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INTERVIEW

Overseas

THE HEAVY

2016年04月号掲載

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Member:Kelvin Swaby(Vo)

Interviewer:山元 翔一

-サウンド的にはブラス・セクションが煽るように鳴り響いて、バック・コーラスも効果的に導入しています。そして何よりKelvinのヴォーカルも非常にソウルフルで力強いです。

この曲は長い間寝かせていたんだ。しばらく経ってから、どのようなサウンドにしたいかが見えて来た曲でね。俺がビートをサンプリングしたところから始まって、そこからSpencer(Page/Ba)が加わって、ビートとベースをまず作っていった。そこにChris(Ellul/Dr)が加わったんだけど、彼はこの曲で何をしたいかを明確に掴んでいて、彼のドラムが加わったとき、あのグルーヴが生まれたんだ。この曲では、特にコーラスの部分で、Chrisのプレイをみんなに見せたかった。"Since you've been gone"のコーラスに続く彼のドラムが、ヴォーカルとともにフックを作り出しているんだ。俺の問いかけるようなヴォーカルに彼がドラムで返す、そんな感じ。ソロの部分があるというのは、俺たちの音楽では実は珍しいことなんだよ。俺が昔聴いていたボンゴ・バンドみたいな、ああいう要素を取り入れてみたかった。あとはホルン。このアルバム上のすべてのホルンが大きな役割を果たしているんだけれど、ホルンを使うことで、曲にパンチを加えたかったんだ。

-Track.11「Slave To Your Love」も同じくらいパワフルな楽曲で、まさにTHE HEAVYの真骨頂と言えるような楽曲ですよね。往年のソウル・ミュージックやガレージ・ロックを通過したグラマラスなロックンロール・ナンバーはTHE BLACK KEYSあたりも通じそうですね。

THE BLACK KEYSに関してはわからないけど、たしかにこの曲はガレージ・ロック、またはガレージ・パンクへのアプローチが強い。Dan(Daniel Taylor/Gt)がこの曲のアイディアを俺に説明しているときは本当にソウル・ミュージックっぽかったんだよね。でも、THE BLACK KEYSに通じるものがあるとまでは思わないな。でも、パワフルなナンバーであることはたしかだよ。この曲には、Danの父親として不安を感じる気持ちが込められている。彼はもちろん素晴らしい父親なんだけれど、ずっと家族から離れていたり、ときに自分がパーフェクトな父親でないことに不安になるんだ。それに、子供から、"パパ、これやって!"、"パパ、あれやって!"ってずっと言われると、"俺は奴隷(Slave)じゃないんだ!"と言いたくなるときもある(笑)。でも、俺たちは悪い意味ではなく自分たちの愛するものたちの奴隷なんだよな。俺たちが愛するものは、俺たちの愛が必要なんだ。

-Track.5「Nobody's Hero」は冒頭の哀愁漂うブラス・サウンドが印象的で、ベースには何かドラマのような物語があるように感じさせられました。この曲についてはいかがですか?

これはDanと一緒に、ヒロイックな、大胆で勇ましい曲を作ろうとしたんだけど、やっぱり作りたくて作れるものじゃないんだよね。ふたりで顔を見合わせて、"うーん......どうしよう"と行き詰まってて(笑)、Danがアコースティックで書いたギター・リフからどうにかそういう曲に持って行こうと思ったんだ。でも、結局Danが"もういいよな。俺たち、誰のヒーローでもないんだから(=Nobody's Hero)"と言ったところから生まれた曲なんだ(笑)。

-そうなんですね(笑)。また、Track.6「Miss California」やTrack.8「A Ghost You Can't Forget」あたりもシアトリカルな楽曲だなと。これらの楽曲のような雰囲気を生み出すための秘訣などはあるのでしょうか?

その2曲に関しては、どちらもゾンビやゴーストに関するストーリーが内容になっていて、特に「Miss California」に関しては、"間違った決断"がテーマになっている。人って、誤った判断をしてしまうときがあるだろ? 昔美しかった女性が、誤った決断をして変化するんだ。ドラマの"ウォーキングデッド"で何かに噛まれたとたんゾンビになるみたいにね。美しい女性が悪者に噛まれてゾンビになる。このテーマは日本の"怨霊"に刺激を受けて思いついた内容なんだ。ああいう雰囲気は、ヴォーカルとホルンで作り出しているんだよ。ベース、ドラム、ギターは陽気で、それに合わせたヴォーカルもハッピーに聴こえるんだけど、ホルンが入ると、ヴォーカルがまるで別人が歌っているように変わる。実は、レコード全体がそうなんだ。リスナーがそれに気づいてくれるといいんだけどね。

-今作も変わらずTHE HEAVYのサウンドには、単なるヴィンテージ・ロックに収まらないスケールがありますよね。その理由は、時代やジャンルをクロスオーバーさせる、ある意味ヒップホップ的と言える精神が根底にあるからではないかと個人的には感じます。

俺には15~18歳の子供がいるんだ。彼らがあらゆるヒップホップやポップ・ミュージックを聴いているから、もしかしたら俺もそこからも知らないうちに影響を受けている部分があるのかもしれないな。例えば、THE WEEKNDの「Can't Feel My Face」(2015年リリースのアルバム『Beauty Behind The Madness』収録)は本当に素晴らしい曲だと思うし、Taylor Swiftの「Bad Blood」(2014年リリースのアルバム『1989』収録)も素晴らしいポップ・ソングだと思う。Kendrick Lamarも素晴らしいし、彼はヒップホップがサンプリングとビートだけに収まらない、より深いものだということを証明してくれたアーティストだと思うね。