Skream! | 邦楽ロック・洋楽ロック ポータルサイト

Skream! 公式X Skream! 公式YouTube Skream! 公式アプリ

INTERVIEW

Japanese

GANG PARADE

2019年10月号掲載

いいね!

Member:カミヤサキ ユメノユア ユイ・ガ・ドクソン 月ノウサギ

Interviewer:宮﨑 大樹

-今だから歌える曲なんだなっていうのはみなさんの言葉からひしひしと感じますね。この曲でもMVが撮影されたとのことで、どんなMVに仕上がっているんですか?

月ノ:アー写の状態でMVも撮ったので、かなり強いコンセプトの映像になっていると思います。"巫女さんになったつもりで"とか"神秘的な表情で"って言われました。新鮮だったのが、"カメラを見ないで"って言われたことなんですよ。自分の歌割のときとかって、基本カメラを見て表情を出したり、身振り手振りを見せたりっていうのが多かったんですけど、今回はカメラを見たことが一度もなくて。そこは監督のこだわりだったんだと思います。ひと味違うMVになっているんじゃないかなと。

サキ:自分で言うのもアレなんですけど、振付をきれいに撮っていただいています。洗練されているなっていう印象がすごく強くて。

ユア:照明と相まって踊りが上手い人たちに見えた(笑)。

ドクソン:曲としても初めてのことを歌わせてもらっているんですけど、真っ白の衣装っていうのも初めてなので、すべてにおいて初めての空間が映像になっているのを観たときにカッコいいって思いました。

サキ:楽曲を聴いたら温かみみたいな印象を感じると思うんですけど、MVを観たら神秘的なところとか機械的なものが強い要素としてあるかもしれないので、そういうギャップも楽しんでもらえるかなっていうのはありますね。

-ちなみに今回もメンバー作詞の曲がたくさんありますけど、この中ではユアさんが「ALONE」、「Ready Go!」の2曲を作詞していますよね。いずれも本作の中ではロック色が強く、ユアさん好みなサウンドの2曲なのかなと。

ユア:両方とも音がカッコいいなって思いながら作詞したんですけど、「ALONE」は殺人犯のことを書いています。最近、ニュースを見ていて、一般的に"歪んだ愛"と言われるもので犯人側が盛り上がって人を殺してしまったり、誰かが自殺する瞬間がTwitterのトレンドになってめちゃくちゃ回ってきたり、なんか変だなと思って。寂しいなって思ったんですよ。そういう気持ちを書きました。さっきドク(ドクソン)が言っていたように、みんな愛を欲しているんじゃないかなっていうのを感じて。

月ノ:違う形で愛を表現している歌だなと。

ユア:狂気的な感じなんです。強くて一方的な愛というか。自分は愛を渡しているつもりでも、渡された人は貰えていない、みたいな人ってたくさんいると思って。

サキ:振付では、ユアから自殺しようしている人を携帯でパシャパシャ撮っているところのイメージって聞いて、そのイメージのまま振付にしてますね。世界観の強い歌詞をユアが書いていたので、それが出る振付にした感じです。

月ノ:歌詞と振付が相まって、気持ちが入る曲です。

-「Ready Go!」についてはどうですか?

ユア:歌詞カードを見てビックリさせようと思いながら書きました(笑)。テーマもあるんですけど、言葉遊びで暗号みたいにしようと思って。歌詞カードを開いたら"ん?"って思ってもらえる感じにしたかったんです。

月ノ:レコーディングが大変でした。"なんて書いてあるんだ?"って目を細めながら歌って(笑)。

ユア:ちゃんと意味があるので、漢字で表記はしたんですけど、みんな大変そうでした(笑)。社会人とかの、仕事をしている人に向けて書いた歌詞です。帰れない、接待、ため息ついて、みたいな。同世代でそういう人が多いんですよ。"本当は音楽でやっていきたいけど、難しいから働いている"って聞くから、もったいないなって思っていて。どんどんチャレンジしてほしいなって思って書きました。そういう裏テーマはあるんですけど、意味がわからなくても楽しんでもらえるんじゃないかなと。頑張って解読してほしいですね。

ドクソン:耳で楽しめる曲ですね。

月ノ:バンドが好きな人に刺さりそうな曲だと思います。

-"ギャンパレ999"での"FUELED BY MENTAIKO賞"を受賞したサキさんのソロ曲も絶賛制作中とお聞きしました。松隈(ケンタ/サウンド・プロデューサー)さんとは曲のイメージについてどういうやりとりがあったんですか?

