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INTERVIEW

Japanese

フラスコテーション

 

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Member:佐藤 摩実(Vo/Gt) +9(Gt)

Interviewer:稲垣 遥

-他のメンバーが手掛けた曲では、+9さんが「vivid」を作られています。この曲は台詞から始まるというのもインパクトがあって。

+9:曲自体は思いつきでギターを弾いて、ある程度できてからスタジオで、みんなで固めて。

佐藤:完全にインストとしてできてから、メロディと歌詞は任せてもらいました。

+9:ドラムは、イメージはあるから、優にあとはしたいようにしてくれって伝えて、ベースはちょっと遊んでもらって。で、歌詞がきたら台詞で俺もびっくりしたんです。

-あ、そこは指示したものじゃなかったんですね。

+9:そうです。イメージだけ伝えて。

佐藤:なんでかはわからないんですけど、絶対台詞って思ったんです。スタジオで"私喋るけど、演奏やっといて"ってその場で台詞の部分をやったんで、最初はみんな"......!?"ってなってました(笑)。

-でも、結果的にはかなりいいフックになったと思います。ライヴでも盛り上がりそうですね。

+9:ぶち上がりますね。

佐藤:あれやると感情が爆発するよね。楽しいです。

-他には宮下さん作曲の「夕闇エスケープ」もあります。

佐藤:これは打ち込みでできた曲を宮下が送ってきて、"あとは好きにしていいよ"て言ってくれたんですけど、私は初期衝動を大事にしたいので、宮下が作ってくれた感じに寄り沿いたかったんです。なので、またメロディと歌詞を作ってみて"どうですか~?"って。

+9:摩実が作るいつもの暗い曲じゃないんで、新鮮味がありましたね。難しいのが来たなというか。

-曲としては爽やかな印象でもあるし、ダンス・ビートでもあるし。

佐藤:それに合わせて書いていったら恋愛の歌詞になったんですよね。ちょっと爽やかな中に妖しい雰囲気がしたんで、そういうイメージで書きました。

-そして、1曲インストの「23:58」が入っていますが、これはどういうところから?

+9:もともとライヴの繋ぎでやってたんですよね。

佐藤:この曲をやってから「vivid」に入っていくっていうのを再現できたら最高だなって。

-じゃあ、ライヴによく来ている人からしたら嬉しい話ですね。

+9:いいサプライズになってたらいいなと。

-また、「水明」から「dress」の流れについても訊きたいんですが、"白いドレス"という言葉が両方の曲に出てきますよね。

佐藤:この2曲は繋がっているんです。「水明」が女の子サイドの曲で、「dress」が男の子サイドの曲なんですよ。ちゃんとした結末はまだ言ってないんですけど、「水明」は女の子が海に飛び込んじゃうところを描いていて、それを見ている男の子が「dress」にいたりします。今回アルバムを作るときに、「dress」を入れるんだったら「水明」を入れたいって話になりました。

-そうなんですね。そして、「生きてゆく」が今の情勢にも重なる曲で。

佐藤:今作の中で最後の、3月くらいにできた曲なんで、コロナ真っ只中に作ったんですよ。タイトルも"生きてゆく"っていうのがいいと思うって社長(レーベル代表取締役)言われて、"私もそう思ってました!"っていうので決まりました。

-それで本当に今特に響く曲になったんですね。では、今作の制作で大変だった部分はありましたか?

+9:いっぱいありますけど、再録のほうが難しかったなって思いますね。

-再録するからには、変わったとわかるようにしようとか。

+9:そうですね、音が増えたり減ったりした部分もあるし、過去のものがあるから、それ以上を出さなあかんとかもあったし、当時はできんかったことをしようというのもありましたね。

佐藤:私は「スノードーム」と「夕闇エスケープ」が大変でしたね。「スノードーム」はもともと弾き語りでもととなる曲があって、そこからバンド仕様にするために結構変わったんです。その変える作業が大変で。サビをつけ足そうとか、これをBメロにしようとか、ぐるぐるに変わったよね。Bメロがもともとサビやったんですよ。

-それは大改造ですね。

佐藤:そう、それで新しくサビが欲しいってなったんです。で、専門学校に通ってたんですけど、教室にいるときにメロディが頭に浮かんで、先生に"1回外出てきていいですか?"って、外に出て歌を録ってメンバーに送ったぐらい。思いついて、絶対にそのメロディを逃したくないって思ったんですよ。もとからはめっちゃ変わったけど、私としては今の形になって良かったなと。

-また、ジャケ写のほうはある作品のオマージュになっていますが、これは誰の案で?

