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INTERVIEW

Japanese

H△G × 谷本 早也歌

2016年04月号掲載

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昨年12月に配信限定ベスト・アルバムをリリースした2.5次元の歌姫Chiho+コンポーザー&クリエイター集団"H△G"と、歌う8bitガールこと"谷本早也歌"がスプリット・アルバムをリリースする。これはMiliを招いて制作された、H△Gのスプリット盤シリーズの第2弾作品。"スプリット・アルバムは同じ界隈の人間同士で作るもの"という固定観念を崩す異色コラボとなっている。お互いの新曲はもちろんお互いの代表曲のカバーも収録。そのリリースを記念して、今回H△GのChihoとYuta、谷本による対談が実現した。

H△G:Chiho(Vo) Yuta(Gt)
谷本 早也歌
インタビュアー:沖 さやこ

-まず始めに、H△Gと谷本さんの出会いを教えていただけますか。

谷本:私は以前、愛知県に住んでいたことがあって、そのころから趣味で音楽活動をやっていたんです。そして、岡崎のライヴハウスで知り合いました。そのときはメンバーさんとは顔見知りだったのですが、どんな音楽をやっているかは知らなくて。

Yuta:そのときは僕らも、一応結成はしていたけど表立った活動はしていなかったんです。僕はそのときに彼女のライヴを初めて観て。当時から8bitサウンドやチップチューンを取り入れた音楽をしていたから、"なんだこの子は!"とすごくインパクトがありました(笑)。

谷本:(笑)そのときは私も1~2回目のライヴで、パソコンとMIDIの鍵盤に私のヴォーカルだけというめちゃくちゃシンプルな機材で演奏してました。その後、上京して。去年1stアルバム(『まほうのおんがく』)をリリースしたので、そのことを岡崎のライヴハウスの店長さんに連絡したら、H△Gがバンドになったと聞いてびっくりして。

Yuta:その店長さんが僕らにも"谷本さん頑張ってるよ"と報告してくれて。

谷本:それがきっかけでH△Gさんのニコニコ生放送のライヴ・イベントに誘っていただいたんです。そこで初めて共演したことをきっかけにスプリット・アルバムを出そうという話になって......本当に不思議な縁だなと思います。

-H△Gのみなさんがスプリット・アルバムのリリースを提案したんですね。

Chiho:ライヴしたその日にもう"スプリット出そう!"みたいな話になったんですよね。衝動的にというか(笑)。

谷本:共演した日に意気投合して。私のレーベルも私の意見を尊重してくれるので、その場で決まった感じでした。ただただ嬉しくて"やろうやろう!"って(笑)。

-H△Gがスプリット・アルバムをリリースするのは二度目ですが、スプリット・アルバムの魅力とは?

Chiho:今回も前回のスプリット同様、お互いの曲をカバーしているんです。お互いの曲をお互いの色にして、原曲とは違う印象で聴いてもらえることも魅力のひとつかなと思いますね。

Yuta:あとは、一般的にスプリット・アルバムは同じジャンルの人たちで作るものなんですよね。でも僕らのスプリット・アルバムは前作のMiliも今回の谷本さんも異質な組み合わせだなと思います。普通のスプリットとは違う面白さはすごくあるから聴いてほしいですね。僕らの曲が終わって谷本さんの曲に移るときに"マジか!"って面食らうと思うんですよ(笑)。

-谷本さんはソロ・アーティストですから、複数の人と一緒に作品をリリースする喜びもあるのでは?

谷本:そうですね。実は私、もともとバンドをやりたかったんですよ。だけどバンドを組む巡り合わせがなくて、"だったらひとりでやればいいじゃん"と思って高校生のときに打ち込みを始めたのが音楽活動のきっかけなんです。だから今回、私がひとりで作った音楽をH△Gさんがバンドで奏でてくれるというのがむちゃくちゃ嬉しくて。夢がひとつ叶ったんです。

-今作でH△Gは谷本さんの「Labyrinth」(Track.2)を、谷本さんはH△Gの「星見る頃を過ぎても」(Track.9)をカバーと、お互いの代表曲をカバーされています。

谷本:H△Gさんの「Labyrinth」はすごく衝撃的で。いただいた音を夜中に聴いて"こんなにかっこよくなるのか!"って興奮して眠れなくなっちゃって!

一同:ははは!

Chiho:実は「Labyrinth」のカバーはどういうサウンドにするか、いかにH△Gらしさを出すか結構苦戦したんです。「Labyrinth」みたいな曲調はH△Gにはないので、新しい挑戦で。難しかったなあ。

Yuta:原曲がめちゃくちゃポップ色が強いので、そこは残したくて――最初は原曲のイメージが強すぎて、全然H△Gっぽさがなくて"これやばくない!?"って(笑)。難しかったですね。3回くらい根本的なところからやり直して完成させました。

谷本:難しかったのは私も同じで。「星見る頃を過ぎても」は私が初めて聴いたH△Gさんの曲で、大好きな曲なんです。でも私は「星見る頃を過ぎても」みたいにちょっと落ち着いている恋愛の曲のアレンジをしたことがないし、歌ったこともなくて。おまけに普段私が作る曲は1分半、長くても3分くらいなんですけど、「星見る頃を過ぎても」は5分半あるんですよね。それをどうやってあのピコピコのサウンドに落とし込んでいったらいいんだろう......と悩んで、あまりにも原曲が良すぎるから、作っている最中になぜかカバーすることへの罪悪感までもが生まれてきたんです。"Chihoさんの天使のようなヴォーカルを汚したくない!"という気持ちが強くなって(笑)、ヴォーカルなしで短くアレンジしたものを作って。

-なんて斬新な発想(笑)!

谷本:でもH△Gのディレクターさんに谷本さんに歌ってほしいと言われて(笑)。それで歌を入れることを考えたら、1番と2番の歌詞の繋がりもすごくいいから、何もかもカットしたくないなと思ったんですよ。サウンドはプラネタリウム的なイメージできれいに仕上げたいと思ってアレンジしました。個人的には新境地ですね。

Chiho:早也歌ちゃんの「星見る頃を過ぎても」は、わたしちゃん(※谷本をモチーフにしたキャラクターであり、谷本の分身)とのツイン・ヴォーカルだから、機械にしては人間っぽさもあるので切なさが増していて。すごく好きですね。

谷本:わたしちゃんの声は機械だから棒読みというか、一定なんですよね。だから私の歌う声とのミックスも結構大変でした(笑)。

-谷本さんは「Labyrinth」以外は新録曲で、H△Gは全曲新録曲なんですよね。

谷本:今回スプリット・アルバムに5曲入れることになって、曲目もすごく悩みました。1stアルバムにはインストと、わたしちゃんだけが歌っているものと、私だけが歌っているものと、私とわたしちゃんで歌っているものと、4種類あるんですよ。「うわさ」(Track.7)はライヴではよく演奏していて、もともとわたしちゃんだけが歌っている曲だったんですけど、今回、私のヴォーカルとあわせて収録してみました。初めて谷本早也歌のサウンドを聴く人も多いと思ったので、インスト2曲のうち「MAGICAL WORLD」(Track.6)は8bitサウンドへの導入として短いものを入れて。