サキ:音に関しては松隈さんが私の声に合う曲を選んでくださいました。歌詞はそれに合うように、それと6年間やってきていつかは振付なのか歌なのかで伝えたいと思っていたことをこの機会で歌おうかなと思って、ストレートに歌詞で表現した感じです。

-サキさんが歩いてきた道のりが浮かぶような歌詞です。

サキ:続けていくと途中でしんどいことって出てくると思うんですよ。そうなったときに踏ん張れる曲になったらいいなと思って書きました。変に前向きすぎても頑張れないと思うんです。"そういうパワー残ってねぇし"っていう気持ちになると思うので、そういう感情に寄り添える曲になればいいなと。なので、あえてあまり明るすぎずっていう感じです。

-外に向けて歌っているだけでなく、自分に向けて歌い掛けているように感じたんですよ。

サキ:叫び感があるからそう感じるのかもしれないですね。どっちかというと"代わりに歌っておくね"みたいな感じです。この歌詞みたいな感情って誰にでもあると思うんですよ。だから"私が代わりに歌ってあげるよ"ぐらいの気持ちで。いつかこれがカラオケに入ることになったら日々の鬱憤をぶつけて歌ってもらいたいなと思います(笑)。

一同:(笑)

サキ:偶然なんですけど"愛情"っていう言葉がこの曲にも入っていて。ここだけが唯一、この歌詞の救いの部分なんです。ここに気づいたから頑張れるっていうもので。続けていくなかで頑張れる理由って、"私がこうなりたいから頑張ろう"、"楽しいから頑張ろう"っていう自分のための理由だと思うんですけど、だんだん自家発電だけじゃどうにも頑張れなくなってくると思うんですよ。それが、例えば"次はどこどこに立っているギャンパレの姿が見たいね"と言ってもらうとか、親からの応援とか、そういうもので次に進めそうな気持ちが湧いてくることにここ1年で気づいたんです。それって愛情だなって思って。"それが道しるべになっているから"、"わからない人でもそばに転がっている愛情が救ってくれるかもしれないから"みたいなところを伝えられたらいいなと思って。

ドクソン:"旅はまだ...あぁ..."っていうところがサキちゃんっぽくて一番好きなところです。死んじゃいそうじゃないですか? 疲れ果てた感じが。死んじゃいそうな状態から始まって、道しるべを見つけて、"旅はまだ"まで言うけど、"旅はまだ続くよ"とも"旅はもう終わりだ"とも言わずに"あぁ..."って。まだ歩こうとしているようなところが好きです。

サキ:しんどい人ってそういう気分だと思うんですよ。行きたいけど、"あぁ..."ってなると思うから。

月ノ:当たり前だとは思うんですけど、サキさんが思い浮かぶ曲ですね。より身近にいるからこそそう思うし、サキさんじゃないと出てこない歌詞、サキさんだから説得力がある歌になっているなと思います。

-さて、アルバム収録曲も少しずつ披露しつつ"PARADE GOES ON TOUR"がスタートしています。ツアーの手応えや、ツアーを通して感じたことを聞かせてください。

ユア:横浜2公演が終わってあと10公演というところで、今はまだ遊び人の力を借りているなって思っています。それはすごくありがたいことなんですけど、私たちがそれ以上のパワーをステージ上で出していきたいなって。

サキ:GANG PARADEがさらに頭ひとつ抜けるかどうかのツアーなのかな、というのがすごくあるので、どんな姿で中野サンプラザ(11月4日開催のツアー・ファイナル公演)に立てるのか、本当に自分たち次第だと思っています。転機になるツアーになることは間違いないと思うので、観にきてくれたみなさんには"これからどうなっていくんだろう"っていうところを楽しんでもらいたいですね。

ドクソン:初日もそうだし、今までも私たちが貰うターンが続いていたなっていうのは思っていて。こっちもステージから届ける気持ちはずっと持ってやってきたんですけど、結果はお客さんとかスタッフさんとか、自分たちではない人に貰うことばっかりでした。今は貰ったものがフルまで貯まった状態になった気がしていているので、今度は私たちが捧げるターンっていうのを作りたい。そういうツアーにしたいです。来てくれる人もそうですし、来れない人もいると思うんですけど、GANG PARADEを好きでいてくれたり、気になってくれていたりする人の救いみたいなものになりたいです。ユアぴっぴがさっき言っていたみたいな、"LIKE"じゃなくて"LOVE"、みたいなものに通ずるんですけど、今までは"人の楽しみになりたい"、"エンタメになりたい"ってずっと思って活動してきたんです。そこからさらにワンランク上というか、楽しさと同時につらいときの救いになりたいっていうのが目標です。そういうものを伝えられるツアーにしたいです。

月ノ:与えていけるグループっていうのは本当にその通りで。舞台ではこっちが100楽しませる精神って言ったんですけど、それをライヴに生かしてもっと与えられる存在になりたいです。私たちはアイドルという枠でやっていて、アイドルということは切っても切り離せないと思うんですよ。アイドルとしてもう1個上の世界に飛び出せられるかどうかがこのツアーにかかっているんじゃないかなと。そういうステージアップできるツアーにしていきたいんですけど、純粋に一番やりたいことは、お客さんを幸せにすることなんだっていう根本は忘れずに、ツアーを回り切りたいなと思っています。