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INTERVIEW

Japanese

Newspeak

2018年10月号掲載

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Member:Rei(Vo/Key) Ryoya(Gt) Yohey(Ba) Steven(Dr)

Interviewer:TAISHI IWAMI

人間はそんなにシンプルじゃないし、いろんなややこしい感情がある。それをグチャグチャにしてやろう


-感情ということになると、作詞を手掛けるReiさんは、言葉もとても大切にされてますよね。タイトルの"Out Of The Shrinking Habitat"は、"息苦しい世界の外"ということでしょうか?

Rei:"Shrinking Habitat"を直訳すると"縮んでいく生息地"。意味合いとしてはネガティヴなんですけど、"Out Of"は、そこがポジティヴなのかネガティヴなのかは外に出てみないとわからない、というのがタイトルにある意味です。で、全体的な内容としては、いろいろと面倒臭いことが多くて、ごちゃごちゃした日常のなかで、何が大切なのかっていうことですね。"Habitat"="生息地"って言葉を使ったのは、人間も動物と同じように、もっとシンプルな感情が大事なんじゃないかと問い掛けたかったからです。誰でも考えるようなことだと思うんですけど、それをいろんな角度から描いていったんです。

-いろんな角度というのは?

Rei:「Lake」は反復作業みたいになっていく毎日のこと。仕事にも変に慣れてきて視野が狭くなっていくけど、自分を制限するものは同じ人間が作り上げたものだから、それに縛られないでほしい。その気持ちを、サビで"湖の近くに家を買うことが夢なんだ"って好きな人に話すラヴ・ソングにしました。「24/7 What For」はSNSのことですね。"いいね!"の数とかコメントの数を気にしたり、写真にフィルターをかけまくったり、本当の自分じゃない自分を発信し続ける作業について。自分もそういうところがあるし、どうしたものか。

-SNSがない時代とSNSが普及した時代を跨いでいない人たちが、新しいカルチャーを作る20代に。そこで考えることはありますよね。

Rei:自分を発信できる場所っていう意味ではすごくポジティヴだし、コミュニケーションの場にもなる。でもそれに縛られてフェイクの自分を発信し続けて、そうやって視野が狭くなっていくならネガティヴ。よくある話ですけど、使う人次第ですよね。

Steven:こういうことをアップしちゃダメとか、自分で発信しておいて自分で制限かけちゃうみたいな。自分らしくいればいいのに。

Yohey:僕にとって、写真とかアルバムってパーソナルなもので、自分の大切な思い出として残しておきたいもの。だから、それを人に見せるために準備して撮るようなことに、個人的には違和感を持ってます。まぁ、人それぞれだと思いますけど。

Ryoya:ミュージシャンの視点から言うと、無名のアーティストだっていきなり世に出られるし、才能があっても見つけてもらえなかった人たちの可能性は広がりましたから、すごくいいと思います。まぁ、"何やってんだろうなこの人"って思うこともあるっちゃありますけど、その人が好きで偽りなくやってたらそれでいいんじゃないですかね。

Yohey:とか、みんないろいろ一定の距離を保って言ってるようで、エゴサーチはめっちゃするからね。

Rei:エゴサとかしてる自分に嫌気がさして、この曲を書いたもんね(笑)。

Yohey:SNSに書いてくれる人はもちろんありがたいけど、書いてはくれなくても、現場で嬉しい反応はたくさん貰ってるから、ネットの反応に執着しなくてもいいのに、しちゃうよね。

-で、どの曲もそういうモヤモヤがありつつ光も見える。

Rei:楽しくいこうよって。フェスを朝から晩まで観て"気持ち良かった"って思った人の気持ちを作品にするようなイメージもあったんです。だからサウンドは空間広めで、景色とか季節とか時間を感じてもらえるようにもなっていると思います。

-人間の感情って、嬉しいとか悲しいってはっきり割り切れることばかりじゃない。そんなに整頓されたものではなくて、いろんな感情が混在したり、めくるめくやってきたり。そこが表現されてるからNewspeakの音楽はリアルだしポップだと思います。

Rei:人間はそんなシンプルじゃないし、いろんなややこしい感情がある。それを引き算で音を少なくしてというより、グチャグチャにしてやろうって、この作品を作りながら考えてました。

Yohey:モヤモヤしたものを詰め込んで、それを形にするみたいな。

Rei:でも結局メッセージの向かうところはシンプルで、"人間とはどういう生き物なのか"みたいな。

-なるほど。どの切り口から話しても、混沌としていながら1本の筋があるというNewspeakらしさにストンと落ちますね。

Yohey:4人の生活感が丸見えになってると思います。まったく違う人間が誰も我慢してないのにやっていけてる。それが出てる作品なんじゃないかと。

-その生活感がライヴになるとまた爆発しますしね。

Rei:アルバムの音を再現しようと思っても、それ以上の熱量が出ちゃう。そのはみ出したぶん、予想以上にエモいところが僕らのライヴなんだと思います。だから、CDを買ってもらって、英語がわからない人は和訳を読んでもらったうえで、ライヴに来てもらえたらより伝わるはず。でも何も知らずに来てもらってももちろん大丈夫。僕らは"踊りエモ泣きロック"なんで、単純にそこを楽しんでもらいたいです。

Steven:泣きながらエモくなりながら踊るって、それ難しくない(笑)? カッコいいって言われるのは嬉しいけど、カッコ良くなくていいし、そこを目指したいよね。この狂ってる世界の中でこの4人がありのままの姿でライヴしてることから、何か感じてくれたらいい。

Ryoya:そう。今回のアルバム・ツアー(2018年10月から11月にかけて開催する"Newspeak 1st Minii Album『Out Of The Shrinking Habitat』Release Tour")で初めて北に行くので、それも楽しみです。僕ら、とにかくライヴが好きで楽しくてやってるから、お客さんも何か感じたらどんどん出してもらえると嬉しいです。