う感じになるんでしょうか。

松村:いや、この曲は音源のほうがいいので、ライヴでどうやってやろうかな......って(笑)。音源を作っちゃうと、演奏したときの良さをどこに持っていくのかっていうところがあったりするんですが、そんな曲が今作はめっちゃ多いですね。だから、2月にリリース・ライヴ("OnE")をやったんですけど、このアルバムに入っているのは2曲ぐらいしかやってないです(笑)。でもまぁそれでいいかって。ライヴでは僕らのベストを見せたほうがいいかなと思うし。

太田:あと、レコーディングをしたのが結構前なので、もう自分の中で昔の曲になっちゃって、もう飽きてるからライヴではやらないっていうのも大きいです。

松村:僕がめちゃくちゃ飽きるんですよ。できるかぎりライヴで毎回新しい曲をやろうと思っていて、それもあってずっと制作してるんですけど、そうやってるとすべてがどんどん昔の曲になっていくし(笑)、熱量もどんどん下がっていって。でも、アーカイヴとして残しておきたいなと思って録るんですけど。

-配信で『Ideas』という作品を2枚(2022年3月の『Ideas vol.1』、2022年4月の『Ideas vol.2』)リリースされましたけど、あれはそういうところから生まれたんですか? 自分たちが思いついたものを、鮮度が落ちる前にとにかくアーカイヴする感覚というか。

松村:あそこに入っているものは、ある程度ちょっと固めて、いったんこれで録っておくかっていう感じですね。残しておかないと僕らも普通に困るじゃないですか(笑)。スマホでただ録音しただけじゃ無理っていうのもあって。だから、自分たちが聴く用というか、自分たちが聴くための練習音源を、サブスクリプション・サービスに乗っけてる感覚(笑)。

-斬新(笑)!

松村:結局、それが一番楽なんですよね。やっぱりサブスクで聴くことのほうが圧倒的に多くなっちゃったし、そうなったらアクセスしやすいところに音源を置いておいたほうが聴きやすいなと思って。毎回Google ドライブまで行って聴くのも嫌だし(笑)。

-めっちゃ面白いですね。サブスクに自分たちの練習音源をアップするって(笑)。

松村:絶対に他のアーティストもやったほうがいいって、俺は思ってますけどね(笑)。

太田:わかりやすいからね(笑)。

-言ってみればデモ・トラックみたいなことですよね。それに、あからさまに酷いものは出さないでしょうし。

松村:もちろん。ちょっとミックスもしますしね。

若松:あと、"聴いたよ"とか反応をいただけるのも嬉しいし、"練習音源でも全然いい"と言ってくれる人もいるし。絶対一番聴き返しやすい方法だとは思いますね、サブスクがなくならない限りは。

-久々のアルバムを制作されたことで、次はこんな作品を作ってみたいなというのが見えてきたりしました?

松村:とにかく曲が溜まっているので、それをまとめて出したいっていうぐらいで、アルバムとしてのコンセプトみたいなものは特にないかもしれないですね。そういうのも作ってみたいんですけど。ひとつのコンセプトを決めて、10何曲作るのも面白いかなと思ってはいるんですけど、それよりも前に曲が溜まっていくので(笑)、さっさと録りたいなと。そうじゃないと忘却されていっちゃうんで。

-いわゆる作品を作るというよりは、生きているなかで思ったことを形にしていくのがベースになっているというか。

松村:逆にそれしかやってないかなと考えたりはします。コンセプトがないのは、歌詞がないからっていうのがデカいと思うんですけどね。マジで書かないんで。

-そんなに書かないんですね(笑)。

松村:レコーディングする前まで書かないです。最近は追われて書くのが嫌になってきたので、ある程度書くようにはしていますけど。でも、作った段階では歌詞も歌メロもない感じなので、ライヴまでに書いてないことも多々ありますし。

若松:そこがずっと不思議だった。ライヴの前日に4時間ぐらいで作った曲を、次の日のライヴで普通にメロと歌詞をつけて歌ってるから、いつもどうしてるんだろうなって気になってたんですよ。作ってないんだ?

松村:だからまぁ、適当だよね(笑)。

-(笑)こういう活動をしていきたいと考えていることはありますか?

松村:やっぱレコーディングですかね。だよね?

太田:うん。そこだね。

松村:あとは、ちょっと大きなところでやれる機会をいただけたら嬉しいかなって思ってきたり。どうやって活動していけばいいのか手探りでやってますけど、やっぱり手探りだと繋がれる範囲も限られてきますから。だから、別にアンダーグラウンドでいたいわけでもないですし、アンダーグラウンドってなんだ? って話でもあるんですけど(笑)。別にそんな感覚でやっているわけでもないし。

-そうなんですね。

松村:オーバーな感覚でもアンダーな感覚でもないんですよ。別に秘密主義でもないですから(笑)。それならある程度、いろんな人に聴いてもらいたいなと思って、そういう場に呼んでいただけたらいいなとか。自分たちが気になるところがあればそこにも行きたいですし。

-アンダーグラウンドでいたいわけでもないのが、ちょっと意外だったというか。

松村:だっていいことないっすから。

一同:ははははは(笑)。

太田:それは誰かに怒られるんじゃない(笑)?

松村:いや、いいことないっていうか、みんなに観てもらったほうが良くない? って思っちゃうんですよ。"アンダーグラウンドなほうがいい"って、ちょっとステータスみたいな感覚があって。でも別に全然そういう感覚でもないしなと。それにね、アンダーグラウンドすぎてもシンプルにやってけないですよ(笑)。ある程度聴いてもらったほうがこっち的にはありがたいし。だからまぁ、いろんな理由が複合されて、みんなに観てもらえたらいいなっていう感じですかね。