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INTERVIEW

Japanese

夏の魔物 × 大槻ケンヂ × ROLLY

 

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大槻ケンヂ(筋肉少女帯/特撮)
ROLLY(すかんち/THE卍/ROLLY&GlimRockers/ROLLY&NEO FANTASTIC)
夏の魔物:成田 大致 ケンドー・チャン 大内 雷電 アントーニオ本多
インタビュアー:岡本 貴之

-ところで、アントン(アントーニオ本多)さんと大内雷電さんは結成当初からのメンバーですが、1stアルバムが完成してどんなお気持ちですか。

アントーニオ:メジャー・デビューして以降、ちょっとファンシーな1stシングル『恋愛至上主義サマーエブリデイ/どきめきライブ・ラリ』(2015年リリース)があって、曽我部恵一さんが参加してくれた2ndシングル『東京妄想フォーエバーヤング/ダーリン no cry!!!』(2016年1月リリース)を発表して、3rdシングル『魔物、BOM-BA-YE ~魂ノ覚醒編~/バイバイトレイン』(2016年6月リリース)を出して。言葉は悪いですけど、どんどんおっさんに寄っていく感じが私は非常に好きですね。メンタル的にも自分に近い世界観に寄ってきてるし。私はこのグループの中で歌に関しては、さほど自分の貢献度は評価していないんですけど(笑)、2ndシングルや3rdシングルに関しては自分に近いメンタリティで歌を入れさせていただくことができました......いや、今控えめに言いましたけど「バイバイトレイン」のレコーディングはうまくいったと思っています!

一同:(笑)

アントーニオ:気合が違うというか。大槻さんの歌詞に、自分の"闘魂"を注入できたという自負はあります。

-大内さんはいかがですか?

大内:基本的に成田は曲を作っている途中、メンバーにまったく明かさないんですよ。形になってから教えてくれるんですけど、ROLLYさんの「恋の天国はケモマモハート」は僕が成田とやっていたSILLYTHINGのときから、すかんちの「恋のマジックポーション」をカバーしていたので、聴いたときにすぐに"恋の~"シリーズ系だってわかる曲でした。それと同じで「バイバイトレイン」もオーケンさん(大槻ケンヂ)の歌詞が送られてきたのを見て、"えっ!?"って驚いて。やっぱり僕らの世代には"グミ・チョコレート・パイン"ってバイブルですから。

大槻:あぁ~、ありがとう!

大内:歌詞が送られてきたときに、"嘘だろ!?"って思いましたし、あの小説のことを題材に僕らのために詞を書いてくれたって聞いて、"こんなことが起こっていいのか!?"っていうレベルでビックリしましたね。本当にありがとうございました。

大槻:いやいや、とんでもないです。

ROLLY:このアルバム『夏の魔物』を聴いた中学生が大人になったときに君はさらにおじさんになっていて、同じように言われるんですよ。

大槻:うん、歴史はその繰り返しですよ。

ROLLY:僕が8月に出したカバー・アルバム(『ROLLY'S ROCK THEATER ~70年代の日本のロックがROLLYに与えた偉大なる影響とその光と影~』)に新曲「1978」を収録しているんだけど、ギタリストの山本恭司さん(BOWWOW)のことを歌った曲なんです。僕が生まれて初めて観たロック・コンサートが大阪の高槻市民会館で観たBOWWOWで、「1978」はその日のことを歌ったんだよ。その山本恭司さんが子供のころに観た映画"ウッドストック"(1970年公開)に出ていたAlvin Lee(TEN YEARS AFTER)と出会ったように、『夏の魔物』を聴いた子供たちが成長して君たちに会いに来るのが楽しみだね。それでその子が"僕は子供のころ夏の魔物のアルバムを聴いて「恋の天国はケモマモハート」や「バイバイトレイン」のこのフレーズが好きで~"って言ったとしたら、夏の魔物を通して大槻ケンヂやROLLYという遺伝子がちゃんと繋がっているということで。そういうのが美しいんですよね、音楽というのは。

大槻:夏の魔物はカテゴリしにくいグループだから、それを模倣する若い人が出てくるかもしれないよね。だって、どういう人たちを集めたのかわからないもんね(笑)。俺は未だに謎だよ。

一同:(笑)