佐藤:これは社長ですね(笑)。

-そうなんですね! OASISのデビュー・アルバム『Definitely Maybe』ですよね。

佐藤:はい、あれに劣らぬ1枚目という意味も込めて。と社長は言ってました。

-いい話です。それを聞いておふたりはいかがでした?

佐藤:かっこいいー! って。

+9:そのもととなるジャケ写が送られてきて、どういうことなんやろう? って。

-そっか、『Definitely Maybe』がリリースされたあとに生まれているわけですしね。

+9:"OASISって聴いたことある?"って聞かれて、"たぶんどっかで耳にしたことはあると思うんですけど......"って感じやったんで。

佐藤:でも、聴いたらすごくかっこ良くて。

-そのOASISを名前だけ知っているくらいの若い世代からしても、+9さんがおっしゃったようにジャケ写自体のインパクトはあると思うので、気になって聴いてみてくれたらっていうとこではありますね。あと、フラスコテーションは1本のツアーで50本とか回ったりしてて、その本数からもライヴを大事にして、特にライヴハウスで、現在進行形で育ってきたバンドなんだと思うので、今ライヴハウスでなかなか鳴らせないということに対しては特別な想いがありそうです。

佐藤:そうですね......人生初経験で......。

+9:それはみんなやで。

一同:(笑)

+9:"俺2回目"とかないから。

佐藤:そっか、ないか(笑)。でも、卒業と同時にツアー53本回ったんですけど。

-改めて、すごいですね(笑)。

佐藤:そうなんです(笑)。東北とか行ったことなかったんで。超楽しかったけどね。

+9:初めて携帯で地図検索して、"12時間"とか出てきて"!?"って。

佐藤:2~3年くらいその状態が続いてたけど、スタジオ練習も一時期なくなって、メンバーにも一切会わなくなっちゃって。楽しみにしていたライヴとかもなくなって、仲間たちにも会わなくなったことで、ベッドに寝転がって"何してんねやろ?"となるくらいどうしていいか最初はわかんなかったですね。生きてる心地がしなかったというか。それで、曲作りをしたり、何かできることはないかって考えたりして、YouTubeを始めました。レーベルみんなで「みんなのうた」っていう曲を作ったり、カバー動画をアップしたり。フラスコテーションっていう名前を広めるためや、好きでいてくれる人のためにできることをしてましたね。

-では、振り返って今回のアルバムはどういう作品になりましたか?

+9:僕はすごく変化のある作品やなと思っているので、これを聴いていいなと思ったら過去のEPも買ってもらって、こういう変化があったんやなとか、再録の部分も楽しんでいただき、歴史を感じてもらいたいなと思っております。

佐藤:今までの3年間の曲たちも、新しく作った曲も、メンバーが作った曲もあるし、今までにない音や表現にも挑戦していて。曲順とかも含めてすごく細部までこだわれた作品なんです。今までのEPは4曲とかだったけど......一曲一曲思いを込めたものが15曲あるので、どれか1曲でも響けばいいなと......なんで笑うん!

+9:だんだんすぼんでいったから(笑)。

佐藤:すごくいい作品になったと思います(笑)!

-(笑)最後に、今後の目標があれば聞かせてもらえたらと。

佐藤:私はデカい目標を立てるというのはあんまりなくて、結果こうなればいいなという感じなんですけど、とりあえずたくさんの人に知ってもらいたいし、みんなが何かをする原動力になれたらいいなと思ってますね。