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INTERVIEW

Japanese

太田家

2019年07月号掲載

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Member:太田 彩華(Vo/Ba)

Interviewer:高橋 美穂

-ヒライさんはロマンチックな表現に長けた方ですけど、この楽曲でも冒頭から"有明月のブランコ浮かぶ"っていう歌詞で、まさに文学的青春パンクを射抜く一節だと思いました。

そうですね。ヒライさんは、"文学的とはなんぞや?"って考えながら書いてくださったみたいで。"太田家のためを思って書きました。言葉と声の力を信じて、活躍できるように願いを込めて作りました"っていうメッセージもいただきました。

-あぁ、特に"僕の声が真っ赤に燃えて この空を飛べ"は、言葉と声の力を信じていらっしゃる方だからこそ出てくるフレーズだと思いました。

本当にそうですね。"この空を飛べ"っていうところは、歌っていても気持ちいいし、聴いていてもグッときます。"声を言葉を届けたくて"っていうところも、そう思いながら歌っていきたいですね。

-こういう楽曲を書いてほしいっていうリクエストはしたんですか?

いや、ないです。THE BOOGIE JACKの楽曲を聴いていたので、絶対にいい楽曲がくると思っちゃっていましたね(笑)。

-彩華さんの歌詞や歌への思いは、ヒライさんに伝えたんですか?

いや、伝えていないんです。でも、汲み取ってくださって、ありがたいですね。もしかしたら、ひさおくんやたけちゃんが何か話してくれているかもしれないけれど。


暗いことも多いですけど、ここにいるときは家族団らんで楽しみたい(笑)


-そして9月リリースの「夢の散歩者」。第3弾ならではの捻りというか、アイリッシュなアレンジになっていますね。

アイリッシュはひさおくんが得意なんです。

-彩華さん以外のメンバーの個性が出てくるのもいいですね。そして印象的だったのが"散歩者"という言葉なんですが、もともとはどこから出てきたんでしょうか。

これは、江戸川乱歩の"屋根裏の散歩者"からいただきました。変というか怖いというか......屋根裏からずーっと見ている話なんですけど。

-そこから取ったんですね!? 楽曲の世界観とは違いますね。

そう、言葉だけいただいて(笑)。私は、母と歩いているイメージで書いたんです。

-あぁ、そういうほのぼのとしたイメージがありますよね。でも、"オイ!"っていう男らしいコーラスは入っているっていう。そこは青春パンクならではなのかなって。

最初に聴いたときに、行進するような力強さがあって、でもメロディは優しくて。じゃあ、歌詞はめちゃくちゃに優しくしようと。この曲では、私の思う愛情を書いたんです。

-あと印象的だったのが、"8分の6でも変拍子でも/僕らが歩きやすいリズムで"っていう曲とシンクロしている歌詞だったんですが、先に曲があったんですよね。それによって引き出された歌詞っていうことですか?

はい。仮タイトルが"8分の6拍子"っていうそのまんまな感じだったんです(笑)。ここの歌詞は、自分たちの歩きやすいように歩いていこうって書きたかったんですけど、8分の6......8分の6拍子でもいいじゃないか! って思ってこう書いちゃいました。

-これは、曲を作ったひさおくんも嬉しいんじゃないんですか?

"入れたんだねぇ"って言われました(笑)。

-このシンクロ感はバンドっぽくていいと思います。今まで作詞家として歌詞を提供したり、ソロ・シンガーとして歌詞を書いてきたりしたときとは、歌詞への向き合い方が違うんじゃないんですか?

違いますね。提供するときは、例えばどんだけ自分が暗い気分だろうが、提供先が"今からやっていくぞ!"っていうアーティストさんだと、"とびきり明るいのを書こう!"ってやっぱり意識するんですけど、太田家で書くときは、自分自身が主人公でいいじゃないですか。だからこそ、迷うといえば迷うんですが......楽しいですね。自由に書けますし。バンドのコンセプトも好きなものにさせていただいているので。

-これから太田家で書きたい歌詞のアイディアも、ご自分の中でストックされていたりするんですか?

やっぱり青春っていうのは絶対に中心に置いて歌っていきたいんですけど、こういうの歌いたい! っていうのはまだまだありますね。

-では、最後に太田家のこれからのヴィジョンを語っていただけますか?

バチバチに明るいバンドでありたいですね。暗いこととかも多いですけど、ここにいるときは家族団らんで楽しみたいなっていう(笑)。

-夢野久作や江戸川乱歩が好きだと聞くと、そっち側にズブズブ行ってもおかしくはないと思うんですけど、太田家の表現は別なんですね。

そうですね(笑)。そういった文学作品は好きなんですけど、歌いたいのは明るい曲なんです。

-彩華さんご自身の明るさが出ているんでしょうか。

わりと大人しい方ではあるんですけど、ポジティヴではあると思っていて。言葉って、力があると思いますし、それをメロディに乗せてさらにパワーアップさせて、みんなが前を向けるような曲を作っていきたいです。

-バンドとしては欠かせないところだと思いますが、ライヴに関しては、どうですか?

たくさんやっていきたいですね。8月には花火大会でのライヴ(熱海親水公園で開催される"熱海海上花火大会 LIVE 2019"/太田家は8月5日に出演)が決まっていて、それは夢だったので嬉しいなぁって! ここから次のステップに向かっていきたいですね。