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INTERVIEW

Overseas

THE STRYPES

2017年06月号掲載

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Member:O'hanlon(Ba)

Interviewer:安江 幸子

2013年の1stアルバム『Snapshot』で平均年齢16歳にしてロック・シーンに衝撃的なデビューを果たした、アイルランドはキャバン出身の4人組、THE STRYPES。若さゆえのバイタリティで新作リリースとツアーを精力的に行ってきた彼らだったが、2016年は初めてリリースがなかった。そして2017年夏、待望の3rdアルバム『Spitting Image』を引っ提げて彼らが"FUJI ROCK FESTIVAL '17"に戻ってくる。今回は曲作りにも多く携ったPete O'hanlonに、アルバム・リリース前の心境などについて話を訊いてみた。

-6月16日にアルバムが出ます。あと1ヶ月を切りましたが今の心境は(※取材日は5月22日)。

そうそう、あと1ヶ月だからすごくワクワクしているよ。アルバムが出たらその次は数週間ツアーに出たりとか、いろんなことが待ち受けているからね。この夏はまた忙しくなりそうだよ。"FUJI ROCK FESTIVAL '17"(以下:フジロック)にも行くしね! 希望的観測としては、そのあと年内にもう一度日本にツアーで行けたらと思ってるけど......去年はこのアルバム作りに力を入れていたからやっと演奏できるってのも嬉しいし、ツアー生活にまた身体を慣らしていかないとね。とにかくとても楽しみだよ。

-3月に新曲をテストするということでアイルランドの小さなクラブをツアーしたらしいですね。

そう、最高だったよ。アルバムを出す前に、どんな感じになるか、小さめの会場でやってみたんだ。キャパが50人とか100人とかそのくらいのところで、ソールド・アウトのプレッシャーがないくらいの大きさでね。新しいサウンドを聴いてもらうのが目的だったから、アルバムの曲はほとんどやったよ。本格的にツアーが始まったときに、ギグに来る人が知っている曲が多い方がいいしね。みんなも喜んでくれたし、俺たちも久々にプレイできたから良かったし、手応えを得られた気がしたよ。

-この3月のツアーというのはアルバムが完成してから行われたのでしょうか。それともファンの反応を取り入れて曲に手を加えたりしたとか?

いや、実は、アルバムは去年の11月に完成していたんだ。だからツアーは純粋に、アルバムができたよ、という告知のようなものだった。11月から少し間があったけど、その間はマーケティングとかの計画を立てていたんだ。俺たちは何をしていたかっていうと、1月に自分たちでフォト・セッションをやって、ジャケットを考えていた。通常そういうのはレーベルと一緒にやるものだけど、スタッフに会う前にアイディアをまとめておきたかったんだ。イメージをはっきりさせてからミーティングに臨むことができたから良かったよ。

-2015年までほぼノンストップでツアーを行い、シングル、アルバムを出し続けていたのが、今回は2年ぶりの新作ということで、活動休止期間があったのかと思いましたが、実際はそうでもなかったんですね。なので休みというのもなんですが、前作のアルバムのサイクルが終わったあとは疲れ切って休みたいと思ったのか、それとも次のアルバムはじっくり腰を落ち着けて作りたいと思ってあえて表立った活動を休止したのでしょうか。

前回のアルバムのサイクルが終わったのはたしか日本じゃなかったかな。その時点である程度曲を作り溜めていればそのまま次の制作に突入したかもしれないけど、実際はなかったから、曲作りのために時間を割く必要があったんだ。ついでに1、2ヶ月オフにしようか、少しゆっくりしようか、ってことになった。それまでオフらしいオフもなくずっと突っ走ってきたからね。といっても、俺自身は何もしないで家にいるのにすぐ飽きちゃって、何かしたくてウズウズしていたけどね。......ドラマー(Evan Walsh)の家に簡単な録音機材があるから、散歩がてら行って、録音したり、ジャムったり、曲の断片をもう少し大きい塊にまとめたりしていたんだ。2016年の夏にはアルバムができあがっていたね。その間、単発のギグは少しはやっていたけど、俺が望むほど忙しくはなかったから、早く本格的に軌道に乗りたい、早くレコーディングしたい、と思っていたんだ。俺自身はずっとツアーができるのならしたいタイプだからね。結局ドラマーの都合もあって、11月までかかっちゃったけど。

