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INTERVIEW

Japanese

Maki

 

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Member:山本 響(Ba/Vo) 佳大(Gt) まっち(Dr)

Interviewer:三木 あゆみ

名古屋発日本語ロック・バンド、Makiが1stフル・アルバムをリリースする。2020年、サブスク配信やオンライン・ライヴなど、新たな音楽の楽しみ方がより広まりつつある時代の中、彼らが鳴らすサウンドから感じられるのは、音楽のもっと根本的なところにあるもの。ライヴハウスの空気、匂い、鳴り響く音――あの何にも代えがたい瞬間を信じて走ってきた彼らが、感じるままに映したもの、本当に必要だと思うものがこれまで以上にソリッドに研ぎ澄まされて詰め込まれているのが今作『RINNE』だ。1枚を通して聴くことに意味があるという待望の1stフル・アルバムについて、メンバー3人に話を訊いた。

-Skream!初登場となりますので、まずはバンドのことからおうかがいしたいです。2015年結成とのことですが、どういうきっかけで結成されたのですか?

佳大:前にいたドラムがメンバーを集めてくれて、そこで僕と響が出会って結成しました。それからそのドラムがやめて、まっちが加入して、今に至るという感じです。

-まっちさんは2017年に加入されたんですよね。出会いのきっかけはなんだったんですか?

まっち:僕とヴォーカルの響は大学の同級生でして。もともとMakiの存在は知ってたんですけど、いろいろ喋っているうちに仲良くなって、そのタイミングでちょうどドラムが抜けたんで、一緒にやろうということで誘ってもらって入りました。

-"名古屋発日本語ロックバンド"というキャッチコピーもありますが、結成時はどういう音楽を目指していたんですか?

山本:"日本語ロックバンド"って書いたのは、英語で歌う気がなかったっていうのはあって。無理して話せない言葉を歌うよりも母国語のほうがいいんじゃないかなと。目指したってところで言うと、歌モノとメロコアを足して2で割ったバンドをやりたいねっていうのは、ふわっとした感じで考えてましたね。

-歌モノとメロコアっていう要素はMakiならではだなと思います。

山本:ありがとうございます。ただ僕は佳大君とかとバンドをやろうってなったとき、僕が曲を作って歌えればなんでもいいって思ってて(笑)。最初は他のヴォーカルを探す予定で、ベースだけ僕がやるって感じだったんですけど。もう曲を作って歌いたい欲がすごすぎて(笑)、誘ってもらったくせに"曲作って歌わせてくれるならやる"みたいな感じで入ったんですよ。

-そうだったんですね。何か歌いたいことが明確にあったんですか?

山本:そうですね。Makiの前にやってたバンドでも曲は作ってたんですよ。曲を作って、それをヴォーカルに伝えるっていうようなスタイルのバンドだったんですけど、ワンクッション置くと、それぞれの考え方があるから、違う曲になっちゃうってことがあって。それだったら、自分で作ったものは自分が一番わかってるし、表現しやすいよなって考えるようになったんです。

-じゃあ、Makiでは一番自分がやりたいことができてるって感覚なんですかね。

山本:それは間違いないですね。

-このたび、満を持して1stフル・アルバム『RINNE』がリリースされます。当初は6月リリース予定でしたがコロナの影響で延期となってしまいました。やっぱり今は"やっと届けられる"という気持ちが大きいですか?

まっち:もうアルバムのレコーディングが終わってから半年ぐらい経ってるんですよ。僕らの中ではもう新曲っていう感じがなくなってるくらいなんで(笑)。待ち時間は本当に長かったなって思います。

佳大:今作は新しいことをやってみたり、曲の幅も広がったりして、すごくいいアルバムができたなって思ってて。それをやっとみんなに聴かせられるんだっていうのはやっぱり嬉しいですね。

-本当にそうですよね。今作は、一曲一曲にはそれぞれのストーリーや風景があるんですけど、作品を通して聴いてみるとタイトルにもある輪廻とか、巡り、循環など、何か大きなまとまりもあるように感じられました。こういう作品にしようみたいなものは何か考えていたんですか?

