Japanese
LEGO BIG MORL
Member:カナタタケヒロ(Vo/Gt) タナカヒロキ(Gt) ヤマモトシンタロウ(Ba)
Interviewer:秦 理絵
-いいバンドですね。では、ここからは15周年イヤーの第1弾シングルになる「潔癖症」について聞かせてください。BPMが210という超高速ビートを刻んでて。
カナタ:久しぶりの速さですね。
ヒロキ:若手バンド並みです(笑)。
カナタ:今思い出したんですけど、これ、ランニング中に作ったんですよ。そこまでキャッチーではないかもしれないけど、どうしても頭から離れなかったんです。それをシンタロウに投げたら、このアレンジが返ってきて、"それそれ!"って感じでしたね。
シンタロウ:そのとき、(海外ドラマの)"ストレンジャー・シングス(ストレンジャー・シングス 未知の世界)"を観てた影響もあるんですけど。'80sの音楽をちょいちょい聴いてて。近年、THE WEEKENDが流行ってきてるのもあって、ああいうリズムで作りたいなと思ったんです。
-ヒロキさん、この曲に関してはどんなふうに向き合いましたか?
ヒロキ:キンタはBPMが速かろうが、わりと伸びやかなメロディをつける人なんですけど、この曲は珍しく譜割りが多いんですよ。それを生かして、いい意味で、バカバカしい曲にしたかったというか。「気配」(2020年リリースの7thアルバム表題曲)みたいな緊張感が漂う曲というより、辻褄が合ってなくても、かっこ良ければいいじゃんみたいなノリにはしたかったんです。
-アレンジャーは、前アルバム『気配』に続き、辻村有記(ex- HaKU/Vo/Gt)さんです。バンドからオーダーしたことってありますか?
シンタロウ:『気配』を一緒にやってわかった部分もあったので、基本的にはお任せでしたね。近年、僕らがアレンジャーさんを入れてるのは、想像の範疇で作りたくないっていうのがあって。新鮮さや刺激を求めるんです。アレンジャーには"原曲をブラッシュアップしてください"というよりは、"ご自由にやってください"って感じですね。
ヒロキ:辻村さんは、キンタへのヴォーカル・ディレクションがすごかったな。
カナタ:そうだね。この曲に関しては、ほんまに歌が肝かなと思うんですよ。辻村さんなりのメロディへのアプローチがあって。俺が作ったデモにさらにメロディ・ラインを変えてきて、"やりよるな、お前"みたいなところはあったんです(笑)。
ヒロキ:"気に入らなかったら、使わなくていいよ"って言ってたよね。
カナタ:でもそれが、かっこ良かったんです。辻村さんのメロディはエッジが効いてるんですよね。ジグザクしてるところが魅力というか。どちらかというと、俺のメロディは滑らかなところがあるから、彼のメロディを自分なりに解釈して再構築していきましたね。
-途中でヒップホップっぽい不穏なセクションが挟み込まれますけど、これはどんなふうに作っていったんですか?
ヒロキ:お経みたいになるところ(笑)。
カナタ:最初、歌詞だけがあったんだよね。
ヒロキ:そう、キンタが"メロディが思いつかへんから、ヒロキ歌詞書いてみて"って言ってきて。で、歌詞を投げて返ってきたら、読んでるだけだった(笑)。
一同:あはははは!
カナタ:言葉がそうさせたんですよ。
ヒロキ:でも、それはそれでいいなと思っちゃったんです。それこそ、さっきシンタロウが言ってた、思ってたのを越えてきた。いや、下回ってるのかわからないですけど(笑)。絶対に自分では思いつかへんし、しかもキンタらしくなかったのが良かったんです。
-"潔癖症"というテーマは、失敗を許さない、清廉潔癖が求められる今の社会の風潮へのアンチテーゼですか?
ヒロキ:世界規模のコロナ禍を意識しないわけにはいかないですからね。作詞は早かったです。今までもこういうテーマの曲は、発表はしてないんですけど、書いたことはあって。今だったら、より伝えられるんじゃないかと思って書きましたね。"じゃあ、お前はどないなん?"みたいなところというか。大きい声で他人を批判するからには、"お前は大丈夫なんやろな?"みたいな話をしたかったんですけど、最終的に、"なんとか警察"みたいなものを真面目に諭すような歌詞は書きたくなかったんですよ。
-ええ、落としどころとして"汚れた手と手 でも握手しよう"と歌ってて、自分はどう生きるか? っていうところに着地しているのがいいなと思いました。
きれいなものより汚れてるもののほうが愛おしい、みたいなテーマですね。
-シンタロウさん、カナタさんは歌詞について、どう受け止めましたか?
シンタロウ:いいテーマで書いてきたなと思いましたけど、最後にタイトルが"潔癖症"ってきて(笑)。"15周年のタイミングで、「潔癖症」!?"って思いました。
ヒロキ:最初は"正体"っていうタイトルだったんですよ。
-あ、そのほうがレゴ(LEGO BIG MORL)っぽい。
ヒロキ:そうなんです。ただ、それが気に入らなくて。悪い意味で"あー、はいはい。っぽいね"ってなるから、そこは時代的にも逃げないほうがいいと思ったんです。
カナタ:"潔癖症"って初期っぽい感じがしますよね。「ワープ」(2008年リリースの1stミニ・アルバム『Tuesday and Thursday』収録曲)の頃の感じというか。なんかわかるな。刺々しいものと優しい感じが合わさってる感じがするんですよ。
ヒロキ:たしかに。最近は『KEITH』(2019年リリースの6thフル・アルバム)とか、『気配』とか、優しいアピールをしすぎたなと思ってて。もう"いい人キャンペーン"は終わりにします(笑)。
-15周年イヤーのタイミングで、"いい人キャンペーン"が終わるとか。レゴのそういう捻くれたところが好きです(笑)。
ヒロキ:ははは(笑)。10周年はわりとわかりやすくしたんですよ。あのときのベスト盤(2016年リリースの『Lovers, Birthday, Music』)には「Blue Birds Story」と「傷」の2曲を入れたんですけど、いかにも"10周年やな"ってわかるものだったので。15周年はちょっと違う感じにしたいんですよね。
-ここからの15周年イヤーはどんなふうに盛り上げていきたいですか?
ヒロキ:まだできるかどうかわからないことが多いんですけど、できる前提で喋らせてもらうなら、いっぱい曲を出していきたいです。あと、みなさんがちゃんと参加できる環境も用意をして、ライヴもやりたいっていう計画を立ててます。初めて(キンタが)ひとりで東名阪の出稼ぎツアーを回ります。
カナタ:また修行です(笑)。
ヒロキ:出稼ぎは言い方がやらしいか。単身赴任ツアーですね(笑)。
カナタ:去年~一昨年くらいから、そういうツアーをまわってみたいねっていう話はあったけど、コロナ禍でタイミングを失ってしまってたんです。
ヒロキ:レゴの音楽を鳴らす場所を作るのが目的ですよね。いつもみたいにライヴができないなかで、キンタさんが"やるよ"って言ってくれて。"はじめてのおつかい"的な感じです。お父さん、お母さんは家で待ってるから、頑張って行っておいでっていう。タイトルは、"はじめてのおつかい"ツアーもいいな(笑)。
カナタ:ほんまや(笑)。
ヒロキ:あの曲がSEで流れたらいいよね。
シンタロウ:どういうのだっけ?
ヒロキ:ド~レミファ~ソラシド~♪
カナタ:ド~レミッファ~ソ~ラシド~♪
ヒロキ:ちょっと譜割が違う(笑)!
一同:あはははは!
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