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INTERVIEW

Japanese

ORESAMA

2017年08月号掲載

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Member:ぽん(Vo) 小島 英也(Prog/Gt)

Interviewer:沖 さやこ

"自分が聴いて気持ちいい音になればいい"という部分を追求している


-ポップスを作る方々は音楽理論をしっかり習得している人が多いので、とても耳馴染みのいいつるつるした音を作ることに長けてる人が多いと思うんです。でも、ORESAMAの場合はポップスでも「Trip Trip Trip」ならベースがなかなかエグかったり、「耳もとでつかまえて」ならドラムの存在感であったりと、どの曲にも必ずひとつはザラッとした質感やちょっとした違和感が潜んでいるところが面白い。

小島:お、それは嬉しい。音にはこだわりというか......むしろ音をそれほど理論的に研究していないからこそできることだと思います。理論に詳しい人からしたら"それやるの?"と思うような余地を残しておきたい。だからエフェクトとかを買っても、普通ではしないような使い方をしているものもあります。それが個性になったらいいな......と思っていて、取扱説明書は読まないようにしています(笑)。"自分が聴いて気持ちいい音になればいい"という部分を追求しているところがあるので、それがいいふうに働いてたら嬉しい。

-働いているのではないでしょうか? ORESAMAのエモーショナルさや音の気持ちいい違和感には、ロックのニュアンスを感じます。「空想フライト」も和楽器が音に使われているのに和風に収まっていないし、和メロでもないところがいい違和感です。

小島:日本の音楽を海外に放送するTV番組"Esprit Japon"の7月度の主題歌を書き下ろすにあたってできたのが「空想フライト」で。何かしら日本の音を入れたいと思ったんですけど、最初から雅楽みたいな日本の音楽に目を向けて作ってしまうとORESAMAっぽさが出ないなと思ったので、モータウンやフィリー・ソウルといったディスコ系をもとにORESAMAとして曲を作ったあとに、シンセなどで入れた音を琴や三味線、鼓の音に差し替えて。昔っぽさと現代っぽさに加えて、日本っぽさのある不思議なテイストの曲を作ることにチャレンジしてみました。面白かったです。日本の楽器はすごくいい音なんですよね。日本にそういういい音がする楽器があるなら、積極的に使わなきゃ損だなと思ったし。今後もこういうことをやってみたいなと思うきっかけにもなりました。

ぽん:トラックに日本風の香りがすごくしたので、そこに日本のことを乗せてもつまらないなと思って。だから旅行雑誌を引っ張り出したり旅行会社のパンフレットをもらってきたりして、とにかく自分の行きたい場所をバッと書き出して(笑)、そこからできた歌詞です。"行ってみた~い!"という私の願望がとにかく入っています(笑)。

-あははは。空想とはいえいろんな世界に飛び回ったり、"今日もみんな空のした 同じ太陽 愛しているの"のように世界全体を思わせる描写がありながら、最終的に落ち着く場所は"きみとふたり 次はどこへいこうか"という、とても身近な場所というところにも"空想"の要素が強まっていて。

ぽん:こんなに世界は広いのにみんな同じ太陽を見ていて、でも国が違うだけで顔も言葉も文化も違う。......本当に不思議だなと思うんです。ただ、それを考えているとまとまらなくなってきちゃって(笑)。旅行は計画を立てているときが一番楽しいなと思うんですよね。行きたいところはたくさんあるけれど、きみとふたりで"次はどこへ行こう?"と話しているときが一番楽しい。そこに至るまでのいろんな気持ちを全部詰め込みました。

-ORESAMAはどんなタイアップを書き下ろすにしても、ブレないところに感心します。対象物に引っ張られすぎてないというか。

小島:僕らはおそらく、いつでもORESAMAの音楽を求めていると思うんですよ。だからタイアップに寄せるというよりは、僕らの音楽を作って、それを使っていただきたいという気持ちが強くて。タイアップのオーダーから初めて挑戦することもあるので、それで新しいことができるのは面白いし。"オーダーに沿いながらどれだけORESAMAのエッセンスを混ぜ込めるか"に挑戦しているので、すごくいい経験になっていますね。タイアップをいただいたからこそできた挑戦や生まれた曲は間違いなくありますし。

-好き勝手作る面白さも、オーダーをもらうことで新しいことに挑戦できることも、方向性は違えどもとてもクリエイティヴなことですから。

ぽん:そうですね。だから書き下ろしの制作もすごく楽しんでやれているんです。とてもいい機会をいただいていると思います。