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INTERVIEW

Japanese

she9

 

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Member:なみだじゅり(Vo) AMI(Gt) yuzu(Ba) 苑(Dr)

Interviewer:秦 理絵

-話を聞いてると、「ハイファイハハイファイ」は、実験精神とか遊び心みたいなものがキーワードになってそうですね。

じゅり:そうですね。"もっとこういうふうにやってみようか"とか、"ここは遊べるね"みたいな感じで作っていったので。

AMI:結果、すごいことになっちゃったみたいな(笑)。

じゅり:この曲はバンドを始めて最初の頃に作った曲だったので、アレンジャーの上口(浩平)さんにご協力していただいて。その中でも、遊びをたくさん入れてくださってるんです。コーラスひとつとってもただ寄り添うんじゃなくて、わざとハズしてみるとか。そういうのも刺激的だったし、遊びを学ばせてもらった感じですね。

-初期に作った曲ではあるけれど、改めてこのタイミングでレコーディングしてみて、どんな自分たちを表現できた曲だと思いますか?

じゅり:私の勝手なイメージなんですけど、「ハイファイハハイファイ」は、私の中ですごく真ん中にある曲なんですよ。she9らしいっていうか。

-もう少し具体的に話せますか?

じゅり:私が書きたいことっていうのは、めちゃくちゃ楽しい中に本音が組み込まれているものなんですね。この曲ではそれが表現できてると思うんです。私はいろいろな音楽に影響を受けてて......例えば、大塚 愛さんとかORANGE RANGEさんからは、特にこういう類の曲で影響を受けてると思います。ハッピーなのに本音がある。大塚 愛さんの「PEACH」とかもハッピーなんだけど、よく聴いたら、すごいことを言ってるんです。「ハイファイハハイファイ」のサビははっちゃけてて楽しいんですけど、2番のAメロでは"チヤホヤされてたい"って言ってるんですよね。そういうのって思ってても絶対に言わないじゃないですか。そこを書けたのは自分でも気に入ってます。

-"パパラッチされちゃう"っていうフレーズもあるけど、そういう人生にも憧れているんですか?

じゅり:あはは、そこは現実的に考えると、パパラッチされるのは困るので......嫌は嫌ですけど(笑)。そのぐらい華やかな人生を送りたいっていうイメージですね。

-わかります。そういうロックンロール・ドリーム的なこと。売れたいとか人気者になりたいとかって、女の子のバンドはあんまり言わないじゃないですか。

じゅり:そうですね。女の子のほうが言いづらいことがあるっていうのは、この曲に限らず、すごく葛藤があるんです。ここまでいくと下品なのかなっていう境目がちょっと難しいんですけど。その境目に挑戦していきたいと思っていますけどね。

-うんうん。そこがこの曲の振り切った気持ち良さにも繋がってると思います。

AMI:じゅりが書いてることって私もすごく共感できるんです。私自身の座右の銘が"愛と感謝と太陽"なんですよ。太陽のようにハッピーな人でいたいっていうのが個人的にもあるので。こういう曲は自分にも合ってるんですよね。

-「Dolly」はジャジーなエッセンスもあって、バンドとしては新機軸かなと思いました。

じゅり:危ない男性に引っかかってしまって、やめたいけど、やめられない。その苦しさをも楽しんじゃってる感覚って誰にでも少しはあるんじゃないかなと思ってて。そういう感覚を音とリンクさせたいなと思って作っていった曲ですね。愛や恋に狂っていく女の子の姿を描いてるので、いつものshe9よりさらにダークな感じの、ちょっと大人なほうに挑戦していきたいっていう気持ちがありました。

yuzu:私、この曲すごく好きなんですよ。ベースでは艶っぽい感じを出したくて、スラップは使わずに跳ねるフレーズを入れてます。サビ前のスライドもアクセントになればいいなと思って。最後のほうでぐわーってなるのは弾いてても楽しかったです。

-後半の混沌とした畳み掛けは聴きどころですよね。

AMI:1番のサビと2番のサビで苑がドラムの跳ね具合を変えたりしてて、狂っていく感じが加速していくんですよね。私も最後の最後にギター・ソロを入れてみたりして。

苑:もともと邦ロックを中心に聴いてたから、こういうブラック・ミュージックみたいものってあんまり通ってこなかったんですよ。だから、たくさんそういう曲を聴いて勉強したんです。私個人のイメージではアンティークな感じがしたんですよ。わかりますか?

-ええ、ちょっとゴシックな雰囲気というか?

苑:あ、そうですね。気品のある感じ。さっきAMIも言ってましたけど、急にテンポを変えて焦ってる感じが出したかったんです。狂っちゃってるってわかってるけど、抜け出せないっていう。最後に駆け上がるようなフィルをつけるところも気に入ってます。

-YouTubeで公開しているクリスマス・バージョンでは、少し鈴っぽい音色も取り入れてますよね?

