Japanese
SPARK!!SOUND!!SHOW!!
2020年11月号掲載
Member:タナカユーキ(Vo/Gt) イチロー(Dr/Cho/169)
Interviewer:秦 理絵
ダーク・ヒーローが活躍する世界って、僕らにぴったりじゃないですか 俺たちは赤レンジャーではないですからね。ラスボスになりたいタイプというか
-イチローさんは、『スサ死 e.p.』は自分たちにとって、どんな位置づけの作品になったと思いますか?
イチロー:全部歌詞がついたものを聴いたときに、コロナの状況のなかで出す作品として、すごく尖ってるなって思いました。
-歌詞のテーマが"死"ですからね。
イチロー:それも狙ったわけではないんですよ。
タナカ:当時受けた全部のインタビューで言われるんですよ。"これはコロナがあったから、こういう歌詞を書いたんですか?"って。でも、そうじゃない。コロナに入る前に作ってたものから、ほとんど変えてないんです。当時、たまたま"死後の世界想い馳せブーム"みたいなのがあったんですけど、それが時代にハマったのもラッキーでしたね。
-その『スサ死 e.p.』のレコーディングと前後して、ゼロからの新曲として制作に入ったのが「STEAL!!」になるんですね。
イチロー:そうです。アニメのお話を貰ってから作り始めました。
-アニメのタイアップはスサシにとって初めてですか?
イチロー:いや、ちょっと特殊なんですけど、アニメのエンディング曲をやらせてもらったことはあって。そのときは1話ごとに担当のアーティストが違ったんです。
タナカ:"ニンジャスレイヤー"っていう作品やったんですけど。その8話目をやらせてもらって(「サイコインターネットマジック」)。11話目がCreepy Nutsだったんですけど、その演奏も俺らがやってますね(「合法的トビ方ノススメ-SPARK!!SOUND!!SHOW!!ブチ上げ♂ Cherry boy REMIX!!!!」)。
イチロー:だからシリーズ全部通してっていうのは今回が初めてです。
-最初にタイアップが決まったときは、どう思いましたか?
タナカ:"やったー!"っていう感じですね。そのときにストーリーの大枠も教えてもらったんですけど、タイトルに"悪"って付いてたので、いい感じでやれそうだなって。
-ははは(笑)、そういう第一印象は大事だと思います。
イチロー:俺たち、それぐらいの感度でやってるんですよ。
タナカ:浅い感覚でやってるからね。ダーク・ヒーローが活躍する世界って僕らにぴったりじゃないですか。俺たちは赤レンジャーではないですからね。どちらかと言えば、ラスボスになりたいタイプというか。バンド界隈的でも悪役でいたいんです。ハルカミライにはなられへんなって。だから、これは俺らのやるべき仕事やったと思います(笑)。
-悪くて速いっていうスサシの得意なデジタル・パンク路線の曲だと思いますけど、アニメ・サイドからは何かオファーはありましたか?
タナカ:僕らの曲で言うと、「GODSPEED」(『NU BLACK』収録曲)みたいな感じでお願いしますってことだったので、"あ、得意です"っていう感じでしたね。
イチロー:楽曲制作はタクマとユーキが中心にやってくれて。わりと全体像はサクッとできたんですけど、サビが決まらないって悩んでたみたいで。
タナカ:今までの制作は、みんなで一緒に集まって、その場でディスカッションをしてたけど、それができなくなったのがストレスやったんですよ。俺がマジでオンライン系のやりとりに向いてないみたいで。レスの遅さ、時差の感じも気持ち悪いんですよね。
-直接人と会ってコミュニケーションを取りたいタイプなんでしょうね。
タナカ:うん。関西人だから、起こった出来事に自分のテンポ感で突っ込みたいんやろうなって自分で分析したんですけど。ずっとデータのやりとりで制作してて、できないながらの拙いデモを作って送るんですけど、俺の頭の中では、そうじゃなく鳴ってるねんけどなっていうまま相手に伝わってしまって、それに対するフィードバックがきても、あのクオリティのデモやったら、そう思うよな......みたいな悪循環なんです。しかも、そういうストレスをライヴで発散できないのもしんどかったっすね。
-悩んでいたサビに対しては、最終的にどんなふうに答えを見いだしたんですか? いわゆるアニメらしいキャッチーなサビではないけど、かなりインパクトがありましたが。
タナカ:結局、一番スサシがやってない新しいことを採用しようってなったんです。もっとフック感がある、大衆に受けるサビをセレクトすることもできたけど、今までやってないことのほうが面白いんじゃないかって。
イチロー:今思い出したんですけど、「STEAL!!」のレコーディングに入る前に、タクマから"ユーキがだいぶわずらわせてる"みたいなのを聞いたんです。今まで、そんなことをわざわざタクマから言われることがなかったから、"そんなにか"って思って。
タナカ:あぁ、それでか。当時、急に俺に対する周りのあたりが変な感じになってたんですよね。
-みんな心配してたんでしょうね。
タナカ:今、その理由がわかりました(笑)。まぁ、それぐらい当時は周りの世界から隔離されて、(楽曲と)タイマンでやってたから、しんどかったんです。で、「STEAL!!」のデモを投げたときに、イチローが最初に"かっこいい"って言ってくれたんですよ。イチローって、俺らの中で一番制作から遠い位置にいるから、逆にリスナー目線でいてくれるし、俺と好きな音楽も近いんですね。そういうのもあって、イチローの反応で俺は上がったし、言わんけど、タクマも上がってたんやろうなって思いますね。
-イチローさんは、どんなところがかっこいいと思ったんですか?
イチロー:当時、『スサ死 e.p.』の4曲のあとで、「STEAL!!」を作ったっていう時系列だったから比較しちゃうんですけど、EPの曲にはない軽快なテンポ感とか、今までのスサシになかったサビの新鮮さがいいなと思いました。あと、これはタクマが意図的に作ったって言ってたんですけど、(ドラムの)フィルを多くしたかったと言ってて。忙しいんですよ。それが、俺的に上がっちゃって。
-ドラマーとして腕が鳴るというか。
イチロー:こんなにやらす? みたいな感じですよね(笑)。あいつも俺のことを考えて作ってくれたんだなと思いましたね。で、デモを聴いたあと、俺、気に入りすぎて、友達のバンドとか先輩に音源を送りまくってたんですよ。
タナカ:マジ?
イチロー:うん。そこでフィードバックを貰って、みたいなのをやってました。今まで、そういうことをしたことなかったから、それぐらい"いい曲だな"と思ったんです。
タナカ:そんなことしてたんだ(笑)。
-また同じこと言っちゃいますけど、イチローさんがメンバーにいて良かったですね。
タナカ:本当にそうなんですよ。ひとりで太陽なんですよね。
イチロー:そんなことないです!
-急に謙虚になった(笑)。
タナカ:キャラが定まってないんです(笑)。
イチロー:あはははは!
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