-実際は活動休止どころか、ずっと仕事していた感じですね。

ギグの数が少なかっただけで、結構忙しかったよ。

-プリプロは地元でやったそうですね。

そう、プロデューサーのEthan Johnsに来てもらってね。彼には前から、俺たちにとって地元がどれだけ大切かって話をしていたんだ。ツアーが終わったら必ずキャバン(アイルランド)に帰るしね。そうしたら"君たちが居心地いいところでやろう。俺が出向くから"って言ってくれたんだ。それで、キャバンに場所を3、4日借りて、リハーサル・ルームみたいなものを作った。そこに彼が来たんだ。大きなピアノとかもいろいろ搬入したよ。機材に囲まれた部屋にみんなで集まって、そこでジャムることから始めたんだ。最高の数日間だったよ。彼と一緒にリラックスした状態で臨めたから、そこで絆ができた気がするし。

-実はEthan Johnsがプリプロから参加していたのか聞こうと思っていました。参加していたんですね。彼は以前あなたたちと契約しようとしたことがあるらしいですが、その後も連絡を取り続けていたのでしょうか。

彼は俺たちと最初に契約しようとしてくれた人のひとりなんだ。俺たちはAtlantic Recordsと契約寸前までいって、俺たちも楽しみにしていたけど、いろいろあって最終的には契約に至らなかった。その後、彼とはいろんなところでばったり会ったりしていたんだ。ツアー先でたまたま同じところに泊まったりしてさ。そういうときはもちろん普通に会話したり、ちょっとジャムったりしたこともあったけど、俺たちがUNIVERSAL MUSICと契約したこともあって、仕事という関係にはなかなかならなかった。1、2年後かな、Peter Gabrielのスタジオに俺たちが数日入ったことがあったんだ。Ethanも同じスタジオの別の部屋を借りていて、廊下でばったり会ったんだ。そこでちょっと喋った。最後の日、俺たちがデモを作っていたら、彼が出掛けにドアから顔をひょこっと出してくれてね。"じゃあな。しばらく会えないかもしれないから顔を見に来たよ"と言ってくれた。少し喋ったあとで、"何を録音したんだ? 聴かせてくれ"って言うから聴かせたら、"ジーザス! すごいじゃないか。アルバムにするときは俺がプロデュースしたい"と言ってくれたんだ。彼に会えただけで嬉しかったのに、手掛けたいと思ってくれてるなんて、これ以上の喜びはなかったよ。

-このバンドに初期から注目している人ですし、みなさんのこともよくご存じでしょうしね。

そうだね。それから彼はものすごく知識と経験が豊富だということや、いろんなアーティストを手掛けているというのも大きかった。ジャンルにこだわらず、自分がプロデュースしたい人を手掛けているからね。Ryan AdamsとかKINGS OF LEONとか。どの作品もその人の最高の状態をとらえていて素晴らしい。

-実際に一緒に仕事してみてどうでしたか。

これ以上ないってくらい良かったよ。素材作りの段階からこんなに携ってくれたプロデューサーは今までいなかった。それに、自由に意見を交換することができたんだ。バンドとプロデューサーの意見が対立することってよくあるらしいけど、彼は完全に俺たちを支えてくれたしね。それに、純粋な形で友情というか、絆を築けたような気がするんだ。すべてのことに没頭してくれてね。おかげでいろいろスムーズだったよ。今回は1回スタジオを(1ヶ月間)借りただけで完成できたんだ。できるだけ早く仕上げたかったってのもあるけど、スタジオから出たときにはミックスまで終わっていたからね。中途半端な形で出るのは彼も嫌がったし。最初の2週間で録音を全部終わらせて、残りの2週間で彼がミックスまで仕上げたんだ。すごいことだよね。前回のアルバムとは制作もレコーディングも全然プロセスが違ったけど、スムーズにことが進んだんだ。