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INTERVIEW

Japanese

LEGO BIG MORL

 

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Member:カナタタケヒロ(Vo/Gt) タナカヒロキ(Gt) ヤマモトシンタロウ(Ba)

Interviewer:岡部 瑞希

俺らがかっこいいって思ってるものは、絶対みんなもかっこいいと思わせられる自信があるから、安心してついてきたらええねん!


-カナタさん自身が感じている変化というのは具体的には?

カナタ:今までは"うまく歌わないと"って意識がどこかにあって、うまく、声質を太くって思いながらレコーディングしてきたんですけど、今回はそうじゃなくて、この曲をどう表現するかってところにこだわって、めちゃめちゃ歌いましたね。まぁ、コロナ中やることってそのくらいしかないし。

ヒロキ:辻村有記も、そのあたりのディレクションがうまかったんですよね。

カナタ:周りやアレンジャーの意見も受け入れて試行錯誤して、たぶん今が最高潮というか、自分の中の表現の幅がすごく広げられたなって実感してますね。しかも有記がディレクションしてくれた曲を、前半にレコーディングしたんですよ。だから、そのいい影響を受けたまま他の曲もレコーディングできて、"こういうことをやってみてもいいかもな"ってアイディアが生まれてきました。

-辻村さんのディレクションはすごく刺激的だったようですが、その効果をすぐさま他の曲へと波及させられるカナタさんのインプット、アウトプット能力もさすがだなぁと。今作は他にも、3人のアレンジャーさんが参加されていますよね。全7曲に対して4人って、比較的多い気がします。

シンタロウ:3人のレゴを再構築するにあたって、今僕らが持っているものの中だけで頑張って作り上げるより、新しく外からのものを注入してやりたくて。今までは基本的に、曲がほぼできあがってから、アレンジャーさんやプロデューサーさんに加わってもらってたんですけど、今回はこの曲はこんな感じっていうのできあがった時点で、"これを崩してください"ってお願いの仕方をしました。

-"崩す"ですか。

ヒロキ:一番壊したのは「曖昧を愛そう」だと思います。デモからいっちばん変わってる。

カナタ:そうやな(笑)。

シンタロウ:崩されすぎてて、ヒロキからクレームの電話かかってきて(笑)

-デモはどういうテイストだったんですか?

ヒロキ:もっと軽快なリズムのおしゃれな感じでした。

シンタロウ:この曲をアレンジしてくれた渡部高士さんは、『RAINBOW』(2014年リリースの8thシングル)の頃から関わってもらっている人なんですけど、ほんとクラッシャーで(苦笑)。

ヒロキ:もう頭狂ってる。

シンタロウ:柄が悪なってるで(笑)。レゴとは付き合いが長いんですけど、久々にやらせてもらったら相変わらずで。"あれ!? デモの部分何も残ってないかもしれない......"って。

ヒロキ:僕はもう"この曲、抜こ!"っつって。

一同:(笑)

-もしそのアレンジが渡部さんではなく、初めましての方だったら、ほんとに抜いちゃっていたかもしれないですよね。

ヒロキ:そうですね。渡部さんじゃなかったら絶対納得せぇへんなってとこですけど、あの人の具合をわかっちゃってるんで、まぁ半笑いなんですけど。"出たな!"って(笑)。

カナタ:まぁ予想を突き抜けてはいたけどね。

-そう言われるとデモも気になりますが、完成した曲もセクシーで濃厚な仕上がりですよね。

カナタ:スモーキーになりましたよね!

ヒロキ:結果論なんですけど、もとの軽快でおしゃれな曲調だと、歌詞がちょっと鼻につくなって思ってたんですよ。でもこういう曲調になって、歌詞はそのままだけど、もっとどろっとした色気がいい意味で出て。同じ言葉なのにそういう変化があるんだなって、面白かったです。

-「天使くんと悪魔ちゃん」はタイトル的にも新しくて、歌詞も珍しく言葉を詰め込んでいますよね。曲調もかなりスピード感があって。

カナタ:いやぁ、歌的には一番早くて、今の早口言葉の限界ですね。

-これまでの楽曲の歌詞は、いっぱい語るよりもメロディにきれいにハマって、なんなら少し余白があることが多い印象なんですけど、この曲は逆に詰め込むことでグルーヴが生まれています。ところで、"べぇらべぇらべらしょっしょい"ってなんですか?

カナタ:それ(歌詞カードに)載ってんの!?

ヒロキ:書いてあるよ。何かわからん言葉を入れたくて、みんな勝手に解釈してくれたらいいなって思ってます。

-......"キンタ語"ですか?

