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INTERVIEW

Japanese

ORESAMA

2018年08月号掲載

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Member:ぽん(Vo) 小島 英也(Prog /Gt)

Interviewer:沖 さやこ

-ぽんさんは「ホトハシル」のトラックを最初に聴いたとき、どう思いましたか?

ぽん:頭10秒で掴んでくるところはさすが小島君だなと思いました。"本当に(原作)読んでないのかな!?"と思うほどでした。タイアップの世界観にも寄り添っているし、新しいORESAMAを見せることもできていて......"さすが小島君、いいところを突いてくる!"って。この曲も初めて聴いたときにすぐ"早く歌いたいな"と思いました。

小島:最初にできたのがイントロなんですよね。イントロで曲の表情は決まると思っているので、まっさらな状態から時間をかけて作っていきました。そこからAメロ、Bメロ、サビが導き出されていったというか。だから新しい挑戦をしつつも、イントロができたあとは結構スムーズに作れた曲でもありましたね。今回ぽんちゃんの書いてくれた歌詞で、すごくいいなと思ったのは歌い出しなんですよ。

-トラックがミュートになった瞬間にぽんさんが"生きているのか"と歌い出すところですか?

小島:歌詞が入っていない状態の時点で、ここに入る言葉はすごく重要になるな、ぽんちゃんはここにどんな言葉を入れるのかな......と思っていたら、届いた言葉が"生きているのか"だった。音にもばっちりハマっているし、歌い出しに"生きる"という言葉を持ってくるぽんちゃんの度胸もすごくいいなと思いました。だから「ホトハシル」の歌の表情は、ここにぎゅっと凝縮されているような気がしますね。イントロと歌い出しは、本当にこの曲の"顔"になっていると思います。

ぽん:原作を読ませていただくなかで、大切な人の死や自分自身を乗り越えようとする登場人物たちの姿がとても印象的で、それに自分が思っていた以上に励まされて。この気持ちをそのまま歌詞に落とし込みたいなと思ったんです。自分自身を奮い立たせるような、よりストレートな言葉を意識して書きました。小島君が新しいトラックメイクにチャレンジしたように、私も歌詞で新しい自分を見せられたらと思ったので、「ホトハシル」は歌と同様、歌詞もストレートな言葉で、ORESAMAのぽんなりの必死さを描きたいと思って書いていったんです。

-"僕らの選んだ正義の道"や"唯一無二"など、自分自身に誇りを持とうと鼓舞する楽曲だとも感じました。

ぽん:進みたいのに、どうしても立ち上がれないことってあると思うんです。それが自分自身の問題の場合、どう自分を奮い立たせることができるか......というイメージで書いていきました。だから自分自身を鼓舞する曲なんですよね。

-そのシンボルとなったのが"ホトハシル"という言葉だったんですね。

ぽん:"ホトバシル"という言葉はイメージがしやすいなとも思うんですけど、濁点を取るだけで呪文のように思えたり、"ホトバシル"だけでなく"ハシル"という言葉にも焦点がいくかなと思って。"ホトハシル"という文字の造形も含めて気に入って、このタイトルにしました。MVでもたくさん新しい挑戦をしているので、音楽以外も含めて新しいORESAMAの色を楽しんでいただけたらと思いますね。

-「ようこそパーティータウン」は"雪見だいふく"のTwitter企画"雪見家の日常はほんわりで〆る"主題歌の書き下ろしで、4月にプロモーション・ムービーが公開されましたね。

ぽん:実は今回収録されているものではあのムービーで使用されているものに少しアレンジを加えているんです。

小島:僕は言葉や歌詞をメインの仕事にしていないぶん、音で伝えたいものを表現できると思っていて。どんなときもその場その場で、自分の思っていること、好きな音楽、聴いている音楽を、曲に反映させていきたいんです。だから「ようこそパーティータウン」もCD収録のフル尺を作るタイミングで、その時の自分のモードを反映させたいなと思ったんですよね。

-「ホトハシル」の制作を経て、小島さんの音楽ブームが変わったということですか?

小島:僕は完成から1週間で曲を作り変えたくなったりすることもあるんです(笑)。今はバラードではないけれど、スロー・テンポな、ノリのあるソウル・ミュージック、R&Bを聴いているので、その要素を入れたいなと思って。パーティーっぽさを残すためにも上モノのシンセのディスコ感はそのままにして、今までORESAMAが作ってきたディスコの流れを軸に置いたうえで、Bobby Brownなどに代表されるニュー・ジャック・スウィングのテイストを組み込んでいきました。リズムで遊んだ側面がすごく強いんです。CMは底抜けに明るい雰囲気になったけれど、CD収録にあたって低音もガッツリ出して、腰が据わってさらにノれる、踊れる曲になったんじゃないかと思います。

ぽん:企画に出てくる"商店街"とリンクさせて、"ORESAMAという媒体=パーティータウン"として書きました。歌も楽しく、ウェルカム感を出すことに重きを置きましたね。CMソングなので、完全に企画へ寄せて作る面白さもあったと思うんですけど、ORESAMAのぽんとして発信していくためにも、フル尺を作るにあたって"雪見だいふく"さんのものであり、ORESAMAのものでもある楽曲にしたくて。「ホトハシル」では新しいORESAMAを見せられて、「ようこそパーティータウン」は今まで培ってきたORESAMAのモードの延長線上で描けたと思います。この2曲を同時にリリースできるというのは、自分としてはすごくいいバランスだなと思っていますね。

小島:そうだね。今回はリズム面での挑戦が多くて、リズムというのは曲の中でかなり大きな比重を占めると思うんです。そこで新しいアプローチができるというのは、すごく可能性が広がることなんですよね。「ホトハシル」では早いテンポでファンク調のリズムを取り入れて、「ようこそパーティータウン」はニュー・ジャック・スウィングを参考にしたリズムと、ORESAMAとして四つ打ちに変わる新しいグルーヴ感を模索していたなかで、手応えを感じられています。テンポ感でも明暗でも雰囲気の違う楽曲になったし、2曲比較して聴いてもらえるとそれぞれの良さがわかる。今後も新しいジャンルを取り入れられる可能性を秘めた2曲になったと思っていますね。

-まだまだ挑戦したいことがたくさんありそうですね。

小島:今好きな曲のモードがスローなものなので、そういうものを増やしたいなと思っています。ギターがフィーチャーされたスローな楽曲......ネオ・ソウルと言われるものとかかな。そういう楽曲を増やしていきたいです。

-でも完成から1週間で曲を作り変えたくなってしまう人だから、今後そのほかにもブームが来る可能性もありそうですよね。

小島:もしかしたら誰も予想していないようなジャンルを取り入れた曲ができあがる日が来るかもしれないですね(笑)。

ぽん:『ホトハシル』の2曲で音楽的にもヴィジュアル的にも今までと違う面を出せていると思うので、またひとつ殻を破れたなと思っています。昔から言っている"自分たちが自信を持って発信できるJ-POP"というのは変わらず、どう『ホトハシル』を超えていけるか――そこに挑戦していくのが楽しみですね。

小島:音源に限らず、今後のライヴでも演奏面のグレード・アップを図っていきたいですね。サポートしてくれるメンバーと一緒に、ライヴならではの、楽器隊が絡み合っていく感じをもっともっと出せていけたらいいなと思っています。僕らは人間のグルーヴ、ライヴでしか生まれない曲の表情を追い求めているので、音源を気に入ってくれている人もぜひライヴに足を運んで、音源との違いを感じていただけたら嬉しいですね。