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INTERVIEW

Japanese

I Don't Like Mondays.

2019年09月号掲載

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Member:YU(Vo) CHOJI(Gt) KENJI(Ba) SHUKI(Dr)

Interviewer:TAISHI IWAMI

I Don't Like Mondays.への2ヶ月連続インタビュー企画。「Do Ya?」、「Zero Gravity」、「Up to U」、「DIAMOND」と、4月から7月にかけて4ヶ月連続でリリースしたシングルに続き、今回の後編では、その4曲を含む3年ぶりとなるフル・アルバム『FUTURE』の魅力に迫る。70年代のソウル、90年代のヒップホップやアシッド・ジャズから、10年代のEDMムーヴメント、現代のポップ・ミュージックまで、バンドに影響を与えた音楽を改めて掘り下げることでアップデートを試み、そのタイトル通り、見事に未来を示すことに成功したアルバム。彼らはなぜそれほどの作品を作り上げることができたのだろうか。


4人のバンドだからこそ開花させることができた色とりどりの曲を解剖


前編では「Do Ya?」「Zero Gravity」「Up to U」「DIAMOND」と、7月までに4ヶ月連続でリリースしたシングルを特集しました。今回はそれら4曲を含むアルバム『FUTURE』について話を聞いていきます。まずはタイトルが指す"未来"とは、どんなイメージですか?

YU:映画"Back To The Future"や"レトロフューチャー"といった言葉がイメージにありました。そこには、僕らが影響を受けた音楽もあれば、アルバムの制作にあたって、新たに遡った音楽もあります。それらのレトロを、今の感性やムードと混ぜ合わせて作ったアルバムなんです。

SHUKI:未来って、いつの時代も、当時から見た過去と今を繋ぎ合わせてちょっと先を想像したものだと思うんです。その繰り返しによって時代は進んでる。だから、僕らが今の方法によってちょっと先のものを生み出しているとして、それはやがて廃れてまた違うものが生まれる。でも、その中には僕らのやったことが確実に生きてる。今回のアルバムは、どの曲もそれぞれに向き合った過去や切り口があるからタイプは異なります。言ってしまえばバラバラ。それらを繋ぐのは、未来というものに対して僕らが抱いた概念なんです。

-イントロダクションのあと、4ヶ月連続でリリースしたシングルが一気に並びます。これは意図的なことですか?

SHUKI:今作のリード曲として作った「DIAMOND」をどこに入れるかは、まず議題になりました。その印象が強くて最後まで聴かれないかもしれないとか、そういうこともひっくるめて話して、何周かして、最終的に頭に入れることにしたんです。

YU:「Do Ya?」の位置も同じ感じで何周もして、2曲目に落ち着ついて。

-失礼なんですけど、結果4ヶ月連続シングルが並ぶという、何周かしたようでしていない曲順に。

KENJI:めっちゃわかります。何も考えてないみたいな(笑)。4曲のシングルが連続で並んだのは、結果的なことですね。今回は、"未来"というキーワードはあったんですけど、そのコンセプトの下にどうまとめるか、ということはあまり考えてなくて。バラバラな曲調を、散漫でガチャガチャした印象にならないように、どう並べるかを重視しました。

YU:新しく作った曲も含めて、一曲一曲の粒をどう立たせるか。そこには聴いてくれる人の立場から飽きないようにとか、いろんな角度があって。すべてに折り合いをつけるのはなかなか大変でしたけど、すごくいい並びになったから、最初から通して聴いてもらうことをお勧めします。

-「TONIGHT 」と「FIRE 」は自らの過去に直接アクセスした2曲。大きなイメージはそのままに、聴き込むとわかる細かい変化や音響面でのアップデートを試みています。

SHUKI:そうですね。僕ら自身の転機となった過去にかえって今に落とし込むにあたって、"昔のほうがいいよね"みたいな話にならないようにすることは意識しました。そのうえで、聴き比べてみるとノイズが少ないとか、微妙な変化があるんです。

YU:今回は原曲の良さを残すことを大切に、テーマは"品質向上"ですね。

KENJI:そうだね。ロー・ミッドはツヤが出たかな。いいところの低音がしっかり響いてる。そう、「FIRE 」はもともと生音だったドラムを打ち込みにしてるんです。

SHUKI:エレクトロニック・ミュージックがルーツにある曲において、どうやれば生ドラムが打ち込みに勝てるかを探ってた時期に作りました。でも、それは曲によりけりなんですよね。あえて生でやったほうがいいものもあれば、打ち込みのままでいいものもある。そこで、この曲は打ち込みでやりたくなったんです。結果すごく良くなったと思います。

