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INTERVIEW

Japanese

Gauche.

2016年10月号掲載

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Member:水谷 和樹(Key) 兒玉 拓也(Dr)

Interviewer:吉羽 さおり

-一方で、最後のTrack.6「Romantic」は、また全然違った非常にドラマチックな物語性のある曲ですよね。

水谷:これはもともと僕が、少年がミルクというアーティストのために作った曲だったんです(※2016年9月リリースの1stミニ・アルバム『KYOKUTO参番地セピア座』収録曲「ロマンチック」)。ちょうどそのころにGauche.ができて。じゃあ、インスト曲を作るぞってなったときに、この曲はバンドでもいけるんじゃないかなと思って。それでメンバーにも賛同してもらって作った曲でした。一番物語を感じる曲かもしれないです。

兒玉:あまりこういうやり方って聞かないですよね。例えば、インストの曲にラップが乗るとかはありそうですけど。入り口は同じ曲なのに、ふたつの出口がある曲っていうのは、面白い。

兒玉:ただカバーするとかでもないしね。この曲はどちらのバージョンも楽しんでもらえたらいいですね。

水谷:ライヴでも最後にやったりすることが多いので。

兒玉:やる前に長~いMCをすることがありますけどね、小雨が降り出すような(笑)。そうなると僕らはもう、傘を持つしかないんですよね、口を挟まずに。

-そうなんですか(笑)。

水谷:本当、ひとりじゃなくてよかったです。みんなの支えがあって、生きてこれました(笑)。

兒玉:気になってるんですけど、今でもRANCIDとか聴くんですか?

水谷:聴くよ、移動のときとかに。別にやけくそで聴いてるわけじゃないよ(笑)。ストレートだな、かっこいいなって思いながら改めて聴くっていうか。

-そういうパンクって、憧れの部分も強いんですかね?

水谷:きっと、なれるならパンク・ヒーローになりたかったかもしれないんですけど。根暗だし、こういう性格だし、僕みたいな人間が"やりたいならやれ!"みたいなことを言うのは、なんか違うなって思ったんですよね。今はピアノというポジションで、ささやかですけどね。叩いたりとか、そういうアクションしかできないですけど、自分なりの感情表現ができてます。聴いている人にとってはパンクではないかもしれないですけど、気持ちの中では存在してる。存在していたいかなと思いますね。

兒玉:そういう血は流れているよね。

-兒玉さんにとって、Gauche.は自分のどんな想いや感情を出せる場所だと?

兒玉:ジャンルで縛りたくないんですけど、一番ジャンルレスになれる気がするんです。ポップもクラシックもジャズも、ドラムの話になってしまうと細くなるので割愛するんですけど。ひとつの音楽のあり方として、可能性が無限。僕的には、やるべきことがこのバンドでなくなったら終わりだなとずっと思っているんです。それが見えないのが面白いですね。

-そうですね、この編成でインストって、ジャズ・バンドではいるかもしれないですが、ロック・シーンでは見掛けないから。まだまだできることはたくさんありますし、勝負できますね。

兒玉:うん、普通のロック・バンドが嫌なのかもしれない。

水谷:唯一、僕が影響を受けたとすれば、BEN FOLDS FIVEですね。Ben Foldsのピアノを弾いてる姿を観て、"あぁ、Gauche.まだやれるかも"って思ったくらいなので。

兒玉:弾いてる姿勢とかは似ているかもね。

-パフォーマンスも面白いですよね、立ち上がって弾いていたり。

水谷:鍵盤踏んだりとか(笑)。マイクをピアノ弦でこすったりとかするじゃない? あの人。そういう意味では、僕は影響を受けているかな。自分にはあのコミカルな感じはないですけどね。

-ピアノは習っていたわけでもなく、バンドを始めてスタートしているんですよね。すぐにできるものなんですか?

水谷:まったくの独学なんです。最初にインストをやりたくなかった要因のひとつとして、僕の中でのインストゥルメンタルって、堅いというか、技巧派っていうのかな。ある程度の腕がないと受け入れてもらえない音楽のイメージなんです。Gauche.の中では、僕のできる最大限が出ているんですけど。ただ、僕はピアニストではなく、あくまでキーボーディストだと思っているし、小さなころからピアノを習ってきてる人をなめるなって思っているので(笑)。でもきっと、3歳から習っている人に、ピアノの鍵盤が踏めるか? って思うんです。そういうところで、僕の中では違いを出していけたらなと。

兒玉:習いに行かなくてよかったかも。優等生ばかりではバンドは面白くないですからね。僕は、音楽の学校に行ってしまったんです。行きたくて行ったんですけど、途中から同じくらい嫌になった時期があって。今となっては、"この型必要だったのかな?"とか、面白味に欠けるところはあるかもしれない。

-でもその基礎があって知ってるからこそ、壊せることもあるんですよね。こうして1stミニ・アルバム『メトリックモジュレーション』が完成して、今の実感としてはどうですか?

水谷:まだ僕の中では、インストという音楽はぜんぜん完結していないし、途中なので。これからどう変わっていくのかわからないですけど、ひとつまとまった作品ができたかなって思います。これはいつもMCで言うことなんですが、この音楽が誰かのいつかの記憶とリンクしてくれたら、それでいいかなと思っているので。聴いてもらえたらなと思います。