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INTERVIEW

Japanese

愛はズボーン

2021年06月号掲載

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Member:白井 達也(Ba/Cho)GIMA☆KENTA(Vo/Gt) 金城 昌秀(Gt/Vo)富永 遼右(Dr/Cho)

Interviewer:稲垣 遥

人に"強くなろう"とか歌えるほど、僕が強くなかったんで歌えなかったけど 、何歳になってもいいから歌えたらいいなとずっと思ってましたね


-で、「BARAO」はまたその逆のタッグ、GIMAさんと白井さんによる曲です。ふたりはメロディを重視されるようなイメージもありますが、どんなふうに作っていった曲ですか?

GIMA:そうですね。メロディを作るのは好きでできるほうなんですけど、この曲自体は僕が21くらいの8年前にはあったもので、そのときから"まだ歌えないな"みたいなんがずっとあったんですよね。人に"大きくなろう"とか、"強くなろう"とか、"1回自分と向き合って、頑張っていこう"みたいなメッセージを歌えるほど、僕が人間として強くなかったし小さかったんで、まだ歌えなかったけど、自分の中では大事にしてた曲で。『TECHNO BLUES』を出すにあたって、自分の声を好きになって自分でも歌えるなと思えるようになったんですけど、前の曲の感じやとこの『TECHNO BLUES』には合わないなって話で、それやったらいっそ白井君と構成や音色から作り変えてしまおうと。

-白井さんはそこに自分のエッセンスを入れていったような形だったんですか?

白井:そのときST. VINCENTにハマってて、ピアノのバラードの「New York」って曲があるんですけど、その感じでいこうってふたりで作ってたんです。でも、なんか違うなって結局バンドの音を入れて、愛はズでもできる形になったかなぁというのは覚えてますね。歌を聴いてほしいのは大前提にあったんで、あまりバンドがうるさくなくて、シーケンスも邪魔じゃないみたいなのが、最終的にいい塩梅で落ち着いた感じです。

-そうですね。今作の中だと一番落ち着いた曲というか、GIMAさんの繊細な部分が垣間見える曲なのかなって。

GIMA:......何言うとんねん!

一同:(笑)

金城:いやいや合ってんねん! 稲垣さんボケてへんよ(笑)。

GIMA:だ、誰が繊細やねん(笑)!

-失礼しました(笑)。

GIMA:いやいや(笑)、そうですね。男の子ですから、繊細な部分はひとつやふたつくらいはありますね。

-でも、この"負けるな"って曲をちゃんと歌える人間になるまで持ってたっていうのは、曲に対して本当に真剣に思ってたんだなって。

GIMA:この曲を書いたときは本当に人間的にダメな時期で。みんなの力、肩を貸してくれるメンバーないし友達がいたので、もう1回頑張ろうって思えたタイミングで書いた曲なんで、これは何歳になってもいいから歌えたらいいなというのはずっと思ってましたね。

-また、シングル曲ですが、「ひっくりかえす」は改めてめちゃくちゃかっこいいなと思うんですよね。テクノなムードや、シンセが入った曲たちの中で、シンプルなバンド・サウンドが際立ってます。

金城:そうですね。久しぶりにFRANZ FERDINANDやろうみたいな感じでした。

-この何メロまであるんだみたいな構成も、愛はズだなぁ~と思うし。

白井:(笑)この収録されてるもう1段階前のものはもうひとメロあって、邪魔やなぁってなって取って。だから、シンプルにはなったと思ってたんですけど、そんなことないですね(笑)。

-そんなことないかもしれないですけど(笑)、"思いついちゃったんだから、やるしかないっしょ"みたいなムードが漂っているのが、すごくいいんですよ。

一同:あははは!

金城:4人で、スタジオで合わせて作った曲なんですけど、1回3時間~4時間のスタジオ4回分、15時間くらいかかってるんです。だから、長いんですよ。ほんまは半分くらいの7~8時間でスパッと終わったらいいのに、そっからまたこうしよああしよって言うて。アホっすよね(笑)。よう言われます。

これからも好きなようにやらせてもらいますっていう意思表示です


-さて、このアルバムはさらに拡張した愛はズボーン・サウンドを存分に見せられる作品だと思いますが、みなさんは改めて本作を振り返ってみてどう感じていますか?

白井:僕は今日触れなかったですけど、「SORA」とかは、愛はズ的にもポップさといい音といいすごく新しいところに入ってるなと思ったので、次の愛はズの片鱗が見られるアルバムになってるんじゃないかと感じてます。

-「SORA」は打ち込みメインからどんどんバンドの音が加わっていくのが面白かったです。

GIMA:僕はこのアルバムを作って、意思表示みたいなのができたんかなって思ってます。僕らは僕らのためにやるんで、どこかに合わせるんじゃなくて、愛はズボーンは愛はズボーンだと思って、これからもやっていくんでってアルバムになったと。これからも好きなようにやらせてもらいますっていう意思表示です!