苑:鈴の音が入ってます。これはAMIちゃんが頑張ってくれたんです。

AMI:ロンドンの雪が降る街でっていうのを勝手に想像して。

じゅり:LINEを送ってきたよね。ここはロンドンのどこどこでって、町の名前まで書いてあった。外国人の名前もあったよね?

-ジョージとか(笑)?

じゅり:(スマホを見ながら)あ、スミスだって。

一同:(笑)

じゅり:"雪が積もるロンドンの街。暖炉で暖まるスミスの家で落ちて割れてしまったのはサンタ人形(陶器)なイメージ"。

AMI:パリンっていう音も入れてて。そこから何かが崩れていくっていうイメージなんです。

じゅり:で、苑の返信が......。

苑:やめて(笑)!

じゅり:"スミスは人間じゃなかったのかもね"。

一同:あははは!

-いいですね(笑)。作詞作曲をしてるじゅりさんが、そういう裏の設定みたいなのを考えてみんなに共有するんじゃなくて、メンバー全員で想像を膨らませてるっていうのは。

AMI:本当に毎回、全員でそういう想像を膨らませていくんですよ。

じゅり:それがね、私が想像してたのと一致してるから、より深みが出ていくよね。苑がよく言うんですけど、色とか......。

苑:はい。私は色とか風景で伝えるんです。この曲はこういう色のイメージなんだよねとか、こういう場所がすごく思い浮かぶんだよねって。画像を送って、こんな感じはどうだろうかってみんなに言ってます。「ハイファイハハイファイ」だったら、水色とか黄色とか。ポップコーンがイメージできるって言ったりしましたね。

-ちなみに"Dolly"ってタイトルにしたのはどういう想いだったんですか?

じゅり:主人公の心の裏にある内面的な焦りとか、狂気みたいなものを表す言葉として、Dollyっていう言葉が合うかなと思ったんです。

苑:あやつり人形みたいな感じ? 相手に狂わされていくっていう。

じゅり:あやつり人形っていう解釈もある(笑)。私の中では本人の裏にある気持ちをたとえてて、もうひとりの人間が心の中にいる感じですね。

-なるほど。「ハイファイハハイファイ」と「Dolly」って曲調はまったく違うけど、どちらも"本音"がテーマなのは共通してるのかもしれないですね。

じゅり:たしかに。そこを書けるかどうかで自分の中の納得度が変わっていくだろうなと思います。"今いけた!"って思うときはスカッとするんですよ。それが自分の中で好きな瞬間かもしれないです。

-わかりました。最後に、2021年は今回の『ハイファイハハイファイ / Dolly』を含めて、「最強★ピース」、「BPM」、『トライミライ / どうだっていいよ』の6曲を発表してきましたけど、どんな1年だったと振り返りましたか? プラス、どんな2022年にしたいか。

じゅり:「ハイファイハハイファイ」とか「最強★ピース」、「BPM」は明るく楽しい曲だし、「Dolly」はいつもとは違うミステリアスでダークな方向で、「トライミライ」では熱く青春な感じっていうのを表現してきて。いろいろなことをやってきたけど、まだまだ見せてないshe9が眠ってるんです。2022年はそういった部分をもっと出して驚かせていきたいと思います。

yuzu:そもそも私たちはメンバー全員の個性がバラバラなんですよ。だからこそいろいろな顔を持つ曲ができるんですよね。今年は、私たちのことを初めて見た人に、いい意味で"なんだ、このバンドは"って興味を持ってもらえるようになるのは、どうすればいいかを考える時間も増えたんです。それが来年の成長に繋がっていけばと思います。

苑:たしかに今年出した6曲は全然違うんですけど、まだまだ違う方向の曲もあるんです。ここまでバラバラの曲を出すには、土台になるドラムがしっかりしてないといけないと思うんですよね。なので2022年は土台がブレないドラマーでいたい。そのためにパフォーマンスの仕方も含めて研究して、自己分析して、高みを目指していきたいです。

-she9の中における自分の役割がちゃんと見つかったんですね。

苑:あ、そうですね。この1年は本当にいろいろなことを考えたので。そこで見つけた自分の立ち位置をしっかり理解して頑張っていきたいと思います。

-最後にAMIさんはどうでしょう?

AMI:枠にとらわれないバンドになりたいので、そのために勉強もたくさんしていきたいです。もっともっと4人が輝けるような、全員を巻き込んでいける、そういうチームでありたいなと思います。来年も全員で突っ走っていきたいなという覚悟です(笑)。