YU:歌は全部録り直したんですけど、これも別々に聴くと意外とわからないかもしれないですね。でも、いい感じに乗ってると思います。

-今作全体の重要なポイントに、歌とメロディがあると思います。ヴォーカルの存在感が明らかに増しているように感じました。

SHUKI:本当にそう思います。特にミックスのときに実感しましたね。やっぱり歌の占める割合って大きいんですよ。録音環境や本人の声、要因はいろいろあるんですけど、歌が良くないと理想とする音像とは大きくかけ離れるんで、そこをほかの楽器で音を重ねて補わなきゃいけないことになる。今回はそういう点においての存在感や安定感が増してたんです。

CHOJI:ライヴだと歌ってる姿が見えてるんで(姿と声の)ふたつでひとつ。でもミックスだと声だけなんで、すごくわかるんですよね。うん、品質向上したよね(笑)。

YU:そうかなぁ(笑)。

-照れますよね(笑)。続いては、今作でお目見えとなる曲について。私が今のI Don't Like Mondays.をひもとく鍵になっていると感じたのは「PLEASE」です。

KENJI:お、なんとなく「PLEASE」って言ってくれるかなって。一番挑戦した曲です。

YU:もはやバンドではないっていう(笑)。

-打ち込みでリズムの手数を減らし、スネアを抜いてハットの連打を入れ、サブ・ベースを鳴らす。現代的なポップのプロダクションに最も接近した曲。

SHUKI:この曲は最後にできたんです。ほかの曲ができた段階で、僕らのことを知ってもらうには十分な感触があったんで、今の僕らがやりたいことを自由に、なおかつ今までとは違う方向に振ってみようって。だから挑戦はしてるんですけど、リラックスして作れました。まぁ、結構早い段階から"そろそろギターの入ってない曲作りたいね"とか言ってはいましたけど。

KENJI:(※ギタリストのCHOJIを指して)がいないときにパっと作ろうぜって(笑)。

-え? CHOJIさん関わってないんですか?

CHOJI:いやいや、冗談ですよ(笑)。ギタリストでありたいですけど、この曲は作曲家/編曲家として、それこそ映画音楽を作るようなイメージで携わりました。俺も大好きな曲です。

-DVD付きとBlu-ray付きに収録されているドキュメント映像で、CHOJIさんがおっしゃっていたことがとても印象的でした。ざっくりとまとめると、ご自身にギタリストとしての理想像があるように、メンバーそれぞれやりたいことや好きな音楽はバラバラ。その個性がちゃんと"I Don't Like Mondays.の曲"に向かってるのがいいって。そこで今回は誰も楽器を弾いてすらいない。そこにプレイヤーとしてのエゴはまったくない。全編打ち込みで作られたこの曲は、見方によっては最も"4人のバンド"らしいとも言えるのではないか、と。

SHUKI:結成当初は、まず個々の考え方だけで曲を作ってたんですけど、うまくいかなくて。I Don't Like Mondays.が必要としているそれぞれの個性ってなんだろうって、みんなが考え出したときからまとまっていったんです。バンドにとって今は何が重要か、そのバンドが次に何を出すのか、ある程度客観的な目線を入れつつ曲を作るムードは昔より強くなってると思いますし、それがいい感じでハマった象徴のひとつが「PLEASE」なんだと思います。今作には、各々のパートとか演奏とは関係のないところで、そいつっぽい要素が出ている部分もたくさんあるんです。そういう広い範囲で、4人にしかできない作品になっていると思います。

CHOJI:もう長いことやってるんで、僕だと音の積み方とかギターの音色とか、4人がずっとI Don't Like Mondays.に向けてやってきたことが、ちゃんと共有できるようになってきたと思います。

KENJI:そうだね、お互いのことは言わずともわかるようになってきてるよね。

CHOJI:だから、すごく優しいアルバムだと思います。僕らのやっていることが未来に続いていくように、お互いが寄り添い合っているような。それが来るべきときに出せたと思いますね。