富永:僕個人で言うと太鼓と金物を別で録るとか、それは前のアルバムからやってきてたんですけど、板についてきたというか。そういう新しいやり方もマスターできた音源になってるんじゃないかな~と思って。それがみんなに伝わればいいなぁと。

金城:このアルバムができたからこそ、早く次作りたいですね(笑)。MAXでかっこいいと思ってみんなに聴いてほしいし、建前としてはめちゃくちゃいいアルバムできましたんで、聴いてください! って感じですけど、本音を言うと僕らの頭の中ではもうこんなアルバム古くてダサいっす(笑)。

-もう俺らは次のステージに行ってると(笑)。

金城:なんで、みなさん建前の部分だけ捉えて、いいアルバムできたんで聴いてください。

一同:(笑)

-さて、作品の話から変わってしまうんですが、10年というところでいうと愛はズは"アメ村天国"という主催イベントを継続していることも、バンドとして大きいですよね。私、2016年の初回に行っているんですけど、"アメ天"をきっかけに愛はズ=アメ村のイメージが、愛はズファン以外にも広がった感覚がありました。今年は残念ながら開催できなかったですが、5年間継続しているうちに意識的に変わってきたところはありましたか?

GIMA:大阪にずっといるんやろうなぁっていうのは思ってきましたね。大阪の街とか人が好きやし、ここでできることは無限にあるなぁと、年を重ねるごとに強く思ってました。

-以前は東京進出に対する興味があるみたいな発言もされてましたけど。

GIMA:どこでも良かっただけなんですけど、今はここがいいって思えてるって感じですかね。

-あとは音楽以外にもアートやお笑いとか、いろんなカルチャーも盛り込んでいるのは例えば、関西の"コヤブソニック"とか、東京では"やついフェス"とか、芸人さん主体のものはあったりするけど、バンド主催のイベントではそんなにないかもしれないですしね。

GIMA:たしかにね。背伸びしてないんでできるんかなっていうのは思います。無理してないし、ほんまに自分の周りにあるものだけで作ってるんで、こんなものを見せたいからお笑いの人、芸術作品を作る人呼んでって感じじゃなくて、気づけば周りにそういう人がたくさんいるから、一緒に楽しいことしようって言ってるだけですね。"アメ天"を通した活動とかも、愛はズボーンの多様性の要素のひとつに含まれればいいなぁとは思ってます。

-いいイベントだなと私も思ったので、逆に東京からもいっぱい遊びに来てもらえるような企画になったらいいですよね。

GIMA:そうですね。大きくするんじゃなくて、内容を面白くしていきたいなぁとずっと思ってます。

-6月にはHump BackとSPARK!!SOUND!!SHOW!!を招いた2部公演の10周年ライヴ("愛はズボーン 2nd ALBUM「TECHNO BLUES」Release TOUR ~I was born 10 years ago. ~ 東京編")が、東京で予定されています。東京での自主企画というのは、大阪でやるのとは心持ちや、見せ方などに違いはありますか?

金城:東京って人口が多いぶん、観に来てくれる前向きな人たちも多いので、"1回観てみたいな"という人が多い場所でライヴするってやっぱり緊張感ありますよね。あと、よくマネージャーと喋ってるのは、早く大阪でやってるあの音響と照明のライヴを東京で見せないとな、あのハイクオリティでやってるのをなんでずっと大阪でやってんのやろなぁって。スタッフが移動しないといけないので、なかなかできなかったんですけど、6月は2公演あるんでね。それこそ"ぼくらのために"の"ぼくら"の部分ですよ。音響と照明さんとのコンビネーションを東京で早く見せたいです。

白井:僕は、東京のライヴはいつも運転があって疲れてることが多いんで、体調管理ちゃんとするのがいいライヴに繋がるっていうのがマジであります(笑)。

富永:俺もそれはあるな。往復で14時間くらいかかってるから。

金城:みんな東京=移動なんや(笑)。

富永:だから、40分のためとかに14時間かけてるので、絶対ヤバいのしたろうとは思ってますね。

GIMA:ホンマにライヴが愛はズボーンの核にあるので、アルバムも聴いてほしいですけど、聴いたうえで、実際に目で愛はズボーンを体感してもらったときに、僕ら今バリバリ脂乗ってるんで、間違いないものを見せられるとは思います。

-この10周年イヤー、きっと愛はズボーンならいろいろなことを考えているのかなと思いますが、引き続き楽しみにしていますね。

金城:めっちゃ企んでることありますね。僕ら友達のバンドとか、ミュージシャンが多いんで、そういう人たちに10周年を思いっきり祝ってもらおうと考えてます。僕らの友達ってすげぇだろという、スネ夫的根性じゃないですけど(笑)、友達ヤバいっしょ企画があるんで、ぜひぜひチェックしておいてください!