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INTERVIEW

Japanese

愛はズボーン

2017年11月号掲載

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Member:カネシロマサヒデ(Vo/Gt) シライタツヤ(Ba)

Interviewer:岡本 貴之

-"パンケーキ"っていうタイトルだったんでしたっけ。

カネシロ:そうです。その前の最初が"僕らの時代"っていうタイトルで。THE WHOの「My Generation」みたいな曲を作ったらどう? って言われて、僕はアホやからサウンドじゃなくてタイトルを取ったんですよね(笑)。それから途中で"パンケーキ"になって、1回置いたまま忘れ去られていたんですけど、もう1回やったんです。この曲はアルバムのタイトルにしようと思いましたし、繰り返す部分の2番の歌詞はすごくこもって書いた覚えがありますね。メッセージとして、今、愛はズがやりたいことや伝えたいことをちゃんと詰めようと思って書いたし、最終的に泣きメロを入れようっていう案とか、最後は度肝を抜く展開でいくぞとか、そのへんは気合を入れて作りました。

-"劣等感で美味い酒は飲めるけど美味しいご飯は作れません"という名フレーズが出ましたね。

カネシロ:いやもう、伝説ですね。

シライ:ははははは!

-自分で言いますか(笑)。

カネシロ:これはハッキリ覚えてますもん、思いついたとき。完璧やなって。今の世の中のいろんなことに当てはまるというか。この曲は僕の中ではいろいろ言ってるつもりなんですよね。世の中、炎上商法とか不倫報道とか、テレビでも表立ったことってネガティヴな発言ばかりですよね。劣等感とかマイナス、ネガティヴなものの方が見出しになったときに目を惹くからバーンと出やすくなっていて。"クソ"とか"死ね"とか、人が目にして嫌がる突き刺さるものを商品にしていることがすごく多いと思うんですよ。そういうのって攻撃力と速さはめっちゃあるんですけど、持続力と幸福感はないし、生活には馴染まないですよね。ショッキングなもので戦ってばっかりで、揚げ足の取り合いやし。日々持続させるちょっとずつのポジティヴが積み重なっているものを良しとする時代がくればいいなと僕は思ってます。

-ネガティヴなものにうんざりしているっていう人は多いはずなんですけど、あんまり変わらない気はしますね。

カネシロ:そうですよね。簡単な感じなんだと思いますね、受け取る側も。


"いったいどんな意味なんだろうな"って思わせることもエンタメだと思う


-愛はズの音楽は受け取る側も簡単じゃないというか、タイトルの言葉もどんな意味なんだろうっていう(笑)。"どれじんてえぜ"とはどんな意味なんでしょう。

カネシロ:テーゼとアンチテーゼってあるじゃないですか? 哲学用語のひとつの論みたいな感じですよね。テーゼに対する反論がアンチテーゼなわけですけど、そのふたつのやりとりっていうのが、僕には揚げ足取りに見えて、それが今の世の中に重なって見えたんですよ。それで、"ジンテーゼ"という言葉もあるんですけど、テーゼとアンチテーゼのやり取りを全部超越したテーゼが生まれたときにそれがジンテーゼと呼ばれて、ひとつの哲学が完成するんです。それを知ったときに、"ジンテーゼっていう響きカッコええ~"って思ったんですよ。そのときに、自分の思ってるメッセージ性とジンテーゼっていう響きがピタッとハマったんです。それを平仮名で"じんてえぜ"にして。今、平仮名にハマりにハマってるので。

-"ゆ~らめりか"以来、平仮名にハマってるんですか(笑)。

カネシロ:そうなんですよ、平仮名ってクールやなって(笑)。"じんてえぜっていったいどれなんでしょうね?"っていう意味で、"どれじんてえぜ"ってタイトルになったんです。みんな揚げ足取りは止めて前向きにちゃんと答えを見つける方を向こうぜっていう。

-なるほど。なかなか読み解くのは難しかったのでようやくわかりました。"どれじん"でひとつのワードかと思ってたので。

カネシロ:そういうのがいいですよね(笑)。僕は自分の中で"ばらさない"っていう美学があるんですよ。パッと見てわかりやすいものを作りなさいとは言われるんですけど、そこは平仮名とか響きでカバーできていると思っていて。"いったいどんな意味なんだろうな"って思わせることもエンタメだと思うようになってきていますね。

-どんな意味なんだろうっていうのは歌詞にも多いですけど、「27」はいわゆる"27クラブ"(有名ミュージシャンの中には27歳で他界した人が多いというジンクス)について歌ってるんですよね。

カネシロ:そこなんですよね。"27クラブ"のことを知ってる人にしか伝わらないけれども、知ってる人は"キター!"って思いながら聴けるわけじゃないですか? なんでもかんでもみんなに伝わったらええと思ったら大間違いやぞ! っていう感じですね。