ヒロキ:そうではないんですけど、ここで言っちゃうとただ"そうなんや"ってみんな思っちゃうからおもんないなって。大した理由もないですけどね(笑)

-なるほど。では解釈はリスナーにお任せということで。

ヒロキ:テクマクマヤコンでもなんでもいいですけど、テレパシー的な暗号みたいなものにしたかったんです。歌詞にちゃんと書くけど、なんなのかはわからない。言うたら、そんな余裕ができたんですよね。昔やったら、"意味のない言葉に決まった文字数使っちゃうなんて!"って思ってたんですけど。

-ヒロキさんの歌詞の美学的に?

ヒロキ:LEGO BIG MORLというブランディングの中でですね。今もふざけるならカッコ良くふざけたいんですけど、幅は段々広がっていると感じます。歌詞もタイトルも、いろんなものをOKにしたあとに、回収できる自信があるからだと思うんですよね。

-それはきっと14年のキャリアを積んで、自分自身の強みをきちんとわかっているからでしょうね。

ヒロキ:レゴを好いてくれてる人はたぶん、僕ら3人を信頼してくれてると思うから、よっぽど美学を外れない限りは大丈夫だとは思うんです。あとは、ちゃんとそうでないところに伝える装置としても曲を作りたくて。言い方悪いし、全曲ではないですけど、いったん"バカでもわかる音楽"にしたかったんです。たとえそうしても、ちゃんとキンタの声、各々のプレイ、歌詞でペラペラにはならない自信があったから。売れるって、ある意味バカにバレることやから、1回バラしとかないと気づいてもらえないじゃないですか。

カナタ:めっちゃバカバカ言うやん(笑)。

ヒロキ:それのアンチテーゼとしての「火のない所の煙が僕さ」なんですよ。"バカにわかる"、"バカにバレる"ってことも今回は意識したけど、アイデンティティを守るためにちゃんと逆も歌っとかないとって。レゴのファンのぬるま湯に浸かるだけじゃない覚悟、火のないところに煙を起こしていくからこその"気配"というアルバムなんです。そして、訓読みしたら"気配り"。各地に、気を配る。会えないからサブスクや配信になっちゃいますけど、僕らの思いを配りあるく覚悟の"気配"。そこの意味合いは大きいと思います。

-ヒロキさんのその歯に衣着せぬ物言いは、ものすごく愛やリスペクトがあったうえでの言葉なんだって、わかる人にはわかるんですけど、たまにひやひやします(笑)。

ヒロキ:わかってない人に、ビービー言われたらいいなって思います。それがバカにバレるってことなんで(笑)。

-きっとビービー言うだけで終わらせないかっこ良さが、このアルバムにはきちんとあると思います。カナタさんも、SNSで"まじで良い。やばい! やばい!"ってひたすら言っていますもんね。ただ、そう胸を張るのも納得できつつ、もしかしたら長年4人のレゴを見てきたファンの方にとっては、みなさんが少しずつ物事を受け止めながら今作を完成させたように、心なしか不安と緊張感を持って今作を待っているかもしれないです。

カナタ:でも、俺らがかっこいいって思ってるものは、絶対みんなもかっこいいと思わせられる自信があるし、そういう気持ちはすごく強く出てるので、"安心してついてきたらええねん!"って気持ちで俺はいます。

ヒロキ:3人が今のレゴがいいって言っていることに、ショックを受ける必要はまったくないって言いたいです。ちゃんと乗り越えたうえでの最高だって思ってるから、そこはほんまに心配せんでええ。

-頼もしいですね。最後に改めて、今のみなさんの思いを聞かせてください。

ヒロキ:今は先のことが考えにくい情勢なので、まずは自分たちも含め、周りのスタッフさんや、お世話になってるライヴハウス、仲いいバンドが、無事この状況を乗り越えてほしいですね。なんの支援ができるかはわからないですけど、ちゃんと乗り越えないと展望もクソもないから、まずはそこを願って。それから、僕らの話としては、『気配』はあえてフックのある曲を揃えたんですけど、『KEITH』とかでやったあったかくて、キンタの声の良さが出る歌モノも僕らは好きだし、そういう曲もまたこれから作りたいですね。『気配』は家でしか聴かれへんからこそ、ぶち上がる曲を用意できたと思ってるんですけど、次はちゃんとキンタの声で、聴いてる人を泣かせたり、鳥肌を立たせたりする曲を作りたいなって考えています。

シンタロウ:1年前の状況にすぐ戻るっていうのはイメージできなくて、僕らはまだ配信ライヴもちゃんとやってないし、そこに対してもちろん不安はあるんですけど、僕は結構新しいものも好きなんで。"こういう状況だから、こうやったら面白いんじゃない?"って発想のほうが僕は好きやから、不安でありつつ刺激的な日々だとも思いますすね。

カナタ:自分の周りにいる大事な人に今のレゴをバンバン聴いてもらいたいって気持ちと、さっきヒロキが言っていたけど、好きでも嫌いでも"いい"って言わせられるように、どんどん拡散して、この世の中で認知してもらいたいなって気持ちでいっぱいです。