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INTERVIEW

Japanese

セックスマシーン×ガガガSP

2018年03月号掲載

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セックスマシーン:森田 剛史(Vo/Key)
ガガガSP:コザック前田(唄い手)
インタビュアー:フジジュン Photo by 上溝恭香

みんなが知ってるような代表曲やキラーチューンがないなかでライヴするなら セクマシが日本一だと思う(前田)


-セクマシのライヴは始めて観た人も惹きつける求心力がものすごいあると思いますよ。

前田:去年、博多で一緒にやったとき(2017年6月11日に福岡Queblickにて開催した"『ツアーはじまってる。TOUR ファイナルシリーズ』~対バン編~")、"いま、初見の人が観るなら、一番惹き込まれるんちゃうか?"って言うた覚えがありますね。あのとき、一緒にセッションやって。あれはなんやったっけ? セクマDXや(笑)。メガ氏がおらんくて、セクマシの演奏やから、セクマDX。で、「にんげんっていいな」をやろう言うたら、"坊やよい子だねんねしな"って、オープニングの曲(「にっぽん昔ばなし」)からやるんです(笑)。しかもお客さんもガガガDXがちょっとうろ覚えになってきてるから、さして盛り上がらず。でもね、みんなが知ってるような代表曲やキラーチューンもないなかでライヴするなら、セクマシが日本一やと思いますよ!

-曲もキャッチーで、歌詞も1発で伝わってきますしね。

前田:そう。僕らとかのライヴやと"「卒業」か「晩秋」やるんかな?"みたいな期待がお客さんにもどこかあって。セクマシにもキラーチューンはあるけど、お互いにそれがない状態で勝負したとしたら、僕らよりセクマシの方が強いですよ! そこはね、バンドを20年やってきて、モーリーが骨の髄までバンドマンやからってことが事実やからやと思うわ。バンドマン的な思考って、どうしても残るでしょ?

森田:残りますね。単純な思考の部分でサービス精神を価値基準にしてしまうというか。何か選択肢があったとしたら、"こっちの方があとで友達に話したときに喜ぶやろ"と思って選んでしまうことが多いですね。

前田:俺は最近、初めてUSJ(ユニバーサル・スタジオ・ジャパン)に行ったんやけど。ジョーズとか乗ったとき、クルーの子が"今日担当する○○で~す!"とか言うてるの見て"これ、ライヴやな!"と思ったら、MCが気になって。ジョーズをまったく見ないで、ずっとMCを気にしてしまって。

森田:わかります。いい映画を観てても、何がいいのか分析してしまう(笑)。あと、1発で伝わる曲っていうのは、神戸Star-Clubに出始めたころからそういう意識があって。"1サビで覚えてもらって、2サビでは一緒に歌ってもらわなあかん"って気持ちで、曲を作ってましたね。

前田:当時は東京に行かないとCDが出せない感覚やったから、1回のライヴでどんだけ色濃く覚えてもらえるか? っていうのがすごく重要やったんです。東京のバンドが来て、一緒にやったときとかは、どんだけバカやって、どうやって名前を覚えてもらおうか? と思って、必死やったよね? 帰りの電車で"おかしな奴やったな"でもええけど、ちょっと話題になってもらわないと、やった甲斐がないなっていうのはあったと思う。

-帰りにスマホで検索することもできなければ、家に帰ってYouTubeで動画を観ることもできないわけで。チケットとチラシに書かれたバンド名しかヒントがないですしね。

森田:調べようがないですからね。ようけチラシが置いてあるレコード屋さんに行って、チラシを見てマンスリーのライヴ・スケジュールを見るくらいしか方法がないんですから。ライヴハウスってちょっと怖かったし、何かの機会で来てくれても、その日が楽しくなかったら、もう来ないですからね。今は業界全体やライヴハウスの努力もあって、当時よりはライヴハウスに来やすい状況になってますけど。

前田:それとツールがたくさん増えたなかで、"生でライヴを観る"ってことが残ったのもデカいと思う。それは生でライヴを観るってことに意味があるってことが、みんなわかったからこそ残ったと思っていて。見せる側としては"圧倒的存在感"じゃないけど、印象に残るものと鮮度は保ち続けていきたいなと。20年やっとったら、こうやってこうしたら盛り上がるっていう図式はわかるし、それをやってればたしかにウケるんやけど。絶対、先細りになるし、自分に対する鮮度が落ちてしまうんです。

森田:飽きてしまうんですよね。メンバーも"またこれか"と思ってしまうし。

前田:そう。自分で自分に飽きるっていうのが、音楽から離れる一番の理由やと思うんです。だから一時期、「卒業」とかやらんかった時期があったけど、今またやってるのは鮮度が高いから。結成21年って、たまに18歳のお客さんとかおるけど、俺らが結成したときにまだ生まれてないわけやからね。その子たちにとっても新鮮やと思うんです。

-こっちが鮮度を保って、そういう子たちにも新鮮に届けば、新しい広がりが生まれそうですよね。またセクマシとガガガで一緒に何かやるってことで、鮮度の高いものを見せることができるかも知れないですし。

前田:いま改めて一緒にやるっていうのは、鮮度が高いものが生まれる気がしますね。

森田:ガガガと高知でやらせてもらったとき、前田さんがずっと宙に浮いてるんちゃうか? ってくらい、異常に調子がいい日があったんですよ。客席も舞台袖もウワ~ッ! となってて、ホンマは毎回それくらい高い水準でできればいいんですけど、そうもいかないんで。"俺、今日やったったぞ!"って日をどんどん作りたいなと思ってます。

前田:俺は逆に自分がピッチャーの気分で、"モーリーにホームラン打たれた!"って日もあるし。それはその日の体調とか調子とか、何がどう噛み合うかってところもあるから、毎日ホームラン打つ方法はわからないですけど。"今日はホームラン打たれたわ"ってお互いに言い合える仲っていうのはいいなと思いますね。そんで、濃い人は生命力があるのか、濃い人だけが残ったよね(笑)?

森田:そうですね。バンド名をころころ変えてた人も、いまは何やってるかわからないですもん。

-では森田くん、最後にベスト盤について言い残したことがあれば。

森田:今回、ベスト盤を既発曲だけでまとめたのは、ベスト盤に1曲だけ入ってる新曲が虐げられるのがかわいそうやから、既発曲だけにしたんですけど。

前田:ファン投票みたいなことはせんかったの?

森田:こないだライヴでやりましたけど、ベスト盤の選曲は自分の意志で選びました。ファン投票はわりとライヴでやらない曲ばっかりが選ばれてて......。

前田:いや、そうやねん。カラオケに行ったときとか、自分の曲のチャートを見ると、ライヴでもやってないような曲が上位に入っとんねん。1位「卒業」、2位「はじめて君としゃべった」まではわかる。3位に「愛」っていう、「卒業」のカップリングで入ってる曲が入っとって。わからないもんやなぁ~と。

森田:僕も投票形式によって自分たちの曲を見つめ直せたところはありましたよ。ただ、今回のベスト盤はどちらかというと、最近興味を持ってもらった人にライヴの定番曲を今の僕らのプレイで聴いてもらいたいというのがあって。まずはこれを聴いてもらって、新曲なり、前田さんとの共作なりに期待してもらいたいです。やりますか、前田さん家に泊まり込みで!

前田:ええよ。じゃ、メガちゃんも呼んで3人でやろか。今度はテープ録っとこな(笑)。