山本:楽曲面に関してはそうですね。自分が作って歌う曲なんで、23歳までの自分の人生がこの1枚になればいいなと思って作りました。せっかくCDにするんだったら一貫性があったほうがいいなと。今この若いと言われている年の節目として、自分の中の歴史になるものが作れたらいいなと思って作りましたね。

-今回のジャケットや「フタリ」MVの最初に蛇が出てきますよね。蛇は、"死と再生"の象徴とも言われていたりしますが、それに関連した意味があるのでしょうか。

山本:タイトルにもある輪廻っていうところが一番にありますかね。今までやってきたことを突き詰めていって、鋭くなってできたのがこのアルバムなんですけど、自分たちで聴き返して、"じゃあ次は何をするか?"っていうのを考えるアルバムでもあるのかなって思ってて。

-なるほど。ということは集大成的な作品でもあり、これからに続くアルバムでもあるんですね。1曲目の「フタリ」はアルバムの幕開けに相応しい、まさにキラーチューンだなと思いました。

佳大:これは一番初めにできた曲かもね。

まっち:そうだね、2020年に入る前にはできてましたね。前のシングルの『Tao』(2019年リリース)を録り終えて、次の作品を録るってなったときに、やっぱり何か新しいことを取り入れていかないと、バンドとして進化しなくなるというか、もっと進化していきたいよねって話し合って、作り始めた曲でした。

-進化していきたいっていうのはどんなところに表れているのでしょうか。

山本:サウンドに一番表れているんじゃないかなと思いますね。歌が入ってる楽曲のサビってAメロ~Bメロ~サビのその"サビ"がサビにあたると思うんですけど、この曲のバンドとしての"サビ"っていうのは、そのあとに来るギター・リフのところなんじゃないかなって考えてて。捉え方次第ではありますけど、そういう面に関しては面白いことができたのかなとは思いますね。

-続いての「銀河鉄道」はアルバムの中でもMakiらしさがすごく表れている曲だなと思いました。

山本:この曲は弱音から始まった曲で。個人的な話にはなってしまうんですけど、バンドをやってると夜型になってしまうんですよ、身体が。それで疲れてないときとかは寝れなくなって、いろいろ考えこんでしまったりして。そういうとき、バンドをやりたくて始めたはずなのに、普通の生活って言ったら語弊があるかもしれないんですけど、平穏な生活......朝起きて働いて夜帰ってきたら子供が待っているみたいな暮らしを"いいな"って思ったり、あとは単純にこれから先どうなるかが怖くなったりとか。自信がないわけではないんですけど、そういうことを考えるときがあって。自分の弱い部分を書いたのがこの曲ですかね。

-そうだったんですね。

山本:結局寝て起きたら、いい感じにテンションは戻ってるんですけどね(笑)。最後のサビとかで目が覚めたんだなと(笑)。

-(笑)そのラスサビのキメのところで突破していく感じがすごく気持ちいいなと思ってました。ライヴの画を想像して熱くなるというか。そういうライヴ感的なものは意識している部分ではありますか?

まっち:この曲に限らずアルバム1枚通して全部、ライヴでできるもの、且つライヴでかっこいい曲であるっていうのは意識していますね。フル・アルバムとなると、ライヴでできない曲が出てきがちな部分もあると思うんですけど、僕らにとってそれはあまり好ましいことじゃなくて。なので全曲ライヴで映える曲っていうのは考えてやっていました。

-たしかに、このアルバムの曲だけでセトリが組めるようなところもあるんじゃないかなって思いました。印象的なギター・ソロもありますが、ギターのサウンドでは何か意識したことはありますか?

佳大:全体的にかっこ良くっていう感じで......。結構リード・パートを入れるようになったんですよ。今までは、3ピースの勢いみたいなのをバッと出すためにコードを弾くことが多かったんですけど、曲が増えていくにつれて、コードばかりだとやっぱり同じ感じになってきちゃうので、そういうリード・パートというか、いろんなものを意識して入れるようにはしましたね。

-そして、「ユース」から既存曲の「秋、香る」へ。この「ユース」は30秒の今作最短のショート・チューンですね。

山本:この曲は作っていったら短くなっちゃったんですよ。短い曲が欲しいねって言いつつも、こんなに短くなるとは思ってなくて(笑)。

まっち:1分半くらいを目指してたよね。

山本:そう、それで"これで1分半くらいあるんちゃう!?"って確認したら30秒しかなかったっていう(笑)。

-そうだったんですか(笑)。でもこの3曲目に短い曲があるっていう流れもいいなって思ったんですよね。収録曲順はどうやって決めていったんですか?

山本:そこはもう聴いてて気持ちいい感じにしようと。時系列とかはあんまり気にしてなかったですね。たしかに「ユース」と「秋、香る」とかはうまい具合に並んでくれたなって気はしてて。昔作った曲と今作った曲のどっちにも通ずる部分があったから、うまく並んでくれたんだと思うんですけど、自分の根本は今も昔もちゃんと変わってないんだなって感じましたね。