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INTERVIEW

Japanese

彼女 IN THE DISPLAY

2017年10月号掲載

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Member:Ryosuke(Vo) 海 THE KID(Dr)

Interviewer:岡本 貴之

-「loser」みたいな赤裸々な気持ちを綴った歌詞もありますけど、たぶんバンドの状態がいいからこういうネガティヴなところも曝け出せるんじゃないですか?

Ryosuke:前回のインタビュー(※2016年6月号掲載)でもお話ししたかもしれないですけど、自分みたいな人間と似た境遇の人っているんじゃないかなって思っていて。それが自分の救いでもあるんですよ。同じことで悩んでいる人や躓いたりしている人、それを乗り越えられた人にも届いたらいいなって思って書いてます。この曲は結構暗い感じに聴こえますけど、音の相乗効果で、結果的に立ち上がらなきゃって思わせる曲になったらいいなと思ってます。だからこその"loser"で、別に負けたからって終わりじゃないっていう。負けから始まる勝ちもあると思うので。

-彼女 IN THE DISPLAYは弾けたイメージがありますけど、普段の5人はそういう感じでもない?

海 THE KID:歳を取りましたね......(※26歳)。酒の量は増える一方ですけど。

-そこには年齢を感じない?

海 THE KID:いや、次の日の残り方がえぐいですね。

Ryosuke:何の話(笑)。

-年齢とともにミュージシャンとしての成長もありますよね。

海 THE KID:演奏でいうと、この作品で改めて前に進めた気がします。メンバーそれぞれが自分の一歩を理解して前に進めるようになったのかなって。レコーディングやここまでのライヴを経てそう思ってますね。

-ドラマーとしてはどんなところが一歩進んだところ?

海 THE KID:"デカい音を鳴らす"っていう感覚よりも、"いい音をデカく鳴らす"っていうところに変わりました。あとは、自分のドラマーとしての棲み分けですね。世界的に見たドラマーのなかで、自分の容姿を含めて似た人を見て"ここが自分の棲み分けだな"って、はっきりさせることにしたんですよ。どんなに頑張っても村石(雅行)さん、カースケ(河村智康)さんに勝てなかったりっていうところはあると思うので。そのなかでロック・ドラマーとしてどういうところで勝負するのか。そのギャップとして、ただボカスカ叩いているドラマーとは違う基礎の部分をしっかり身につけようと思うようになりましたね。今は彼女 IN THE DISPLAYのドラマーとして、僕という存在が前に出るよりも僕の音が前に出せるようになりたいなって思ってます。

-そういう各々の成長、"EXPERIENCE(=経験)"がこのタイトルにも繋がっているんですね。

Ryosuke:そうですね。僕は、自分で気づかなかったところを第三者に言ってもらうことで、受け入れられるきっかけになりました。もともと僕はヘヴィ・ロックがめちゃくちゃ好きなんですよ。だから、どちらかというと声はクリーンな方なんですけど、歌としてはエッジの効いた感じで歌いたいなって思っていたんです。でも周りから"君の声はスッと入ってくるきれいな声がいい"って言ってもらったこととかで、それが自分を愛せる要素になったり、自分が進むきっかけになりました。だから表現も素直になった気がしますね。

-「[1959]」という曲がありますが、これは何をテーマに書いた曲なんですか?

Ryosuke:これは、単純ですよ。嫌なことを忘れたいとか、そういうのを発散できる力って、音楽にすごくあると思うんですよ。これはライヴを想像して作ったんですけど、ライヴに来たときにこれを聴いたら楽しくなっちゃって、その瞬間だけでも自分らしくあってほしいなって思ったから、あえて難しいことを何も書かずにそのまま書いたんです。

海 THE KID:タイトルは、マーシャル・アンプの"1959"という名機があるんですけど、それをレコーディングで使ったんです。マーシャル1959から出るギターの音がすごく明るくて勇気が出るような音だったので、そのままタイトルにしました。

-「Let's get the party!!!」は洒落た感じのダンス・チューンですが、前回のインタビューで"星野源さんのようなシティ・ポップもある"と言っていたのはこれのことだったんですか。

海 THE KID:いや、これは違うんですよ。それはまた別の隠し玉があるので(笑)。この曲は、楽曲的にはMAROON 5っぽいイメージと、「Unlimited」(『GOLD EXPERIENCE』収録曲)っていう僕らの曲を進化させた感じですね。"鍵盤×江口 亮"っていうのが半端ないんですよ。(江口が制作に携わった)School Food Punishmentを聴いてたので、そこに感じていたところが音作りで出てるかなって思いますね。

Ryosuke:この曲はこの前、新潟のライヴで初めてやったんですけど、すごい好感触でしたね。これをロック・バンドという名のもとにしっかりできるようになったらもっとカッコよくなると思っていて。曲としてはポップスだと思うんです。だけど、僕らの気持ちはずっとロック・バンドなので。ライヴをこの曲をどうやって演奏していくのか、ツアーまでにしっかり考えて臨みたいと思ってます。

海 THE KID:この曲はお客さんと一緒に作っていきたい曲っていう感じがあるというか。だから、ツアーをやる前に演奏しておきたいというのがあって。ツアーが始まって、ファイナル・ワンマンの渋谷TSUTAYA O-Crest(※11月25日開催)でお客さんと共にひとつの曲として作れたら、そこでやっと完成かなって。僕ら5人だけだったら、どんなに演奏がハマっても完成じゃないんじゃないかっていう曲です。

Ryosuke:ライヴでやって、お客さんの表情を見て、"こういう聴き方、楽しみ方になるんだ"って改めて実感したりするし、そのなかで僕らもさらに考えるし、そこで僕らが変わればお客さんの反応もまた違ってくるんですよね。それが曲を育てていくっていうことなのかなって思っているので、すごく期待値は高い曲ですね。

海 THE KID:僕らの醍醐味っていうか、ライヴに来てやっと"全部がパッケージされる感じ"がするっていうのが大事なのかなって。