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INTERVIEW

Japanese

The Floor

2018年02月号掲載

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Member:ササキハヤト(Vo/Gt) 永田 涼司(Gt) ミヤシタヨウジ(Ba) コウタロウ(Dr)

Interviewer:沖 さやこ

-追い詰められたときは本能的に、最もダメージが少ない状態で自分を救い出す選択肢を取りますよね。極端に言えば"こうしないと死ぬ!"くらいの。だからこそ本当に自分にとって健全な方法が見つかるのかもしれない。

ミヤシタ:もしかしたら毎回無意識的に自分たちをそっちに追い込んでるのかも(笑)。

ササキ:(笑)悩んで悩んで音を鳴らす喜びを再認識して、そこから作品が生まれていく。僕ら根暗だし、考えすぎるところもあるから、これからもそれを繰り返していくのかな。"最高!"という気持ちだけである種、無になるという感覚を取り戻して――僕らはそれを"青春性"と言っているんですけど、あのときの感覚が何度も何度もリバイバルして、そのたびに取り戻していく。それが僕らにとっては健全なのかな、The Floorはこういうバンドであるべきなんだなと思ったんですよね。結果的にちゃんと新しい挑戦ができていて、しっかりと自分たちの意志が通った10曲が生まれてくれたことが、すごく嬉しいんです。

-「寄り道」は4人で音を出してできたということは、まずはオケからできたということですか?

永田:音を出しているときに俺が"ラララ"でメロディを歌っていたので、オケもメロも同時にできました。

コウタロウ:みんなで音を出したあとに、永田がデモである程度きれいにまとめたものを聴いて、"めっちゃこの曲好きだからこの曲で歌詞を書きたい"と自己申告したんです。ただ、この曲は名曲だという認識が強くて、これに俺が歌詞を書くのか......と自分で自分にプレッシャーを掛けちゃって(笑)。すごく悩んで、ずっと部屋にこもって書いてたんですけど書けなくて。申し訳ないけどみんなには何も言わず、1泊洞爺湖に遊びに行ったんです。

ササキ:遠いね! 結構ちゃんと行くじゃん(笑)! そういえば「寄り道」作ってるとき3日間くらいコウちゃん(コウタロウ)いなかったね。

永田:おまけに全然(携帯に)返事来ないから、俺らは"コウちゃんめっちゃ頑張ってるんだね"と話してましたね(笑)。

コウタロウ:いくら歌詞を書くためとはいえ、みんながスタジオに缶詰めになっているときに"遊びに行ってくるよ~"とはなかなか言い出せなくて......。でも結果的に洞爺湖の経験が生きた歌詞になりました(笑)。

-2017年末のインディーズ・ラスト自主企画ツアーのタイトルが"ファンファーレ"でしたが、それは10曲目の「ファンファーレ」から取ったものでしょうか。

永田:そうですね。"ファンファーレ"という言葉の"始まり"というイメージはもともと前からメンバーの中に共通して存在していたものなので、この曲ができたあとにハヤトが"ファンファーレ"という言葉がテーマになった歌詞を書いてきたときもスッと腑に落ちました。僕はもともと僕がひとりで作った音楽が、どんどん多くの人に聴かれることにロマンを感じるんですけど、その開いていく感覚をイメージしながらメロディを書いていったので、サビも下からどんどん上がっていくものにしたんです。"ひとりから鳴り響く"というイメージはハヤトにも伝えましたね。

ササキ:すごく細かくイメージを伝えられたぶん、歌詞を書くのにすげぇ悩んで。5、6回書いた歌詞も全部"ダメ"と言われて、なんなら俺も書いたものに納得してないという状態だったんです(笑)。それこそさっき話した苦悩の時期で"いいことを書かなきゃ"とか"心に刺さるものにしなきゃ"と思っていて......わけがわからなくなって。途中プライドを捨ててコウちゃんに歌詞を書いてくれと頼んだりもしました。

コウタロウ:それで俺も3回くらい書いたんですけど、どうも書けなくて。

ササキ:でも与えられたイメージと、曲をしっかり聴いていくなかで生まれたのが"始まり"だったんですよね。この曲には"ファンファーレ"という言葉が合うな......と思ったので、そこから僕なりの始まりを書いて。人生必ずしもいいことばかりではないし、ナイーヴな自分も未来に期待してしまう自分も全部ひっくるめて、歌詞にしています。

-なるほど。おっしゃっていただいたことと少しずれるかもしれませんが、ササキさんの歌詞も、コウタロウさんの歌詞も、"過去全部抱えて前に進んでいきます"と言っているようだなと思いました。

ササキ:今回は多いかも。僕らの持っている"青春性"に"忘れられない1ページ"というものがなんとなくあるんですよね。音楽から受けた衝撃を忘れられないことがThe Floorの青春性に繋がっているように、僕の忘れられない経験が歌詞になっているのかな......といまなんとなく思いました。(青春性のある)曲に引っ張られたのかな。忘れてしまいがちなものもたくさんあるけど、確実に残っているものはあって。昔の忘れられなかった景色などに青春性を感じているんだと思います。たとえば「POOL」は仮タイトルが"swim"だったのと、メンバーみんなプールにハマってたりもしたので、小さいころに市民プールに行ったときのことを思い出しながら書きました。お母さんに貰ったロッカー代の100円とプラス何十円か出してセブンティーンアイスを買って食べる......そういうイメージで。

-"過去あっての現在"というのを大事にしているササキさんの思考が、歌詞にはっきりと出ているというか。

ササキ:僕、出会った人のことを嫌いになるのとかが嫌で。その人がいるから、いまの僕がいると思うんですよね。それは過去の自分に対してもそう。もちろん嫌な部分はあるけれど、そのときの自分がいるからいまの自分がいる。だから捨てずに全部リュックに詰め込んで、一緒に進んでいく。それが人生のテーマになっていると思います。