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INTERVIEW

Japanese

テンテンコ

2017年01月号掲載

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過激なパフォーマンスが話題となったアイドル界の異端児 BiSの元メンバー、テンテンコがソロとして初めてのミニ・アルバム『工業製品』をリリースする。今作はテンテンコ自身が強く影響を受けたというテクノ・ポップやニュー・ウェーヴ界隈のミュージシャンらを迎えて制作され、全7曲それぞれに異なる世界観を表現した1枚。メイン・ストリームの流行り廃りなど、どこ吹く風という尖ったスタンスで、自らの音楽的嗜好に忠実であり続ける孤高の存在=テンテンコ。完全にカウンター・カルチャーでありながら、優れたポップ・ミュージックとして完成させた『工業製品』と、そこに散りばめられた音楽愛について語ってもらった。

-BiSが解散してからの2年間は、DJ、歌手、デザイナー、タレントと、いろんな活動をされてますけど、それは自分にとってどういう期間でしたか?

いろんなことをやってたんですけど、私としてはやっぱり音楽が絶対に一番真ん中にあったんです。それを自信にして、他のこともできたのかなと思ってるんですね。バラエティ的なところに呼ばれても、ブレずにやれたというか。もともと絵を描いたり、デザインをしたりするのは好きだったんですけど、それって音を作ることにも似てるんです。だから、そういうことはこれからも並行してやっていくんだと思います。

-いま言ってた"音楽が一番真ん中にある"っていうのはテンテンコさんの活動の原点だと思いますけど、最初に衝撃を受けた音楽はなんでしたか?

私はいわゆる歌謡曲が好きなんですけど、ノイズ音楽、クラブ・ミュージックとかも好きなんですね。それはどっちも選べないんです。でも、私がこういう活動をしたいなと思ったきっかけとして、ずっと引っ掛かっているのが、幼稚園に上がる前ぐらいに見てた"ポンキッキーズ"なんです。憧れの世界というか、あの中に入れたら幸せだなと思ったんですよ。

-へぇ。意外とポップなところなんですね。

そうなんです。子供が見て"いいな"と思う世界だけど、それを作ってる人たちは"子供向けにやろう"っていうことではないと思うんですよね。自分たちも楽しんでいたというか、かっこよかったんですよ。未だにそれを忘れられずに思い出したりするんです。それが、歌謡曲とかポップなものに私が惹かれる理由みたいな感じですね。それ以外に実験的なものも好きなんですけど、それはインターネットの影響が大きいと思います。

-インターネットは何歳ぐらいから身近にあったんですか?

小学生のときにパソコンの授業があったのと、家にもパソコンはありました。まだ電話回線だったから、あんまり好きに触れなかったんですけど。中学生になったころ、YouTubeが出てきたんです。それで好きだった音楽を検索していくうちに、電子音楽に出会って"何これ!? めっちゃかっこいい"ってなったんですよ。それがBruce Haackっていう人だったんですね。しかも、それを札幌のレコード屋さんに探しに行ったら、ちゃんと置いてあったんですよ。

-そこでネットを見るだけで完結しなかったのは大きいですよね。

それも本当に偶然なんですけどね。当時、ネットでもBruce Haackはそんなに出てこなかったので、それがレコード屋さんにあったことに感動したんですよ。私が相当掘って辿り着いたわけわからない人のレコードがここにあるんだ、みたいな。それからそのレコード屋さんに通うようになって、海外の音楽をどんどん掘っていったんです。

-じゃあ、Bruce Haackがテクノ・ポップにのめり込むきっかけだったんですね。

そうですね。そこから電子音楽とかニュー・ウェーヴとか、そういうものが好きなんだなと思うようになって。ドイツの人が好きなんだって気づいたんです。最初は意識してなかったんですけど、そのお店で買っていくものが"全部ドイツじゃん"っていうことに、あるとき気づいて。

-テクノ・ポップのルーツを掘っていくと、やがてドイツに辿り着きますもんね。一方で、テンテンコさんは戸川純みたいなサブカルも好きですよね? そのきっかけはなんですか?

それはまったく別のところからなんです。親が"イカ天"("三宅裕司のいかすバンド天国")とか"たま"が好きで、ナゴム系のミュージシャンのレコードが家にいっぱいあったんです。その中に細野晴臣さんプロデュースで三宅裕司さんと戸川純さんがやってたアポジー&ペリジーのCDもあったんですけど、それがすごくかわいくていいなと思ったんですよね。

-そういえば、去年はハルメンズのカバー(『テンテンコ sings ハルメンズ』)もやってたけど、それも本当に自分のルーツ?

そうですね。自然に聴いてたものに関われて感動しました。それも誘っていただいたんですけど、みんなが私の好きなものを感じ取ってくれてるんです。

-それだけルーツがしっかりありながら、作品として今回のミニ・アルバム『工業製品』が完成するまでに、ソロ始動から2年ぐらいかかってます。それはなぜですか?

私、自分で機材とかも結構集めてるんですね。だからなんて言うんだろう......もしかしたら傍目から見ると、いろんなことをやってるように見えたかもしれないんですけど、私としては曲作りに割いてる時間の方が多かったんです。それが表には見えないぶん、逆に、ちゃんと"見える活動"をすることも大事だったんですね。この日の何時からネット番組に出演しますよとか、グッズを販売しますよとか。だから、むしろこの2年間は人生の中で音楽と一番向き合ってた時期なんです。

-あぁ、なるほど。

それはBiS時代の反動もあったんです。やっぱりBiSは忙しかったから、ついていくのに必死だったんですね。その中でも好きなCDとかレコードを探してはいたんですけど、あんまりできてなかった。だからそのときの穴を埋めるじゃないけど、いま新しい音楽はなんだろう、面白いものはなんだろうっていうのを探すためにライヴも観に行ったんです。で、そこで見た同じ機材を買って、自分で試したりしてたんです。