ROLLY:世の中はわからないですよ。このスマホだって我々が小学生のころには、よもやこんなものができるとは思わなかったんだから。ということは、現代の世の中においては夏の魔物はカテゴリしづらいけれども、次に出てくる奴らはもっとわけがわからない奴らかもしれない。

大槻:あぁ~出てくるかもね。

ROLLY:すかんちも筋肉少女帯も、日本の音楽の歴史でいうと、かなり変わった立ち位置にいるけど、それを慕ってきた成田君がやっているのが夏の魔物になっているわけじゃない? 僕らの音楽が成田君たちに伝わっているのは嬉しいですよ。


好きなもので自分の部屋をいっぱいにしたのは
確実に"筋肉少女帯"と"すかんち"の影響(成田大致)


-成田さんはSILLYTHINGの1stアルバム『cross wizard』(2012年リリース)でROLLYさんと加藤ひさしさん(THE COLLECTORS)のユニット 21st Century Starsの「21世紀のラヴァーズ」(1996年リリースのシングル表題曲)をカバーしているくらいのROLLYさんマニアですよね。

ROLLY:日本のロック・ファンでアレを知っているのは、ここにあるペットボトルの水の中からバクテリアを発見するよりも難しい。

一同:(爆笑)

大槻:いや、そんなことはないでしょう(笑)。

ROLLY:それくらいマニアックだね。というか"変なもの好き"。ちょっと変わったものが好きなんだね。他と同じものは嫌でしょ?

成田:あんまり気にしたことはないんですけど、青森では情報が少なかったので。それこそ大槻さんのエッセイとかを読んで感化されました。何かをしたいとか、好きなもので自分の部屋をいっぱいにしていったのは確実に筋肉少女帯とすかんちに影響されたものばかりですね。

ROLLY:それが青森なのが嬉しいね。"だびよん劇場"っていうライヴハウスがあって、すぐ裏が海だったんだけど、そういうところに成田君みたいな少年がいてくれるのが嬉しいなぁって思ったね。そのころの青森のレコード屋さんとかってどんな感じだったんですか?

成田:俺がよく通っていたCDショップがあったんですけど、何も喋らない店主がいて、THE ROOSTERS、サンハウス、頭脳警察とか全部あったんですよ。お金が貯まったらそこでCDを買うという繰り返しをしていました。

ROLLY:いいですね。そういう自分好みの品揃えを売っている店が少なくなったよね。特に地方ではどんどんなくなっているもんね。

成田:当時は他に買うお店がないので、そこで知るロックを本と照らし合わせる作業をしていましたね。"有頂天......これは大槻さんの本に書いてあったぞ"みたいに。

大槻:へぇ~! 今もそういう店があるんだなぁ。ちょっと前までさ、高円寺に"入ると獣の臭いがするレコード屋さん"があって(笑)。人間椅子の和嶋(慎治)君なんかもよく行ってたんだけど、ひげモジャのおじいさんみたいな人が経営していて、俺が行ったら"大槻君だろ? うちの店じゃ町田町蔵(町田康)が一番売れるんだよ"って言われてさ。"どんな店だよ!?"って思ってたんだけど、あの店さすがにもうなくなっちゃったなぁ。

ROLLY:精肉店とレコード屋さんと楽器屋さんがひとつになっている店もどこかにあるらしいよ(笑)? そういう地方の個性的な店がやっていけなくなっていて寂しいね。だって僕が初めてロックのレコードを買ったときは、1977年にKISSが来日してNHKの"ヤング・ミュージック・ショー"で来日公演を放送して、クラスの男子は98パーセント、女子も70パーセントはその番組を見ていて、全員が"KISSかっちょいいー!"ってなったんです。でもみんなKISSのアルバムを持っていたから自分は買わなくてもいいやと思って街のレコード屋さんに行って、"この店で一番ギター・ソロが長いレコードはどれですか?"って聞いて。

一同:(笑)

ROLLY:"これですよ"って出してきたのがJohnny Winterの『Captured Live!』(1976年リリースのアルバム)というライヴ盤で。たしかに家で聴いたらギター・ソロの応酬が続いてカッコいいアルバムでしたね。そういう店が少なくなったのは寂しい。昔の店は、入った瞬間に"これじゃないの?"って押しつけてきたもんね。

大槻:うんうん、あったよね。